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『本当は怖い歯茎からの出血~ずぼらの代償~』 |
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N・Nさん(女性)/42歳(発症当時) |
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主婦(パート勤務) |
初めての海外旅行に出かける前日、梨をかじったところ、歯茎から出血しているのに気づいたN・Nさん。実は彼女、このところ歯を磨いた時にもよく出血。いつの間にか、歯周病になっていたのです。しかし、そうとは知らない本人は、痛みもなく、しみるわけでもないため、そのままにして旅行に出かけてしまいました。ところが、初めての海外ではしゃぎすぎたのか、帰国してすぐ風邪を引いてしまったN・Nさん。その後、歯を磨き始めた時、突然、歯茎に痛みが走ったのを機に、様々な異変が続くようになりました。 |
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(1)歯茎からの出血
(2)歯茎の一部が赤く腫れる
(3)肉が腐っているような口臭
(4)歯茎全体が赤く腫れる
(5)口の中の激しい痛み
(6)歯茎がただれて腐る
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急性壊死性潰瘍性歯肉炎(きゅうせい えしせい かいようせい しにくえん) |
<なぜ、歯茎からの出血から急性壊死性潰瘍性歯肉炎に?> |
「急性壊死性潰瘍性歯肉炎」とは、口の中の雑菌によって歯茎にひどい炎症がおき、急激にただれてしまう病気です。さらに、高熱も出て、全身がひどく衰弱してしまうこともあります。ではなぜ、N・Nさんは、この病気になってしまったのでしょうか?原因は、彼女がかかっていた「歯周病」にありました。歯周病は30歳以上の日本人のおよそ7割から8割が患っていると言われる非常に一般的な病気です。つまり、この急性壊死性潰瘍性歯肉炎も、誰もがなってしまう危険性があるのです。では、この病になる人と、ならない人、その命運を分けるものとは一体何なのでしょうか?それは免疫力。通常、歯と歯茎の間には浅い溝がありますが、歯周病になると、この溝が破壊され深くなっていきます。すると、そこに大量の雑菌が溜まってしまうのです。しかし、普段は、免疫力で雑菌の繁殖が抑えられているため、炎症はゆっくりとしか進行しません。ところが、N・Nさんの場合、極度の旅の疲れに加え、風邪を引いてしまったことで免疫力が極端に低下していました。そのため、雑菌が急激に繁殖。N・Nさんの歯茎を次々と破壊してしまいました。そしてついには、歯茎がただれ、口が腐ったかのような状態にまで悪化してしまったのです。この病気が恐いのは、進行が極めて早いこと。わずか1日から2日で歯茎全体が壊死してしまうことも珍しくありません。幸い、N・Nさんは、懸命の治療の結果、10日間の入院後、無事退院。歯茎もすっかり元通りになりました。歯周病の人なら誰もがなる危険性のある急性壊死性潰瘍性歯肉炎。夏風邪や夏バテ、さらには年末年始の多忙な時期など免疫力が低下しがちなときは、特に注意が必要なのです。 |