診察室
診察日:2007年2月27日
テーマ: 『本当は怖い肩の痛み〜引き裂かれた幸福〜』
『本当は怖い浅い眠り〜魔の目覚まし時計〜』

『本当は怖い肩の痛み〜引き裂かれた幸福〜』

I・Tさん(女性)/56歳(発症当時) 無職
夫に先立たれ、一人暮らしのI・Tさんの一番の楽しみは、可愛い孫を預かって遊び相手をすること。ところがある日、孫から急に手を強く引っ張られたとき、一瞬肩に痛みが走りました。数日後、洗濯物を干そうとすると、腕が上がらないことに気付いたI・Tさん。娘から「五十肩だから放っておいても治る」と言われ安心していましたが、その後も気になる異変が続きました。
(1)肩の痛み
(2)腕が上がらない
(3)肩にズキンとした痛み
(4)腕に力が入らない
(5)肩の痛みで目が覚める
(6)肩の痛みで何度も目が覚める
腱板断裂(けんばんだんれつ)
<なぜ、五十肩のはずが腱板断裂に?>
「腱板断裂」とは、文字通り、肩の筋肉の腱が切れることで、様々な障害を引き起こす病です。腱板が完全に切れたまま、長い間放置すると切れた範囲が広がってしまい、手術をしても修復が難しくなるばかりか、最悪の場合、腕が完全に上がらなくなってしまうこともあります。50代以降に多く発症するといわれるこの病。その原因は加齢。肩と腕を繋ぎ、関節を動かす腱板は、長い間、使い続けることで弱くなっていきます。つまり、年を取れば誰もがほんの小さなきっかけで、切れやすい状態になってしまうのです。I・Tさんの場合は、孫に腕を引っ張られたことがきっかけ。それだけで腱の一部が切れてしまいました。腱板断裂は、日常生活で誰にでも起きる可能性があるのです。しかしこの病は、まだあまり知られていないため、加齢による炎症である普通の五十肩と勘違いしてしまう事が多いのです。これが落とし穴。I・Tさんも、そのまま放っておいた結果、熱い湯船から手を引っ込めた時、ついに腱板が完全に切れてしまいました。そのため、玉ネギさえ切れなくなり、寝ている時でも痛みを感じるようになってしまったのです。幸いにもI・Tさんは、手術が出来る段階だったため、無事、腱板を修復することができました。
「家庭で簡単にできる!肩の動きをよくする体操」
五十肩の予防になる!【スイングエクササイズ】
(1) 安定した椅子に座る
(2) (片腕ずつ)腕を斜め前に真っ直ぐ上げる
(3) 指先が引っ張られるように身体を動かす
(4) 楽に呼吸をしてできるくらいにする
(5) 反対の腕でも同じことをする
1日に1回片腕5回ずつすると効果的です。
※肩に違和感や痛みを感じた場合は、無理に行わないで下さい。
『本当は怖い浅い眠り〜魔の目覚まし時計〜』
K・Mさん(男性)/59歳(発症当時) ホテルマン
都内のホテルに勤めるK・Mさんは、ホテルマン一筋40年。疲れを翌日に残さないよう睡眠を充分とることを心がけていましたが、最近、夜中に目を覚ましてしまうことが増えていました。年をとると眠りが浅くなるのは仕方ないと思っていたK・Mさん。しかし、その後も気になる症状が続いたのです。
(1)浅い眠り
(2)足がだるい
(3)昼間、眠くなる
(4)立ったまま寝てしまう
周期性四肢運動障害(しゅうきせいししうんどうしょうがい) 
<なぜ、浅い眠りから周期性四肢運動障害に?>
「周期性四肢運動障害」とは、眠っている間に、何らかの原因で足が知らず知らずのうちに痙攣。その結果、不眠症に陥ってしまう病。まれに手に痙攣を起こす人もいます。この病の特徴は一度痙攣が始まると、加速度的にその頻度が増していくことです。本人は気付いていませんが、足は休むことなく動き続けているのです。現在、睡眠に何らかの問題がある人は2500万人。そのうち約3割の750万人が、この周期性四肢運動障害といわれています。しかし、そのほとんどの人が自分がこの病になっていることすら気付いていないのが現状なのです。そもそも私たちの筋肉は、脳の情報を伝えるドーパミンという物質が体内を行き交うことで動いています。しかし、何らかの原因により、このドーパミンの分泌が減少することがあります。すると、脳からの指令が誤って足に伝わり、知らず知らずのうちに痙攣を起してしまうことがあるのです。なぜドーパミンが減り始めるのか?その詳しい原因は、まだ解明されていません。だからこそ、この病はいつ誰が発症してもおかしくなく、気付きにくいといわれているのです。周期性四肢障害は、その存在に気付けば投薬により劇的に回復します。だからこそ、もし不眠に悩んでいたら、眠っている間の足の様子を誰かに観察してもらうことが大切なのです。