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『本当は怖い手荒れ〜紅く染まる非常灯〜』 |
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T・Mさん(女性)/50歳 |
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自営業 |
東京下町で夫と二人、定食屋を営むT・Mさんは、ある日、手の指の関節と爪周りに赤みが広がっていることに気付きました。その症状を手荒れだと思った彼女は、「これは職業病のようなもの」と思い、ハンドクリームを塗って対処することに。しかし、1週間経っても手荒れは一向に良くならず、その1ヵ月後にはなぜか身体に力が入らず階段を上るのが辛くなってきました。年のせいで疲れが足腰にきたと思っていたT・Mさんですが、その後も手の赤みは増すばかりか、顔にも同じ症状が出るなど更なる異変が続きました。 |
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(1)手の赤み
(2)1週間たっても手の赤みがなかなか治らない
(3)身体に力が入りにくい
(4)手の赤みが増す
(5)上まぶたと小鼻の周りが赤い |
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乳ガン |
<なぜ、手荒れから乳ガンに?> |
乳ガンとは、乳房の乳腺に生じる悪性の腫瘍のこと。まれに男性にもありますが、圧倒的に多いのは40代から70代の女性。現在、日本では、女性のガンの中で最も患者数が多いガンです。
乳ガンの主な自覚症状は、乳房の「しこり」。しかし、触診だけでは早期といわれる2センチほどのしこりでも見逃されることがあり、早期発見が難しいガンの一つと言えます。しかし、この乳ガンにも実は皮膚の異常、「デルマドローム」が出ることがあるのです。それこそが…あの手荒れに似た「皮膚の赤み」。実はこれ、膠原病の一種で『皮膚筋炎』と呼ばれるもの。免疫機能の異常から、全身の皮膚や筋肉で炎症が起こる病です。T・Mさんの「皮膚の赤み」「体に力が入りにくい」といった異変は、全てこの皮膚筋炎の症状でした。
なぜ皮膚筋炎がガンのデルマドロームとして現れるのか、その理由はわかっていません。しかし、皮膚筋炎の人を調べると、かなりの確率で、乳ガン、肺ガン、胃ガン、大腸ガンなど、様々な悪性腫瘍を合併していることが明らかになっています。
ガンと皮膚筋炎、そのどちらが先かは、人によってまちまち。ただ、ガンを発症する1年前後に皮膚筋炎が発症すると言われるほど、両者は密接な関係にあるのです。T・Mさんの場合も、皮膚筋炎がきっかけとなって早期の乳ガンを発見。乳房を温存したまま、無事ガンを取り除くことに成功しました。
では、手荒れや湿疹などによる通常の皮膚の赤みと「皮膚筋炎の赤み」は、どこでどう見分ければいいのでしょうか?ポイントは、赤みの出る場所。皮膚筋炎の赤みは、両手両足の指の関節や爪の周囲、肘、膝、顔などに出ます。それも必ず左右対称、また同時に何ヶ所も発生するのが特徴です。こうした赤みを見つけたら、すぐに皮膚科を訪ねてみてください。癌の早期発見につながるかもしれません。 |