 |
『本当は怖いストレス~理不尽な囁き~』 |
 |
S・Kさん(女性)/33歳(発症当時) |
 |
OL |
大手文具メーカーに入社以来、宣伝畑一筋、今ではチームリーダーを務めるS・Kさん。やりがいのある仕事に充実した毎日を送っていましたが、最近来た新しい上司が悩みの種になっていました。彼は何事も大雑把で具体的な指示をくれない上、徹夜で仕事をこなしてもねぎらいの言葉もなく、すぐ別の仕事をふってくる始末。しかし、上司の命令を拒む訳にはいかず、S・Kさんにとって大きなストレスになっていたのです。それでも食欲は旺盛で、夜もすぐに熟睡できるため、大丈夫と思っていたS・Kさん。ところが翌朝から、様々な異変が彼女に襲いかかるようになります。 |
 |
(1)食欲が増す
(2)よく眠れる
(3)手足が鉛のように重い
(4)好きな人と話すと症状が和らぐ
(5)突然キレてしまう
(6)ベッドから起き上がれない
(7)無性に悲しくなる
(8)イライラする |
|
非定型うつ病 |
<なぜ、ストレスから非定型うつ病に?> |
「非定型うつ病」は、うつ病の一種ですが、従来のうつ病とは症状が異なるため、1994年、アメリカで新しく分類された病。16歳から30代半ばの女性に急増していると言われています。一見、うつには見えないため、見逃しやすく、自殺など最悪の事態に至ってしまうことも少なくありません。「非定型うつ病」の初期症状は、通常のうつ病とは真逆。食欲が増したり、よく眠れたりするため、健康に見えてしまうことが大きな落とし穴。しかし重症化してしまう理由はそれだけではありません。S・Kさんの場合、母親からの1本の電話で急激に症状が改善しました。実はこれが「気分反応性」というこの病、最大の特徴。自分にとって好ましいことがあると、突然、症状が改善。そのため、発見がさらに遅れてしまうのです。発症の原因は通常のうつと同じくやはりストレス。S・Kさんの場合も、あの身勝手な上司の存在が大きなストレスとなり、知らず知らずのうちに病を発症。そして、一気に重症化してしまったと考えられます。S・Kさんが普通のうつではなく、なぜ非定型うつになったのかは、残念ながらわかりません。しかし、この病は、症状が重くなる前ならば、ストレスの原因から一時的に遠ざかり、休養することで改善できる病。そのためにも早期発見が大切なのです。 |