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『本当は怖いメタボリックシンドローム~忍び寄る沈黙の悪魔~』 |
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N・Kさん(女性)/50歳(現在) |
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主婦 |
友達との焼き肉パーティを年中行事のように開いていたN・Kさんは、年々体重が増え続け、今や話題のメタボリック体型に。これはまずいとメタボ検診を受けたところ、血圧はちょっと高め、HDLコレステロールもやや悪く、メタボリックシンドロームと診断されてしまいました。しかし、血糖値、中性脂肪ともに正常の範囲内だったため、安心してしまったN・Kさん。そんなある日、夕方の買い物に出かけようとした時、足がむくんで履きなれた靴が入らないことに気付きました。よくあることと特に気にも留めていなかったN・Kさんですが、気になる異変はその後も続いたのです。 |
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(1)足のむくみ
(2)だるい
(3)多尿
(4)頻尿
(5)だるさが取れない
(6)朝から足がむくむ
(7)むくみが消えない |
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腎不全 |
<なぜ、メタボリックシンドロームから腎不全に?> |
「腎不全」とは、腎臓の機能が低下し、血中の老廃物が排泄できなくなる病。そのため体内の血液を全て機械でろ過する人工透析を週に3回も受けなくてはいけなくなるのです。腎臓は、血液をろ過し、余分な老廃物や塩分を取り除くという、重要な役割を担っています。さらに、赤血球を作るホルモン、エリスロポエチンを作り、全身に酸素を行き渡らせたり、血圧を調整したりするなど、生命を維持する上で欠かすことのできない臓器なのです。誰でもその機能は年齢とともに低下していきますが、N・Kさんの場合は腎臓の機能を急激に低下させたもうひとつの要因がありました。それが、あのメタボリックシンドローム。メタボリックシンドロームになると、高血圧、高血糖などが原因で全身の血管が動脈硬化を起こします。もちろん腎臓の血管でも同じことが。腎臓には糸球体といわれる血液をろ過する腎臓の血管が無数に存在しますが、この一つ一つが動脈硬化を起こすことで、ろ過する能力が低下してしまうのです。これが腎機能の低下です。N・Kさんの場合も、腎臓の機能は60%以下に低下していました。最近、この状態に新たな病名が付けられました。「慢性腎臓病」です。実は今日本で、この慢性腎臓病が急増中。ほぼ1割、1100万人の腎機能が60%以下に低下していると言われ、 “新たな国民病”として注目されているのです。最近の調査で、メタボリックの人は、そうでない人と比べ、慢性腎臓病になる危険性が、2.2倍にのぼることが分かっています。しかし、この病には落とし穴が。腎臓は“沈黙の臓器”。腎機能が60%ぐらいでは、はっきりとした症状が出ないのです。N・Kさんもメタボぐらいは大したことはないと、それまで通りの生活を続けてしまいました。その結果、腎機能はさらに悪化し、ついに30%にまで低下。この時点でようやく、あの「足のむくみ」という症状が現われたのです。しかし、N・Kさんは、いつものむくみと勘違いし、病を見過ごしてしまいました。そのため、さらに病が進行。尿の量が多くなる「多尿」や、回数が増える「頻尿」、赤血球の不足による「だるさ」といった症状が現われました。そしてようやく病院を訪れた時点では、腎機能は15%以下と、もはや回復不能なレベルにまで達していたのです。現在、N・Kさんは、毎週3回、透析治療を続けています。メタボを甘く見たことで、まさかこんなに辛い日々が待っていようとは・・・。 |