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『本当は怖い冷え性~蒼白の偽り~』 |
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H・Iさん(女性)/38歳(発症当時) |
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仲居 |
老舗の温泉旅館で働く仲居、H・Iさんの悩みは冷え性。特に辛いのは水まわりで、洗い物をする度に身を切られる思いでした。でも毎年のことだから仕方ない…と半ば諦めていたH・Iさん。ところがある日、ふとした拍子に手を見てみると、かじかんだ指先がいつもより白くなっていました。お風呂で温めると指先は再び生気を取り戻したため、安心してしまったH・Iさんですが、さらなる異変が襲いかかります。 |
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(1)両手の指先が白っぽくなる
(2)指先の白い範囲が広がる
(3)指先の色が白からうす紫に変わる
(4)指先の色が真っ赤に変わる
(5)外気に触れただけで指先が白くなる
(6)指先が黒く変色する
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全身性エリテマトーデス |
<なぜ、冷え性から全身性エリテマトーデスに?> |
「全身性エリテマトーデス」とは、本来身体を守るはずの免疫が異常をきたし全身を攻撃。関節や腎臓に炎症を起こす膠原病の一種です。なぜこの病を発症するのか原因は定かではありませんが、患者の約9割が女性と言われています。そして実はこの病の初期に、患者のおよそ半数に現れる症状があると言います。その症状こそ、レイノー現象。レイノー現象とは、指先が冷えた時に色が白から紫に変わり、その後、温めると赤へと変化するのが特徴。冷え性の人に多く現れ、その数はおよそ300万人にも。しかし、色の変化だけで大事に至る事はありません。ところが、そのごく一部に全身性エリテマトーデスの初期症状として現れるレイノー現象もあるのです。まさに、H・Iさんの場合がそうでした。全身性エリテマトーデスによって交感神経が過敏になり、指先の血管が異常に収縮。血が通わなくなった結果、白から紫に、その後、温めたことで血流が復活し赤くなったのです。そうとも知らないH・Iさんに、偶然出来てしまったささくれ。あれこそが致命的でした。指先に血液が通わなくなった結果、免疫力が低下。ささくれから侵入した細菌すら退治できず、壊死が起きてしまったのです。その結果、指先の切断という悲劇に見舞われたのです。不運にも、指先を失くしてしまったH・Iさん。しかし、その身体を蝕む本当の病の正体を知ることが出来た彼女は現在、順調に治療を続けています。レイノー現象は一見しただけでは、安全なものか、全身性エリテマトーデスによるものか、見分けることは出来ません。だからこそ、レイノー現象を自覚したら、念のため膠原病の検査を受けることが大切なのです。 |