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『本当は恐い寝言~真夜中の暴君~』 |
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K・Yさん(男性)/53歳(現在) |
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会社員 |
今から6年前、長年働いていた経理部から営業部へと異動になったK・Yさん。慣れない仕事と人間関係に戸惑い、帰宅時間も以前よりかなり遅くなったため、明らかに疲れているように見えました。人事異動から1ヵ月後、妻のTさんが目を覚ますと、何やら寝言を言っていたK・Yさん。仕事で疲れているのだろうと、妻のTさんは特に気に留めていませんでしたが、その後もK・Yさんの異変は続いたのです。 |
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(1)寝言を言う
(2)隣で寝ている妻の足を蹴る
(3)大声ではっきりした寝言
(4)隣で寝ている妻を殴る |
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レム睡眠行動障害 |
<なぜ、寝言からレム睡眠行動障害に?> |
「レム睡眠行動障害」とは、夢で体験している事をそのまま言葉として発したり、行動に移してしまったりする病のこと。原因はまだはっきりとはわかっていませんが、K・Yさんの様に真面目でストレスを溜めやすいタイプの人が、この病を発症し易いと言われています。ある調査によれば、現在この病の患者数は、推定12万人。しかも、その患者の8割が50代以上の男性だと報告されています。この病にかかると、患者本人の気付かないところで、自分だけでなく隣に寝ているパートナーをも怪我をさせてしまう恐れがあるのです。しかし、一体なぜ、こんな異常行動が起きてしまうのでしょうか?そもそも人間の眠りは、2つの状態を繰り返す事で成り立っています。眠りが浅く、夢を見る「レム睡眠」と、眠りが深く夢を見ない「ノンレム睡眠」です。健康な人の場合、夢を見ているレム睡眠中には、脳からの命令が遮断され、寝言も身体を動かすこともありません。通常、寝言を言ったり身体を動かしたりするのは、夢を見ていないノンレム睡眠の時だけなのです。ところが、この病を発症すると、何らかの原因で脳幹部の機能が低下。レム睡眠中にも関わらず、脳の命令がそのまま身体に伝わり、夢の中で発した言葉や行動が、実際に寝言や身体の動きとなって現れてしまいます。そのため、夢の内容と一致した寝言や行動をとるようになるのです。この病を見分ける最大のポイントは、悪夢による、寝言・行動をしているかいないかなのです。現在、K・Yさんは、薬による対処療法を続けており、異常な行動を起こすことはほとんど無くなったと言います。だからこそ、大きな事故を起こす前に、病を早期発見する事が何より大切なのです。 |