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『本当は怖い目のかすみ〜慢心〜』 |
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K・Yさん(女性)/58歳 |
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主婦 |
編み物が趣味のK・Yさんは、目のかすみや、遠くのものが見えにくいなどの異変が現れるようになり、近所の眼科から「白内障」と宣告されました。医師から手術は短時間で安全と聞いて、ほっと胸をなでおろした彼女。手術も無事終わり、翌日、眼帯をはずすと、驚くほど目が見えるようになりました。しかし、術後の経過が良好な彼女は、3回目の健診をさぼってしまい、半月後から様々な異変に襲われ始めます。 |
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(1)目のかすみ
(2)遠くの物が見づらい
(3)照明がまぶしい |
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白内障 |
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(1)視野の中心が黒ずむ
(2)視野の中心がゆがむ |
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嚢胞様黄班浮腫(のうほうようおうはんふしゅ) |
<なぜ、目のかすみから嚢胞様黄班浮腫に?> |
「嚢胞様黄班浮腫」とは、視力を司る網膜の黄班という部分がむくんでしまう病です。最悪の場合は、視野の中心にゆがみが残り、日常生活に重大な支障をきたしてしまいます。
実は嚢胞様黄班浮腫は、白内障の術後合併症の代表的な病の一つ。手術を受けた人の50人に1人が発症しています。原因は、手術による眼球へのストレス。それがきっかけで黄斑部に炎症がおき、むくむのだと考えられています。しかし、どういう人が発症するかは明らかではないため、手術後は誰もが注意すべき病なのです。K・Yさんも、運悪く、術後に炎症が続いてしまい、この病を発症してしまいました。でも、これは早期発見できれば、投薬治療により完治が可能。視野がゆがむという重大な後遺症が残ることはありません。だからこそ、医師は定期検診に忘れずに来るように言ったのです。
白内障の治療では、術後の合併症を早期発見するために、手術から最低1年間は患者が定期健診を受けることを細かく設定しているのです。しかし、目の調子がよいからと勝手に自己判断し、定期検診を怠ってしまいました。これこそが、彼女が犯してしまった最大の過ち。その結果、視野にゆがみが残るという最悪の事態をまねいてしまったのです。
白内障の手術は、わずか15分ほどで終わります。でも大切なのは、その後の1年。そのためにも術後の定期検診は、欠かさず受け、一度でも目に異変が現れたら、ただちに病院を訪れることが大切なのです。 |