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『整形外科』 |
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Y・Sさん(女性)/51歳 |
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主婦 |
主婦のY・Sさんの悩みの種は、肩こり。いつも、ずしんと重いものが乗っているような鈍痛に悩まされていましたが、ある日、食器棚に手を伸ばした時、肩から二の腕にかけて刺すような痛みが走りました。その夜、床についても肩に痛みを感じ、なかなか寝付けません。その後、日常のちょっとした動作をするだけで痛みを感じるようになり、ますます悪化していきます。 |
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(1)肩から二の腕にかけて、刺すような痛み
(2)夜、肩が痛む
(3)少し肩を動かすだけで痛い
(4)大きく動かすと肩に激痛
(5)肩が全く動かない |
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肩関節周囲炎(五十肩)による凍結肩 |
<なぜ、首こりから肩関節周囲炎(五十肩)による凍結肩に?> |
「肩関節周囲炎」とは、肩関節やその周辺に炎症が起き、動きの制限や激しい痛みが起こる病。「五十肩」とも言いますが、年齢層は40代から60代までと幅広く、現在およそ600万人の患者がいると言われています。
その主な原因は加齢。肩関節は他の関節に比べ可動域が広いため、普段から大きな負担がかかっています。長年の動作により、肩の関節を支える上腕二頭筋や、棘上筋(きょくじょうきん)などの組織が老化。すると、ちょっとした動作で、炎症が起きやすくなってしまい肩から腕にかけて痛みなどが起きるのです。
しかし、五十肩のほとんどが半年から1年ほどで自然に治るため、病気だと考えられていないのが現実です。では、なぜ彼女の肩は動かなくなってしまったのでしょうか?それは「肩関節周囲炎による凍結肩」、つまり五十肩の炎症が進行し、関節が凍ったように硬くなり、動かせなくなってしまう状態になったからです。
そもそも五十肩は、急性期、慢性期、回復期の3つの期間に分けられます。日常のちょっとした動きでも痛みを感じる急性期。その期間は、2週間程度から長い人で4ヵ月ほど続く場合があります。この段階では、安静にすることがベスト。急性期が過ぎると、やがて日常生活ではさほど痛みを感じない慢性期に移行。実はこの慢性期に、大事なポイントがあったのです。
慢性期には、炎症がさらに周囲に波及。関節を滑りやすくしている組織が徐々に固まり、骨との癒着が始まります。通常は、痛みも落ち着いてくるため、肩を動かす機会が増え、自然に癒着がはがれ元の状態に戻っていくのです。しかし、Y・Sさんは「安静しておいた方がいい」と、とにかく使わないようにしていました。実はこれが大間違い。動かさずにいたため骨との癒着が一段と進行し、凍ったように堅くなり動かせなくなってしまったのです。
その後、彼女は治療により日常生活に支障がないまでに回復しましたが、運動制限が残り、一定以上動かすことができなくなってしまいました。肩は加齢と共に、どんどん老化が進んでいくだけに、自分の肩の状態をきちんと把握することが大切なのです。
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