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『本当は怖い顔のテカリ~乙女がはまったドライな罠~』 |
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U・Rさん(女性)/32歳(現在) |
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中学時代からニキビに悩まされ、顔や全身をゴシゴシ念入りに洗うのが日課になっていたU・Rさん。15年後、マンションで新婚生活を始めた彼女は、夫の前ではいつも綺麗でいたいと、テカリが気になるTゾーンを中心に、あのゴシゴシ洗いを続けていました。しかし1ヵ月後、朝起きた時、目元がなぜかしばしばし、口元も妙につっぱっている感じがするようになります。さらにマンションに引っ越して2年目の冬、口元がつっぱるのに加え、腕や足にも白く粉が吹き、肌がカサカサし始めるように。その後も湿疹や激しいかゆみなどの異変が続きました。 |
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(1)目元がしばしばする
(2)口元がつっぱる
(3)目元や口元に白い粉がふく
(4)腕や足がカサつく
(5)お腹に湿疹ができる
(6)激しいかゆみ |
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乾皮症(かんぴしょう) |
<なぜ、U・Rさんは乾皮症に?> |
「乾皮症」とは、いわゆる乾燥肌が進行した状態のこと。では、乾燥肌はどのようにして起きるのでしょうか?
そもそも肌の一番外側には、水分を含む「角質層」と呼ばれる層があります。その細胞と細胞の間には、セラミドなどの角質細胞間脂質があり、水分を蓄える働きをしています。さらに細胞内には天然保湿因子と呼ばれる成分があり、水分を取り込んでいるのです。そしてこの角質層の表面を覆い、水分の蒸発を防いでいるのが、皮脂と汗が混ざり合った「皮脂膜」と呼ばれる膜。この皮脂膜・脂質・保湿因子、3つのうちどれかが何らかの原因で減少したり壊れたりすることで、水分がぬけてしまった状態こそが「乾燥肌」。
こうなると角質層の間にできた隙間から異物が侵入しやすくなるため、防御反応として神経が肌の表面近くまで伸びてきます。こうして、ちょっとした刺激にも過敏になり、激しいかゆみを感じるようになるのです。これに追い討ちをかけるのが、冬場の乾燥。湿度の低い乾いた空気によって、水分の蒸発量は一気に増加。皮膚の水分はさらに失われます。その結果、肌はまるで干ばつに見舞われた大地のように、カサカサにひび割れてしまうのです。
では一体なぜU・Rさんは、乾燥肌になってしまったのでしょうか?その原因の一つこそ、彼女の肌の洗い方にあったのです。中学生のころ、ニキビ対策として始めたあの洗い方。余分な脂を落とそうと顔だけでなく、体までゴシゴシ強く洗っていました。このゴシゴシ洗いが、角質層を覆い、水分の蒸発を防ぐ皮脂膜をこすり落としていたのです。それでも彼女は、中学生のころは乾燥肌にはなっていなかったはず。ではなぜ20代後半になってから、乾燥肌を引き起こしてしまったのでしょうか?
皮脂の分泌量は20代前半にピークを迎え、女性では後半から下降の一途をたどるのです。皮脂の多い10代ならまだしも、20代後半になってもゴシゴシ洗いを続けたU・Rさん。すると、皮脂量が10代に比べ大幅に減少していた彼女の肌は、角質層と皮脂膜が剥がれ落ち、水分が抜け乾燥肌になってしまったのです。実は彼女が気にしていたTゾーンは、特に皮脂量が多い場所。それを気にするあまり、全身で乾燥が進んでいたことに気付かなかったのです。
他にも乾燥肌になってしまう原因はあります。例えば、住いの環境もそのひとつ。彼女の場合、木造一戸建てに比べ、乾燥しやすいと言われるマンションへ引っ越しても、最初は何の対策もしていませんでした。季節、年齢、さまざまなリスクに気付かなかったことも、彼女が乾燥肌になった原因。乾燥肌を防ぐには、これらのリスクをよく知っておくことが大切なのです。現在U・Rさんは、ゴシゴシ洗いをやめただけでなく、部屋の湿度にも気を付けるなど、乾燥から肌を守るように注意しています。 |