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『本当は怖いダイエット~悪魔の覚醒~』 |
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T・Sさん(女性)/28歳 |
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会社員 |
大手化粧品メーカーで働くT・Sさんは、入社6年でチームリーダーになったキャリアウーマン。しかし、仕事に熱中するあまり2年間も彼氏がなく、なんとか20代でゴールインするのを目標にしていました。そんな中、外資系のエリートサラリーマンとの合コンを1ヵ月後に控え、ダイエットを始めたところ、右の鎖骨の辺りに小さなしこりがあることに気付いたT・Sさん。その後も様々な異変が彼女に襲いかかりました。 |
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(1)首のしこり
(2)寝汗
(3)微熱
(4)しこりが赤く腫れる
(5)頭痛
(6)嘔吐 |
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結核性リンパ節炎⇒結核性髄膜炎(けっかくせいずいまくえん) |
<なぜ、ダイエットから結核性髄膜炎に?> |
「結核性髄膜炎」とは、結核菌への感染が原因で、脳の髄膜が炎症を起こす病のこと。あっという間に症状が進行し、最悪の場合、死に至る恐ろしい病です。実はT・Sさんも、人ごみなどで結核菌に感染し、保有していたのです。結核は、日本最大の伝染病。年々、減少してはいるものの、今なお毎年2万6千人もの新しい患者が、結核を発病。さらに発病していなくとも、感染している人の数となると、推定で2500万人以上に達するとも言われています。かつては年間10万人が死亡していたこの病も、薬の発達や栄養状態の改善によって、発病にまで至る人は着実に減り続けてきました。では、そんな状況の中、なぜT・Sさんは、結核を発病してしまったのでしょうか?そもそも、結核菌は鼻から侵入し、肺の奥深くにある肺胞にまで到達します。健康な人の場合、ここで免疫細胞がいっせいに集まり、結核菌を取り囲んで封じ込めてしまいます。ところが彼女の場合、あることが原因で免疫力が低下していたために、結核菌を増殖させてしまったのです。その原因が・・・あの偏ったダイエット。彼女のように偏った食生活を続けていると、栄養状態が悪化し全身の免疫力が極端に低下。結核を発病してしまうことがあるのです。事実、結核の専門機関である結核予防会も、極端なダイエットは、結核を発病しやすくする危険な条件の一つとして警告しています。T・Sさんの場合も、免疫力の低下に伴い、免疫細胞の殺菌力も低下。結核菌は次々と増殖し、ついには免疫細胞を破壊。そして増殖した結核菌が、再び免疫細胞に取り囲まれ移動。肺から鎖骨の上のリンパ節まできたと考えられます。ここでも結核菌は、次々と増殖し、ついに結核を発病してしまったのです。T・Sさんに現れたあの首のしこりこそ、リンパ節に侵入した結核菌が増殖していたサインでした。これが「結核性リンパ節炎」と呼ばれるもの。原因はわかっていませんが、結核の中でも特に若い女性に多い病なのです。しかしT・Sさんは、そんなこととは知らず、首のシコリをそのまま放置し、無理なダイエットを続けてしまいました。そのためリンパ節の中で、結核菌が一層増殖。赤く腫れるまでになってしまったのです。それでも病院を訪れることなく、偏ったダイエットを続けてしまったT・Sさん。その後、増殖した大量の結核菌は、血流に乗って脳の髄膜にまで到達。ついに、髄膜炎を発症してしまったのです。 |