診察室
診察日:2009年7月21日
夏バテ回復法スペシャル
テーマ:『間違った夏バテ対策〜脳に潜む恐怖〜』

『間違った夏バテ対策〜脳に潜む恐怖〜』

I・Tさん(女性)/28歳 主婦
今から7年前、新米保育士として、いつも汗だくになって働いていたI・Tさん。夏場でも園児たちのためにクーラーを入れない保育園は、まるでサウナのようでしたが、彼女は暇を見つけては水分補給をして頑張っていました。そんな中、水分の摂り過ぎでバテてしまったのか、食欲がわかなくなってしまいます。膀胱炎にもなったこともあり、水分を極力控えることを決意し、その後、夏でも水を飲まない夏バテ対策を続けることに。すると2年前の夏、突然、目の前が回転するようなめまいに襲われ、次々と異変が現れます。
(1)めまい
(2)頭痛
(3)吐き気
(4)めまいは続いていた
脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
<なぜ、水分を摂らない夏バテ対策から脳脊髄液減少症に?>
 「脳脊髄液減少症」とは、脳と脊髄を外部の衝撃から守っている髄液が、何らかの原因により減少。その結果、脳が下がり、髄液を包んでいる硬膜が引っ張られ、耐えがたい頭痛やめまいなどの症状を引き起こしてしまう病です。現在、この病の患者は約5万人。主な原因は、事故などの激しい衝撃により硬膜が破れ、髄液が漏れ出してしまうことにあります。
しかし近年、事故等とは別に、夏に誰にでも起こるある症状が病に深く関わっていることがわかってきたのです。それこそが「夏バテ」
 実はこの病の発症率は、夏に最も多く、たかが夏バテと思っている人の中に脳脊髄液減少症の患者が数多く存在すると言われています。その原因と考えられるのが、水分不足による脱水です。
人間には、1日に約3リットルの水が必要だといわれています。そのうち食べ物から摂れる水分は、約1リットル。つまり、残りの約2リットルは、飲み物として摂らなければ体内の水分が不足してしまうのです。そうとも知らないI・Tさんは、毎年「水をあまり飲まない」夏バテ対策を続けていたため、慢性的な脱水状態に陥っていたのです。毎年、夏になると現れる倦怠感。これは脱水状態により髄液が減ったことで起きたと考えられます。
 しかし、脱水状態にあれば、普通は喉が渇くはず。では、なぜ彼女は喉が渇かなかったのでしょうか?スポーツなどで大量に汗をかくなど、急激に脱水した場合、脳は脱水のサインである喉の渇きを感じる信号を出します。しかし、慢性的な脱水の場合、その状態に脳が慣れてしまい、喉が渇いたというサインを出さなくなってしまうことがあるのです。そして数年間、脱水症状が続いたことで、病が進み、めまい頭痛など様々な症状を引き起こしたと考えられます。
 専門の治療により、徐々に回復に向かっているI・Tさんは、現在では冷蔵庫の中に麦茶の容器を2本常備。病の完治のため、1日2リットルの水分を欠かさない生活を送っています。
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