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『症例 心筋梗塞~徳光和夫さんの場合~』 |
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徳光和夫さん(男性)/67歳(現在) |
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フリーアナウンサー |
今から7年前、ちょうど60歳の還暦を迎えたばかりの頃、突然病に倒れた徳光和夫さん。当時、週に6本のレギュラー番組を抱えていた彼は、休みはほとんどなく、収録が終っても別の打ち合せで仕事が深夜に及ぶこともしばしば。さらにストレス解消法として、徹夜で麻雀をし、タバコは1日に100本以上。毎日の睡眠時間は、4、5時間。美味しいものには目がなく、魚の肝や魚卵など脂っこいものが大好きという生活を送っていました。そんなある日、ゴルフを終え、夕食をとりながら仕事の打ち合せをしていた徳光さん。しかしなぜか食事が美味しく感じられず、胃の辺りに、えも言われぬ不快感を覚え始めます。本人はその異変を食事が合わなかっただけと思っていましたが、症状はますますひどくなっていきました。 |
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(1)胃の不快感
(2)吐き気
(3)大量の発汗
(4)衰弱して立ち上がれない |
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急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく) |
<なぜ、胃の不快感から急性心筋梗塞に?> |
「急性心筋梗塞」とは、心臓を動かす血管「冠状動脈」が、何らかの原因で突然詰まり、血流がストップ。心臓の筋肉が壊死し、最悪の場合、命を失う恐ろしい病。現在、日本では毎年約25万人がこの病で倒れ、そのうち4万人もの人が亡くなっています。そんな急性心筋梗塞に襲われ、緊急手術を受けた徳光さん。手術の時、徳光さんの心臓は右の冠状動脈が完全に詰まっており、もはや心臓の約4割に血が通っていませんでした。もう少し処置が遅れていたら最悪の事態もありえた、とても危険な状態だったのです。医師の適切な判断のおかげで、幸い一命は取り留めた徳光さん。しかし発症から16時間も経過していたため、その後3日に渡り、集中治療室での治療を受けることになってしまったのです。それにしても、それまで何の前兆もなかった徳光さんが、なぜ突然、心筋梗塞になってしまったのでしょうか?一番の原因は、食生活にありました。徳光さんのように、コレステロールが高い食事ばかりしていると、血管内では血中コレステロールが高い状態になってしまいます。さらに、もうひとつ悪しき生活習慣が喫煙です。喫煙の影響で傷ついた血管の壁に、コレステロールが侵入。すると不安定プラークというコレステロールの塊が作られてしまいます。徳光さんの血管壁にも不安定プラークができていたと考えられるのです。しかし、この段階ではまだ血流が保たれています。そのため徳光さんは動悸や息切れといった、心筋梗塞の前段症状を訴えることはありませんでした。ところが、一度この不安定プラークが破裂すると、そこに集まってくる血小板などにより、血管が急激に塞がれてしまうのです。ではなぜ、徳光さんの血管内に潜んでいた不安定プラークは、突然破裂したのでしょうか?その大きな要因の一つと考えられるのが、多忙による疲労とストレス。疲労やストレスは、心拍数をあげるホルモンの分泌を促し、血圧を上昇させます。そして勢いを増した血流の影響で不安定プラークが破裂。冠状動脈がせき止められてしまったと考えられるのです。徳光さんを死の淵に追い詰めた犯人は、無謀ともいえるその生活習慣と、働き過ぎによる疲労とストレスだったのです。手術から1ヵ月。徳光さんは無事、仕事に復帰することができました。そして今、「今回は本当に助かったというより助けられた。生きているというより生かされていると実感している」と語ってくれました。 |