診察室
診察日:2009年6月9日
内臓脂肪が引き起こす意外な病スペシャル
テーマ:『本当は怖い内臓脂肪〜Y・Kさんの場合〜』

『本当は怖い内臓脂肪〜Y・Kさんの場合〜』

Y・Kさん(男性)/58歳 自営業
整体治療院を営むY・Kさんは、食べる事、飲む事が大好き。若い頃から毎晩のように飲み歩き、ラーメンでしめるという生活を続けた結果、30代半ばでポッコリお腹に。50代に差しかかると、さすがに暴飲暴食をやめて、魚中心の食生活になります。しかし、55歳になったある日、左足に電気が走るような違和感を覚えます。見てみると親指の付け根が少し赤くなっていました。さらに翌朝、今まで経験したことのないような異変に襲われます・・・。
(1)親指の付け根がピリピリする
(2)親指の付け根が赤くなる
(3)キリで傷口をかき回されるような激しい痛み
痛風
<なぜ、ぽっこりお腹から痛風に?>
 「痛風」とは、血液中の「尿酸」が増えすぎてしまう「高尿酸血症」が原因で起きる病です。尿酸は、新陳代謝などの過程で必ず生まれるものですが、血液中に増えすぎると、主に足の関節などで結晶を作り始めます。そして、この結晶が剥がれた時に、白血球が敵とみなして攻撃するため、炎症を伴う激痛を引き起こすのです。
では、なぜY・Kさんは、痛風になってしまったのでしょうか?痛風は、「ぜいたく病」といわれる様に、その大きな原因は「食べ過ぎ」です。尿酸は、肝臓がプリン体という物質を分解して生成されます。プリン体は、主に体内で作られますが、多くの食品にも含まれています。そのため、食べ過ぎると、尿酸が過剰に生産され、尿による排泄が追いつかず、徐々に体内に蓄積されてしまうのです。
そして、Y・Kさんの場合、「飲み過ぎ」も病を助長していました。アルコールはその種類を問わず、尿酸が腎臓から尿へと排出されるのを妨げる物質を生み出すため、結果として体内の尿酸が増えてしまったのです。
しかし、50歳を越え、食事の量も酒の量も、以前に比べれば減っていたはず。それなのになぜ、発症してしまったのでしょうか?その大きな要因こそ、あの「ポッコリお腹」内臓脂肪です。内臓脂肪は、悪玉アディポカインというホルモンを発生させます。このホルモンには、尿酸を作る肝臓の働きを活性化させる作用があるため、結果、血液中の尿酸が増加すると考えられているのです。そう、内臓脂肪こそ痛風の大敵なのです。
そして、Y・Kさんは、もう一つの落とし穴にはまってしまいました。それは、魚のおかげで風邪もひかないし病気もしないと思い込んで、毎日のように魚料理を食べていたこと。実は魚介類は、「プリン体」を比較的多く含む食品。適量ならば健康に良い魚も、食べ過ぎれば逆効果なのです。
現在、食べ過ぎ飲み過ぎで「高尿酸血症」や「痛風」になっている人は、500万から600万人ともいわれています。かつては50代以降の男性に多い病でしたが、現在では若年化が進み、女性の患者も増加傾向にあります。他人事だと思っているあなたも、いつ、痛風の激痛に襲われるかも知れないのです。
意外と知らないプリン体が多いメニュー