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「女性が恥ずかしくて受診しにくい病<2>」 |
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K・Sさん(女性)/40歳(発症当時) |
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主婦 |
40歳にして待望の赤ちゃんを授かったK・Sさん。20年来の便秘に悩まされてきた彼女ですが、最近は特にひどくなったように感じ、トイレに長居することもしばしば。そんなある日、排泄後トイレットペーパーに血が付いていることに気付いたK・Sさん。ちょっと切れたのかと特に気にしていませんでしたが、その後も気になる異変が続きました。 |
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(1)肛門から出血
(2)肛門からイボが飛び出す
(3)頻繁にイボが飛び出す
(4)肛門がヒリヒリ痛む
(5)イボが腫れあがる
(6)イボが戻らない |
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嵌頓痔核(かんとんじかく) |
<なぜ、出血から嵌頓痔核(かんとんじかく)に?> |
「嵌頓痔核」とは、痔核、いわゆるイボ痔が肛門の外に飛び出したまま、急に腫れあがり、戻らなくなってしまう、激しい痛みを伴う病です。そもそも人間の肛門の周りには、細かい静脈が集まって出来たクッションのようなものがあり、肛門を閉じる手助けをしています。このクッション部分が何らかの原因で膨張し、腫れ上がってしまうと、イボ痔となってしまうのです。その原因は、便秘などでの習慣的ないきみ。いきむことで肛門の細い血管に圧力がかかり、血流が悪化してうっ血し、腫れ上がってしまうのです。しかし彼女の場合、大きなきっかけは、別の、女性ならではの出来事にありました。妊娠と出産です。妊娠すると、大きくなった子宮が、下半身の血管を圧迫。血流を悪くさせ、肛門の血管もやはり、うっ血させてしまいます。そして、出産時の長時間のいきみが、さらなる大きな圧力をかけ続け、クッション部分のうっ血を増長させたのです。ある調査によると、妊娠・出産を経験した人のおよそ2人に1人が、痔の経験ありといわれるほど関係が深いのです。K・Sさんの場合、元々便秘で、いきみ続ける生活から、彼女の肛門内には、軽いイボ痔が発生していたと考えられます。それが妊娠と出産をきっかけに悪化。イボが大きく膨らんで出血し、外に飛び出してしまったのです。ところが、K・Sさんは恥ずかしさから病院を訪れることはありませんでした。さらに、彼女はトイレでいきみ続ける生活を続けた結果、ついにはイボの中の血流が悪くなり、固まって血栓に。イボは、大きく腫れ上がったまま、元に戻らなくなってしまったのです。イボ痔は、早期に受診すれば、薬による治療だけで改善できる病。にもかかわらず、このように、恥ずかしさから放置し続けてしまうため、結局手術になってしまうケースが多いのです。 |