診察室
診察日:2009年10月13日
病を防ぐ医学の新常識!秋こそ大事な衣食住 徹底点検スペシャル
テーマ:
『病を防ぐ医学の新常識(1)秋こそ大掃除』
『掃除のプロが教えるカビ・ダニの完璧掃除法』
『病を防ぐ医学の新常識(2)秋こそかぼちゃ』
『病を防ぐ医学の新常識(3)秋こそサバ』
『この秋気をつけたい 新型インフルエンザファッション』
<テーマ>

『病を防ぐ医学の新常識(1)秋こそ大掃除』

<なぜ、秋にこそ大掃除をしなければならないの?>
 秋に大掃除をしなければならない理由の一つが、夏にフル活動したエアコン。エアコンは、結露によって内部にカビが大量発生。そのカビがとどまり続けた結果、暖房など再び作動させた時に、大量のカビの胞子が吐き出されてしまうのです。
 さらにこの季節、家の中の様々な場所に棲みついているのがダニ。温度と湿度が高い夏に急増するダニは、秋になると数は少なくなるものの、死骸やフンが最も蔓延する季節なのです。
 カビやダニ、そしてダニのフンは、アレルギー性の喘息や鼻炎、皮膚炎などを引き起こすアレルゲン。これらは夏から秋、特に10月に多く室内に飛散するため、喘息の患者さんはこの時期に悪化しやすいことが知られています。だからこそ、この秋に大掃除をしなければならないのです。
<ダニやカビは、家のどんな所にいるの?>
 ご協力いただいたのは、子どもがアレルギーになるのが心配というあるご家庭。住まいは、マンション3階の2LDK。暮らし始めて11年になるといいます。
 家のどこにダニ・カビがいるのかを徹底的に調べるために、二人のプロフェッショナルにお願いすることに。一人目は、“ダニのプロ“都市居住環境研究所代表、吉川翠先生。
 まず向かったのは、2日に一度は掃除をしているという寝室兼子供部屋。子供二人とお母さんが寝ています。吉川先生は、「寝ている人数が多いのと、絨毯が敷き詰めた状態なのがまずい」と指摘。絨毯にどのぐらいダニが潜んでいるのか?
 次は、寝具のチェック。洗濯はシーツを月に1回、ベッドパッドは年に1回程度といいます。どちらを頭にして寝ているのかを確かめた吉川先生。ベッドの上、頭の辺りを中心にダストを採取しました。
 さらにリビングルームで注目したのは、布のソファー。年に1回はカバーを洗うといいますが、ここでも主にソファーの上部を採取。すると、吉川先生はソファーの下の床に大きな問題点を発見。実はこの部屋では、畳の上にフローリングカーペットを敷いていますが、吉川は「それが一番いけない」といいます。そこで、フローリングの下を調べようと、めくり上げたその時、畳から「タバコシバンムシ」と思われる虫が・・・。この虫も畳のホコリとともに採取します。以上で、ダニのチェックは終了。果たして、どこにどのくらいのダニが潜んでいたのでしょうか?
