診察日:2006年9月5日
テーマ:
『本当は怖い頭痛〜24時間後の悲劇〜』
『本当は怖い口臭〜消えない悪臭〜』
『本当は怖い頭痛〜24時間後の悲劇〜』
N・Yさん(女性)/60歳(発症当時)
主婦
娘から脳のトレーニングに役立つと聞いて、パズルにハマっていたN・Yさん。その日も深夜まで熱中していたところ、突然目の奥がジーンと重くなる頭痛に見舞われました。もともと遠視の上、ここ数年老眼も進んでいた彼女。目を使いすぎたせいかと思って休んでみると、まもなく頭痛は治まり、ひと安心。しかし、その頭痛こそわずか24時間後に迎える悲劇の幕開けに他なりませんでした。
(1)目の奥が重くなる頭痛
(2)眉間が痛む
(3)目がかすむ
(4)激しい頭痛と吐き気
閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)
<なぜ、頭痛から閉塞隅角緑内障に?>
「閉塞隅角緑内障」とは、眼球内の圧力が高くなって視神経が障害を受け、視野が欠けてしまうという緑内障の一種。緑内障の中でも2番目に多く、現在およそ80万人の患者がいると考えられています。この病気の大きな特徴は、何年もかけゆっくり悪化する通常の緑内障と違って進行が非常に早く、最悪の場合、1日以内で失明してしまうこともある急性の緑内障ということ。残念ながら、発病の原因はまだわかっていません。ただ、40歳を越えると発症しやすく、50歳以上の女性に最も患者数が多いのです。また、遠視もその危険因子の一つと考えられています。さらに、病名にもなっている眼球の一部「隅角」の隙間が普通の人より狭い人が、発症しやすいことが明らかになっています。この「隅角」の状態は眼科で目の検診を受ければ、誰でも簡単に分かります。しかしもう一つ、この病には恐るべき特徴が!それは多くの場合、何の前触れもなく、決定的な異変が起きてしまうということ。しかし、一方でN・Yさんのように前触れ症状が起きるケースもあるので、そのサインを見逃さないことも大切なのです。最初にN・Yさんを襲った軽い頭痛や目のかすみといった異変は、元々狭かった「隅角」の隙間が、なんらかの原因で一時的に閉鎖。眼球のなかを流れる液体が排出されず、眼圧が上昇。視神経を圧迫して、起きたものでした。そして最後の瞬間…「隅角」は完全に密着。眼圧は急上昇し、視神経だけでなく自律神経にも影響を及ぼしました。それこそが、彼女を襲った猛烈な頭痛と吐き気の原因だったのです。幸い、処置が早かったため、N・Yさんの右目の視力は回復。失明を免れることが出来ました。しかし多くの場合、何の前触れもなく発症し、視力を奪い去っていく閉塞隅角緑内障。だからこそ、40歳を過ぎたら年に一度、眼科で定期健診を受診するよう、おすすめします。自分の目の状態を知ることでこの病気にかかりやすいかどうかは、すぐに判るのですから。
「緑内障の治療法」
(1)緑内障の治療法は、点眼などによって、視野がこれ以上狭くならないよう、病の進行を
食い止めることしか出来ないのが現状です。
(2)だからこそ、特に症状がなくても、40歳を過ぎたら、年に一度は眼科専門医で検査を
受けることをおすすめします。
『本当は怖い口臭〜消えない悪臭〜』
K・Nさん(女性)/52歳(発症当時)
OL
大手メーカーに30年勤めるベテラン事務員K・Nさんは、控えめで内向的な性格の持ち主。綺麗好きでもある彼女は、焼き肉を食べた翌日、同僚から口臭を指摘されて徹底的に歯を磨きますが、完全に口臭が消えた気がしませんでした。その翌日、今度は彼女が話しかける度に、後輩が鼻を指で押さえる仕草をするのが気になり出したK・Nさん。彼女の口臭への思い込みは、エスカレートするばかりでした。
(1)口臭
(2)口臭が続く
(3)口臭が治らない
(4)口臭がひどくなる
(5)向かいのホームにまで口臭が届く
(6)ひきこもり
自臭症(じしゅうしょう)
<なぜ、口臭から自臭症に?>
「自臭症」とは、実際にはほとんど臭っていないのに、自分の口臭を気にするあまり、様々な思い込みに囚われてしまう精神の病。悪化すると外出できなくなったり、思い詰めて自らの命を絶つケースも報告されています。この自臭症、年々増加する「清潔志向」とともに急速に患者数を増やしつつある、典型的な現代病なのです。では一体、どんなタイプの人が自臭症に陥りやすいのでしょうか?実はこの病、患者の圧倒的多数が女性。それもK・Nさんのように内向的で、他人に気を使うタイプ。とりわけ、綺麗好きな性格の人がかかりやすい傾向にあります。つまり、他人に迷惑をかけたくないという強い思いがエスカレートした結果発症する、心の病なのです。自臭症を発症する最大のきっかけ…それは、「臭う」という他人の言葉。確かに最初に同僚から口臭を指摘されたあの時、K・Nさんは前日の食事のせいで、少々口臭を発していました。しかし、その後の「口臭が治らない」、「口臭がひどくなる」といった症状は、すべて彼女の思い込み。その後は口臭など発していなかったのです。にも関わらず、最初に口臭を指摘された時の負い目を心に深く刻み付けてしまった結果、周囲で起きるささいな言動が全部自分の口臭のせいに違いないと思い込んでしまったのです。幸いほどなくK・Nさんは、専門医のカウンセリングを受けることができました。その結果、少しずつ口臭への思い込みを解消することに成功。今では、元通りの社会生活を送れるようになりました。
「口臭が気になる場合…」
(1)もし口臭が気になるのなら、迷わず、お近くの口臭外来を受診することをおすすめします。
(2)本当に自分に口臭があるのか?あるのならその原因は何なのか?きちんと診断してくれるはずです。