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『患者の体と心に優しいポートアクセス心臓手術』 |
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S・Kさん(女性)/30歳(現在) |
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2007年12月、病院で検査を受け、「僧帽弁閉鎖不全症」であることがわかったS・Kさん。地元の医師は、ここまま放置すれば命に関わる可能性も高いと判断。彼女に手術の必要を告げました。通常、この病は胸を20pほど開き、そこから直接心臓にメスを入れ、痛んだ僧帽弁を正常に機能させる手術が一般的です。S・Kさんもその手術を勧められましたが、胸を切りたくない彼女は思い悩みました。そんな時、S・Kさんは、画期的な治療法「ポートアクセス心臓手術」と出会ったのです。 |
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僧帽弁閉鎖不全症 ⇒ ポートアクセス心臓手術により回復 |
<患者の体と心にやさしい「ポートアクセス心臓手術」> |
「ポートアクセス心臓手術」とは、右胸の一部を約6センチほど切開するだけで行なう手術。肋骨と肋骨のすき間を利用し、その小さな穴から心臓にアプローチします。肉体的負担が少ないばかりでなく、傷跡も目立たないため、患者さんの精神的負担も軽減されるという画期的な手術。しかし、この時、従来の手術にはない困難も伴います。それは、患部から穴の入り口までが20センチ以上離れていること。全ての作業を20センチ先で行わなければならないということ。そのため、離れた場所でも作業がこなせる特殊な器具が不可欠。心臓血管外科の名医・四津先生は、これまで離れた場所での作業を可能にする「ノットプッシャー」といわれる器具の開発・改良に努めてきました。3月28日。ついに手術の時がやってきました。S・Kさんの心臓は僧帽弁を支える腱索が伸びきってしまい、弁の位置がずれていました。この腱索を正常に機能させなければなりません。そこで、まずは右胸をおよそ6センチ切って、心臓へアプローチ。次に心臓の動きを止める必要があるため、全身に血液を送る大動脈を遮断し、同時に心臓と肺の役割を担う人工心肺装置を稼動。こうすることで心臓を通さず、全身に血液を循環させることができるのです。その後、穴の入り口から20センチ先にある心臓にメスを入れ、僧帽弁へ。そこでまずは正常な腱索の長さを正確に測ります。そしてその長さに合わせ、丈夫な化学繊維を使った人工腱索を作成。これを伸びきった腱索の代わりに、乳頭筋と呼ばれる部分と僧帽弁に縫い付け、弁を正しい位置に引き戻すのです。ポートアクセス手術で最も高い技術が要求されるのがこの時。なぜなら人工腱索が縫い付けられる乳頭筋も僧帽弁も非常にもろく、ほんのわずかでも力の入れ具合を間違えれば、傷ついてしまうのです。しかも作業は全て20センチ先。果たして四津先生は手術を成功させることができるのでしょうか?午前10時15分、いよいよ手術開始。そして4時間半後、手術は無事終わり、S・Kさんの心臓は再び動き始めました。弁のギクシャクした動きも消え、逆流は全くなっていました。手術は成功したのです。5日後、手術後はじめて胸の傷あとを確認したS・Kさん。傷は乳房を持ち上げなければ見えないほどでした。ポートアクセス手術、それは患者さんの体にも心にも優しい最新治療なのです。 |