 続いては、カビ相談センター理事長の高鳥浩介先生。先生がまず注目したのはリビング。一見、カビは生えていないように見えますが、カビアレルギーの主な原因は、空気中を舞う「ホコリに付着したカビ」。専門の機械で、ホコリとともに部屋に漂うカビの胞子を採取します。  そして、エアコンやブラインドのホコリ、さらには浴室では空気中に漂うカビ、最後に寝室でもカビの胞子を採取して検査は終了。培養してその数を調べました。
<果たしてKさん宅のダニ・カビ調査の結果は・・・?>
 1週間後、分析を終えた二人の先生が、いよいよ結果を報告。まずは吉川先生から採取したダニの数を発表。今回はアレルギー体質の人が病を予防するための目標値、1mあたり50匹以下をセーフティラインと設定しました。まず寝室の結果は、絨毯に67匹、ベッドに91匹と、両方とも基準をかなりオーバー。「ベッドの頭から50cmの範囲は、かなりフケが落ちるので、そのフケをダニが好みます」と話す吉川先生。そう、ダニはフケをエサにするため、ベッドで寝る人数が多いほど、ダニが増えるというのです。だからこそ、3日に1回は枕元を中心に丁寧に掃除することが大事なのです。
 また絨毯も毛の中にフケがたまりやすく、ダニにとっては格好の場所。ソファーの上部も同様に危険地帯。実際に46匹と、基準ギリギリのダニが発見されました。続いて、あのフローリングカーペットを敷いた畳からも76匹のダニが検出。物を重ねて使うと、その間に湿気がたまり、カビが生えたりすると、ダニにとっては格好の場所に。カビをエサに増え続けてしまうのです。さらに畳の上から見つかったあの虫の正体は、やはり畳をエサにするタバコシバンムシと判明。その他にも、ダニと同じくカビをエサにするチャタテムシも検出されました。実は、アレルギーの原因として意外に知られていないのが昆虫アレルギー患者の割合では、ダニに次いで多く、注意が必要なのです。
 続いては、高鳥先生がカビの調査結果を発表。WHOの基準では、空気100リットルあたりカビのコロニーが50個以下なら問題なしとされていますが、K家のリビングからは、136個と基準の50個を遥かに超えたカビが検出。理由は、「ブラインドなど色んな所に、ホコリが溜まっていたのが飛び散ったため」(高鳥先生)でした。そして先生が特に指摘したのが、エアコン。あるデータによると、一般家庭のエアコンから検出されるカビの胞子は、なんと10万個。カーペットの10倍に達するといわれています。Kさんは、吹き出し口は全く掃除していなかったため、ここが大きな元凶と考えられるのです。さらに長年掃除をしていなかった冷蔵庫下のホコリの中にも、大量のカビが潜んでいたと推察されます。続いて寝室と浴室の両方からも基準の倍以上のカビが検出。調査の結果、Kさんのお宅では、ダニ3箇所、カビ3箇所が、基準を超えていることが判明しました。
<テーマ>

