 |
『本当は怖い腰痛~真夏の夜の悪夢~』 |
 |
Y・Mさん(男性)/43歳 |
 |
サラリーマン |
サラリーマンのY・Mさんは、学生時代、名サーファーとしてならした夏男。しかし今ではその面影もなくお腹に肉がつき、なぜか最近じっとしていても腰に鈍い痛みが起きるようになっていました。そんな中、家族で3泊4日のキャンプに出かけることになったY・Mさん。この機会に子供たちと目一杯遊んでやろうと考えた彼は、一緒にボートに乗ったり、森をハイキングしたりと張り切っていましたが、腰にいつもより少し強い痛みを感じます。腰の異変はその後もどんどん悪化していきました。 |
 |
(1)腰の鈍い痛み
(2)いつもより少し強い腰の痛み
(3)腰の激痛
(4)腰から腹部へ広がる痛み |
|
尿路結石(にょうろけっせき) |
<なぜ、腰痛から尿路結石に?> |
「尿路結石」とは、腎臓、尿の通り道である尿管などに石が詰まり、激しい痛みをもたらす病です。発症者は年々増加し、今や日本人の10人に1人がかかるといわれる身近な病のひとつ。ではなぜ、尿路に石が出来てしまうのでしょうか?尿路結石の主な成分は、「シュウ酸」という酸性物質と、「カルシウム」が結合してできた「シュウ酸カルシウム」というもの。それらが集まり結晶化、大きくなったものが石になるのです。そもそも私たちの腎臓は、日々不要になったシュウ酸やカルシウムを尿に排出しています。そのため微量ですが、シュウ酸カルシウムは生み出されているのです。ですが、通常その量は少なく、結晶化する前に体の外へ排泄されてしまいます。しかし、何らかの原因でシュウ酸カルシウムが増えてしまうと、尿の中で結晶化し、石が出来てしまうのです。では、Y・Mさんの場合、なぜシュウ酸カルシウムが増えてしまったのでしょうか?最大の原因は、「偏った食生活」。とりわけ問題だったのは、彼が肉類ばかりを好んで食べていたことです。実は肉のような動物性タンパク質には、酸性物質が数多く含まれています。そのため、Y・Mさんのように食べ過ぎると、血液中に必要以上に酸性物質が増えてしまい、腎臓がそれを不要なものとして尿の中に排出。このとき、同じ酸性物質であるシュウ酸も、通常よりも多く尿の中に流れこんでしまうのです。その結果、より多くのシュウ酸とカルシウムが結合。さらに、増えすぎたシュウ酸カルシウムが結晶化して大きくなり、石になってしまいました。それが症状として現れたのが、あの腰の鈍い痛み。原因は石が腎臓を刺激したこと。あの痛みは腰ではなく、腎臓の異常だったのです。ではなぜ、Y・Mさんは、突如、激痛に襲われる状態にまでなってしまったのでしょうか?それは、あの夏休みのキャンプ旅行に原因がありました。日頃のツケを埋め合わせようと、大奮闘したY・Mさん。彼の額には、いつも大粒の汗がありました。汗をかくことで、体から水分が蒸発。すると腎臓は、これ以上体から水分が出て行かないよう、尿として排泄する水分を減らしてしまうのです。その結果、Y・Mさんの尿の中では、石がぶつかりやすくなり、さらに大きくなってしまったのです。この時、Y・Mさんの腎臓に出来た石は、直径6ミリにまで成長。この石が尿管の途中で詰まったことで、あの激痛が起きてしまったのです。尿路結石は、バランスの悪い食生活と、水分不足のために尿が濃くなることで起きる生活習慣病。日々の生活習慣を変えることで、発症や再発を防ぐことができるのです。 |