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『本当は怖い検査嫌い~失われた9年間~』 |
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M・Yさん(男性)/44歳 |
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会社員 |
中堅メーカーの営業課長、M・Yさん。大の検査嫌いで、まだ40代の自分は大丈夫だろうと1度も健康診断を受けていませんでした。しかし、実はこの時すでに彼の体内ではある恐ろしい病が発症し、タイムリミットがあと9年後に迫っていました。病の発症から8年後、食後にみぞおち辺りに鈍く痛みを感じるようになったM・Yさん。しかし、痛みは軽く、しばらくすると消えたため、彼は病からの警告を完全に無視してしまいました。 |
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(1)食後にみぞおち辺りが鈍く痛む
(2)みぞおちの痛みが消える
(3)胃が張っているような膨満感 |
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胃ガン |
<なぜ、検査嫌いから胃ガンに?> |
「胃ガン」は、ガンの中で、日本における患者数が最も多い病。毎年5万人以上の命を奪う、胃の悪性新生物です。
胃ガンの最大の原因がピロリ菌。ピロリ菌は40歳以上の実に7割の胃に潜んでいる細菌で、胃に侵入し数十年という長い年月をかけて粘膜を刺激。本来ヒダに覆われた胃の粘膜を、徐々に薄くただれさせていきます。それが「萎縮性胃炎」。ガンができる寸前の極めて危険な状態です。M・Yさんの場合も、子供の頃ピロリ菌に感染し、40年以上かけて、胃ガンを発症させてしまったと考えられるのです。
それでも胃ガンは比較的進行が遅い病。発症からおよそ9年間は、早期の状態で留まっています。ほとんど自覚症状がないのですが、この9年の内に適切な治療を受ければ、5年生存率は97%、ほとんどの人が完治できるのです。M・Yさんも、44歳の時すでに胃ガンを発症。最初は全く無症状でしたが、この時内視鏡検査を受けていれば、早期発見の可能性もありました。しかし、検査嫌いがガンの進行を許し、9年のうち8年をムダに過ごしてしまったのです。
残された時間は、あと1年。ここで幸いにもM・Yさんは、数少ない胃ガンの症状に襲われます。食後に生じた、みぞおち辺りの鈍い痛みです。これは、胃ガンが作った潰瘍(かいよう)が原因。ガン細胞は脆いため、一部が崩れると、そこが潰瘍になることが多いのです。食後にだけ起きた鈍い痛みは、食べ物が入ってきた時に胃散が一気に分泌され、それが潰瘍を刺激したものでした。
そして胃ガンの潰瘍のもう一つの特徴は、2~3ヵ月すると痛みが治まってしまうこと。実は潰瘍ができたところに、再びガン細胞が増殖。潰瘍を埋め尽くすことで、痛みが治まるのです。このように胃ガンの潰瘍は、出来ては治ることを繰り返していきます。ついに9年という期限を踏み越えたガンは、胃壁の深い層にまで侵入。こうして発症から10年、ようやく検査を受けて発見されたガンは、すでに中期の段階に達していました。その結果、胃の4分の3を摘出する大手術が必要となり、しかも術後の5年生存率は、75%という厳しい現実が待っていました。年に1度、胃の検査さえしていれば、こんなことにはならなかったはずなのに・・・。 |