『掃除のプロが教えるカビ・ダニの完璧掃除法』

<ダニ・カビを退治するプロのお掃除術とは!?>
 アレルギーの原因となる秋の「ダニ・カビ」。一体どんなお掃除をすれば、「ダニ・カビ」を退治することができるのでしょうか?番組では、これまで2000件以上もの家庭を掃除してきた掃除のプロに依頼し、Kさんのお宅を掃除して頂きました。ご協力頂いたのは、日本ハウスクリーニング協会理事の高橋敬子さん。彼女は特別な道具を用意しなくても使い方次第で、「ダニ・カビ」を簡単に除去できるといいます。
 番組で紹介した6つの掃除法は、携帯サイトで紹介しております

 番組に登場したKさんのお宅では、たった1日の掃除で、ベッドのダニも、リビングのカビも、3分の1近くまで減少。セーフティラインをクリアしました。
 皆さんも秋のお掃除実践して下さい!

「掃除のプロが教える!ダニ・カビの完璧掃除法」は携帯サイトで!
<テーマ>

『病を防ぐ医学の新常識(2)秋こそかぼちゃ』

<10月のかぼちゃのカロテンは最も少ない月の2倍以上!>
 この秋、食べておきたい野菜、カボチャ。様々な研究から10月のカボチャのカロテンの量が、1年で最も多くなっている事がわかっています。なんと少ない月の2倍も。夏野菜のイメージが強いカボチャですが、なぜ10月のカボチャにカロテンが多いのか?その秘密を探るため、スーパーの青果売り場をのぞいてみると、この時期のカボチャの生産地は、ほとんどが北海道産。実は年間を通して、日本のカボチャの収穫量は北海道がダントツの1位、特に10月は独占状態です。では、そんな北海道のカボチャに、なぜカロテンが多く含まれているのか?プロジェクトチームが向かったのは、日本一のカボチャの生産地、北海道・和寒町。ベテランカボチャ農家で収穫されたカボチャを追跡してみると、着いた先は、和寒農協の巨大倉庫。そこには、ものすごい数のカボチャが山積みになっていました。実はこれ、『キュアリング』と呼ばれる作業。収穫したカボチャを、最低でも1ヵ月ここに保管し、熟成してから出荷するといいます。
<カボチャのカロテンはキュアリングによって変化>
 カボチャを寝かせると、栄養成分にどんな変化があるのか?伺ったのは、カボチャの栄養価などに関して長年研究を続けている、北海道立中央農業試験場の長尾明宣先生。先生と共に収穫したてのカボチャと、およそ1ヵ月キュアリングをしたカボチャの成分を調べてみました。まずは「糖度」。収穫したてのカボチャの糖度は、9.5度と白菜と同じ程度。一方、1ヵ月キュアリングされたカボチャの糖度は14.8度と、ほぼスイカと同じ。大変身です。さらに大切な「カロテン」においても、およそ1ヵ月キュアリングされたカボチャは、カボチャのカロテンの大部分を占める『ベータカロテン』の量がおよそ2倍に!なぜ、カロテンが増えるのかはわかっていませんが、6月に種をまき、ひと夏を越えた北海道のカボチャは、熟成を経てカロテンが最高になるのです。
<栄養価の高いかぼちゃの見分け方>
 では、そんなベータカロテンの効能とは?食品の栄養素と病気の相互関係について調べ上げた「ナチュラルメディシン・データベース」には、ベータカロテンの効能として、『閉経前の女性の乳がん予防』『閉経後の女性の卵巣がん予防』などの可能性が科学的に示唆されています。では、そのベータカロテンが多いカボチャの見分け方は?『ベータカロテンが多く含まれるカボチャ』とは、即ち、『よりキュアリングが進んだカボチャ』ということ。まず、ヘタの部分がコルクの様に枯れていれば、キュアリングが十分に進んだ証拠。ベータカロテンもより高いと考えられます。さらに種にも注目。種が少ないものより、ぎっしりと詰まったものの方が、栄養価が高いのです。
 では、カボチャのどこにベータカロテンは多く含まれているのでしょうか?果肉と皮、わたのベータカロテン量に違いがあるのか測定した結果、皮には果肉の2倍以上、わたにはおよそ4倍ものベータカロテンが含まれることが判明しました。このベータカロテンを最大限に引き出す調理法として、栄養管理のスペシャリスト、高橋徳江先生は、「ベータカロテンは脂溶性なので、揚げ物や炒め物など油を使った料理と相性が良い」とアドバイスします。
 ベータカロテンで、閉経前の女性の乳がん・閉経後の卵巣がん予防を目指す、カボチャの旬レシピ。そのポイントは次の4つです。
<ベータカロテンで女性の乳ガン卵巣ガン予防を目指す旬レシピ、ポイント>
(1)ヘタがより乾燥したカボチャを選ぶ
(2)種がぎっしりと詰まったかぼちゃを選ぶ
(3)皮やわたも一緒に摂る
(4)脂肪分と共に摂る
<テーマ>

