 |
『本当は怖い足の冷え~無知の落とし穴~』 |
 |
H・Mさん(女性)/58歳 |
 |
専業主婦 |
テレビドラマと食べることが大好きで、殆ど体を動かしていなかったH・Mさん。前回の健康診断では、夫婦ともに総コレステロール値はほぼ同じ。そのため、基準値をオーバーしていたものの、夫から運動不足を指摘されても、タカをくくっていましたが、最近、右足だけがひどく冷えるのが気になっていました。3ヵ月後、ようやく日頃の運動不足を解消しようと夫が日課にしているウォーキングを始めることにしたH・Mさん。そんな彼女を更なる異変が襲い続けました。 |
 |
(1)片足の冷え
(2)足が痛んで歩けなくなる
(3)靴ずれが悪化する
(4)眠れないほど足が痛む |
|
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう) |
<なぜ、足の冷えから閉塞性動脈硬化症に?> |
「閉塞性動脈硬化症」とは、足の血管で動脈硬化が進行。動脈が詰まることで、様々な症状が現われる病です。最悪の場合は、片足の切断も余儀なくされます。そもそも動脈硬化とは、血液中に過剰に増えたコレステロールが、血管壁に蓄積。血液の通り道が狭くなってしまう状態のこと。とはいえ、総コレステロール値はH・Mさんも夫も、同じくらい高かったはず。実は本当に注意すべきは、“あと二つの”コレステロール値だったのです!夫の場合、LDLと呼ばれるコレステロール量は135とギリギリだったのですが、基準値内でした。このLDLコレステロールこそ、血管壁に溜まり動脈硬化を引き起こすもの。そのため、悪玉コレステロールと呼ばれています。一方、夫のHDLと呼ばれるコレステロール量を見ると、なんと基準値の2倍、80もありました。実は、このHDLコレステロール、悪玉コレステロールが血管壁に溜まらぬよう清掃車のように回収する働きがあり、善玉コレステロールと呼ばれています。つまり夫は、大量の善玉コレステロールが悪玉コレステロールを回収していたため、動脈硬化を進行させずに済んでいたのです。ところが、H・Mさんの場合は、悪玉コレステロール値が非常に高くなっていた一方、カロリーの高い食生活によって善玉コレステロールはごくわずか。そのため、血管壁に溜まったコレステロールを回収できず、動脈硬化が急速に進行してしまったのです。しかし、そのことを知らなかったH・Mさんは、「肝心なのは総コレステロール値」と、大きな勘違いをしてしまったのです。こうした誤解を避けるため、日本動脈硬化学会が発表した新たな病名こそ「脂質異常症」。「高脂血症」の診断基準の中から、総コレステロール値を削除。名称を「脂質異常症」と改め、悪玉コレステロール、善玉コレステロール、中性脂肪という三つの基準に絞り込んだのです。もちろん、閉塞性動脈硬化症の原因は、脂質異常症だけではありません。長年の喫煙や、糖尿病、高血圧などの要因にも注意が必要なのです。 |