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『本当は怖い足の冷え〜がんばり屋母ちゃんの悲劇〜』 |
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M・Sさん(女性)/58歳(発症当時) |
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自営業 |
5年前に夫が他界してから、一人息子と中華料理屋を切り盛りしてきたM・Sさん。ところが、もうすぐ近所にデリバリー専門のライバル店ができることが発覚。しかし、M・Sさんには、他にも気になることがありました。最近妙に右足の足先が冷えるのです。冷え性は女性にはつきものと放っておいたM・Sさん。しかし、3ヵ月後、ライバル店に対抗すべく、出前を始めた彼女に、さらなる異変が起こり始めました。 |
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(1)足の冷え
(2)足のしびれ
(3)(グラスの破片を踏んで出来た)傷の異常な悪化 |
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閉塞性動脈硬化症(へいそくせい どうみゃくこうかしょう) |
<なぜ、足の冷えから閉塞性動脈硬化症に?> |
「閉塞性動脈硬化症」とは、腹部から足にかけての血管がコレステロールなどによって動脈硬化を起こし、詰まってしまう病。足の大腿部から先に血液が行き渡らず、様々な症状を起こし、最悪の場合、死に至ることもあるのです。その原因は、高カロリー食品の摂取など、生活習慣にあります。現在、この病の患者数は、およそ10万人。男性の方が圧倒的に多いのですが、このところ、急激に女性にも増え始めています。では、どのような女性がこの病にかかりやすいのでしょうか。そう、それはM・Sさんのように、閉経を迎えた女性。理由は、女性ホルモン・エストロゲンにありました。エストロゲンは、女性らしい体の形成、毛髪の発達、骨量の維持などの役割を担っています。そして実は、血中のコレステロールの増加を抑える作用もあるのです。そのため、閉経前の女性の血管は動脈硬化が起こりにくいと言われています。ところが、閉経してしまうと、エストロゲンは減少。以前のように、コレステロールの増加を抑えてくれなくなります。そうとも知らず、M・Sさんは、コレステロールの多い食生活を続けてしまいました。その結果、最も動脈硬化が進んだのが、あの右足の大腿部の血管だったのです。こうして現れたのが、あの右足だけが冷えたり、しびれたりする症状。しかし、足を休めると、わずかながら血液が行き渡るため、症状は治まってしまいます。そのため、病の存在に気づきにくいのです。これこそがこの病の落とし穴。そして、さらなる災難がM・Sさんにふりかかりました。それは足先を不慮の事故で傷つけてしまったこと。あのとき、彼女の足には、血流がほとんどなかったため、進入してきた細菌を撃退することが出来ず、一気に細菌が繁殖。あっという間に壊死に至り、切断するしかなくなってしまいました。閉経後の女性は、特に食生活などの生活習慣に気をつけることが、この病を防ぐ手だてなのです。 |