『病を防ぐ医学の新常識(3)秋こそサバ』

<10月のサバのDHA・EPAは最も少ない月の2倍!>
 10月にこそ食べておきたい旬の食材、2つ目は『サバ』。世界に魚の脂、DHA・EPAの栄養価を知らしめた、女子栄養大学・鈴木平光先生によれば、10月のサバには、DHA・EPAが1年で最も高く、少ない月のなんと2倍にも!そもそも日本近海で、サバが最も多く生息するのは太平洋側。5月頃に、伊豆諸島周辺で産卵したサバは北上を始め、8月から10月にかけて三陸から青森近海へ。そこで、たっぷりと餌を食べ、脂肪分を蓄えます。だからこそ、10月のサバはDHA・EPAがたっぷりなのです。
<DHA・EPAには、どんな効能があるの?>
 「ナチュラルメディシン・データベース」によれば、DHAでは、心筋梗塞・狭心症など冠状動脈性疾患の患者について、その死亡率を低下させるという事が示唆されています。さらにEPAでも、心臓発作・脳卒中などの冠状脈障害のリスクを低減させる可能性が示唆されているのです。
 DHA・EPAを豊富に含むサバを求め向かったのは、最もサバが獲れる港の一つ、青森県八戸市・鮫漁港。この時期、毎日の様に脂がのりきったサバが水揚げされています。その数は、多い時で2000トン以上。では、どんなサバにDHA・EPAが多いのか?サバ博士、東北区水産研究所の中神先生は、「サバにはお腹が白いマサバと、お腹に黒い斑点があるゴマサバの2種類がいる」と言います。『マサバ』は、日本で最も多く獲れ、比較的、私達の食卓に上る事が多いサバ。一方、『ゴマサバ』は、サバ節に使われる事が多い、味わい豊かなサバです。そして、この秋、脂肪分が多くなっているのは、10月に旬を迎える『マサバ』なのです。
<DHA・EPAが多いマサバは?>
 では、どんなマサバを選んだら、DHA・EPAが多いのでしょうか?ベテラン買受人の木村さんは、「胴周りがポイント」と言います。お腹がプックリと丸いサバには、DHA・EPAが豊富に含まれているのです。最後に栄養士の高橋先生に、サバを料理する時の注意点を伺うと、「EPAやDHAをしっかり摂るためには、煮汁ごとそれを逃さないように摂るのが良い」とのこと。煮たり焼いたりすると、流れ出る脂で、DHAやEPAはおよそ2割、減ってしまうといいます。
 冠状動脈性疾患の予防を目指す旬レシピ、そのポイントは以下の3つです。
<DHA・EPAで冠状動脈性疾患の予防を目指す旬レシピ、ポイント>
(1)旬のマサバを使う
(2)脂をできるだけ逃さない様に調理する
(3)出てしまった脂も一緒に摂る
「病にならないための旬レシピ第2弾」は携帯サイトで!
<テーマ>

『この秋気をつけたい 新型インフルエンザファッション』

<新型インフルエンザで気をつけたい保温対策>
 今年、秋から冬にかけて、最も気をつけなければならないのが、新型インフルエンザ。しかもこの時期、季節性のインフルエンザや風邪も増加。手洗いやうがいなどで危険因子を減らすことも大切ですが、忘れてはならないのが、保温対策。そう、衣服による保温こそ、病から身を守る根本対策なのです。
 実は体が冷えると、ある防御機能の働きが鈍くなってしまうのです。それが線毛運動。線毛とは、鼻や喉、気管の内側に絨毯のようにびっしり生えている組織で、進入してきたホコリやウィルス、細菌などを、たえず外にかき出す働きをしています。しかし保温が不十分だと、粘膜の温度が低下し、線毛の機能が衰えてしまいます。さらに、体温の低下が免疫力の低下にも影響を及ぼしてしまうのです。線毛運動と免疫力を維持するためには、衣服などできちんと保温することが基本なのです。
<どんな服を着れば保温効果を高めることができるの?>
 では、どんな服を着れば保温効果を高めることができるのでしょうか?実は衣服には、保温力の目安となる指標があります。それが「クロー値」。衣服の保温性を示す単位のことで、日々変化する気温に比例して、人間の保温に必要なクロー値がデータ化されているのです。たとえば、東京の真冬時の過去10年の平均気温、7.4度の場合、1.58クローの保温が必要。ちなみにこのクロー値は、サーマルマネキンという、発熱する温度計測ロボットに衣服を着せることで、数値をはじき出すことができます。
 例えば、真冬時の一般的な服装で見てみると、ショーツ、ブラジャー、ストッキングは、それぞれ0.02クロー。キャミソールは、0.04クロー。その他、スカートは0.25クロー、アンダーシャツは0.12クローとなっています。身につけている全ての衣服のクロー値を合計した時、保温に必要なクロー値を超えていれば、線毛運動も免疫力も維持できるファッションということになるのです。