診察室
診察日:2007年7月17日
高血圧スペシャル
テーマ:
「本当は怖い高血圧」

『本当は怖い高血圧』

Y・Yさん(男性)/45歳(発症当時) サラリーマン
中堅商社に勤めるY・Yさんは、仕事熱心で部下からも一目置かれる、やり手営業マン。ところが、家に帰ると2年前に結婚した20歳も年下の妻にデレデレの毎日。そんなY・Yさんにとって最近の悩みは、決まって仕事中に起きる頭痛。頭全体が締め付けられるような痛みに襲われるのです。それから2年、相変わらず職場では頭痛を感じつつも、毎年の健康診断では血圧が少し高めながら、高血圧とは診断されなかったため、特に気にも留めていなかったY・Yさん。しかしその後、また様々な異変に襲われるようになります。
(1)頭全体が締め付けられるような頭痛
(2)動悸・息切れ
(3)手がしびれる
(4)ろれつが回らない
仮面高血圧(結果、脳梗塞に)
<健康診断で高血圧ではなかったのに、なぜ脳梗塞に?>
「仮面高血圧」とは、通常の健康診断では発見されない高血圧症のこと。普段の生活では高血圧なのに、病院で測ると血圧値は正常なため、見過ごされてしまうという恐ろしい病です。では、Y・Yさんは1日のうちで、いつ、高血圧になっていたのでしょうか?そもそも血圧は、1日のうちで状況により大きな変動を繰り返しています。しかし、健康な人は、血圧の上の値が140を越えることはありません。では、Y・Yさんの場合はどうだったのでしょうか?午前6時をピークに、いったんは下がっていたのですが、会社にいる9時から午後5時の時間帯は、再び140以上に上昇していたのです。そう、彼は仕事をしている間だけ血圧が上昇する高血圧症だったのです。Y・Yさんのように、働き盛りで仕事熱心な人ほど、ストレスを強く感じ、職場でだけ高血圧になりやすいと言われています。事実、2005年に、ある役所に勤める人々を調べたデータによれば、4人に1人は職場で高血圧になるという結果が出ているのです。しかしY・Yさんは、年に1回の健康診断で、血圧をチェックしていたはず。それなのになぜ、発見されなかったのでしょうか?実はY・Yさんのような、仕事中に高くなるタイプの高血圧は、職場のストレスから離れることでリラックスし、健康診断では血圧が低く出てしまうケースが多いのです。さらに喫煙者は、健康診断や病院ではタバコが吸えなくなるため、その時だけ血管が拡張し、血圧が低く計測されてしまうこともあります。これこそが、仮面高血圧の最大の特徴。病院で測った血圧だけでは不十分なのです。現在、仮面高血圧の患者は、血圧が正常だと思われている人の中の、10人に1人。なんと、900万人にも上ると考えられています。一刻も早く自分の本当の血圧を知ることが、この病から身を守る唯一の方法なのです。
高血圧予防 味噌汁レシピ