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『本当は怖いめまい~悲劇のスパイラル~』 |
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Y・Sさん(女性)/29歳(発症当時) |
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専業主婦 |
念願の子宝を授かったことがわかり、夫と一緒に喜んでいたY・Sさん。しかし数日後、片付け物を終えた時、突然グルグルと回るようなめまいに襲われました。1週間後、今度は下腹部の激しい痛みに襲われた彼女は、すぐに病院に行きますが、妊娠3ヵ月目で流産をしてしまいます。そんな悪夢から1年、再び妊娠したY・Sさんは、二度と同じ過ちを繰り返さないよう体調管理に細心の注意を払っていましたが、さらなる異変が続きました・・・。 |
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(1)めまい
(2)1年前と同じめまい
(3)ふくらはぎが網の目状に赤くなる
(4)ろれつが回らない |
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抗リン脂質抗体症候群 |
<なぜ、めまいから抗リン脂質抗体症候群に?> |
「抗リン脂質抗体症候群」は、膠原病の一種。体内にできた抗リン脂質抗体という異物が、突如暴走を開始、血栓を発生しやすくするというもの。脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあるのです。残念ながら、どうしてこうした暴走が起きるのかは、ほとんどわかっていません。ただ欧米の調査では、100人に1人がこの抗体を持っていることが確認されています。この病気の特徴は、2対1の割合で女性に多いこと。特に問題視されているのが、妊娠中の女性です。実は妊娠をきっかけに発病することが多いのです。その結果、胎盤の血管に血栓が発生し、赤ちゃんに充分な栄養が届かなくなり流産しやすくなると考えられています。Y・Sさんの2度に渡る流産は、この抗リン脂質抗体症候群が原因でした。そしてY・Sさんを襲った様々な異変は、脳や足の血管に一時的に血栓ができたことが原因でした。この病の特徴は、全身のあらゆる血管に血栓ができ、多種多様な症状が現れること。そして女性の場合、流産を繰り返してしまうことが重要なサインなのです。実際、Y・Sさんのように、繰り返し流産することがきっかけで、この病が発見されるケースは、少なくありません。だからこそ、心当たりがある場合は、早めに検査を受けることをお勧めします。「抗リン脂質抗体症候群」の血液検査は、内科や産婦人科で希望すれば、誰でも受けることが可能なのです。2回目の流産から1年、血栓を出来にくくする治療を受けながら、Y・Sさんは無事、念願の我が子を出産しました。そう、この病はその存在を知ることが出来れば、薬でコントロールすることも可能なのです。 |