いつものキッチンカーからスタートかと思いきや、人力車に乗ってはんなりトークで番組は始まる。今回の舞台は、京都。まずは、京都の町で食べ歩き。すると、生麩専門店が目に入る。早速、麩の周りにあられが付いている名物ぶぶあられをいただくことに。この麩や豆腐、湯葉なども京都ならではの食材。「あられが香ばしくて、カリカリ食感がいい!」とお店の方に伝えると、フレンドリーな生速水に店員さんもドキドキしているようだった。
さて、今回の依頼者は、創業190年を誇り、京都の一流ホテルや老舗旅館に湯葉を卸しているある湯葉屋さん。湯葉は好きで、お刺身や鍋、煮物などで普段から使うという速水だが、あまり湯葉のアレンジ料理はしてきていないという。速水にとっても新しい挑戦となる。
依頼者のもとへ着くと、荘厳な構えの店舗に圧倒される。店の中に入るといかにも職人気質といった感じのダンディな店主が。早速湯葉づくりの工程を伺う。レシピ考案のためのヒントを探る速水。「普通の湯葉と京湯葉の違いは?」との問いに「言葉の違いだけです。」ときっぱり。「しかし…」と店主島本さんが話し始める。「京がつくと箔がつく。いい大豆を使っていいものが出来るのは当たり前。そのときの豆を見極めて、より一層美味しいものを作るのが職人の技。」と、言うと速水の目の前に2種類の湯葉を持ってきた。豆乳の膜から引き上げられたシート状の「引き上げ湯葉」と、シート状になる前に豆乳と一緒にすくい上げられた「汲み上げ湯葉」だ。二つを食べ比べ、口への広がりが全然違うということを実感した速水。さらに、オススメの湯葉ちりめんをいただくと「危険です。(ご飯が)進んじゃう。やっぱり湯葉は塩気のあるものとよく合う」と何かレシピのヒントを得たようだ。最後に島本さんから強い要望が出る。「私の希望としては、和食の域から超えていただきたい。違う方に工夫してほしい」店をあとにした速水は「迷う・・・湯葉を口に入れたときの滑らかさとコク、クリーミーな感じ。改めて湯葉の良さが知れた。絶対喜んでもらえるものを作りますよ!」と気合が入った様子だった。
翌朝、買い出しに行く。九条ネギや万願寺唐辛子など京都らしい食材が並ぶ中、手に取ったのは花山椒。テンション高めにセルフレジを楽しみ、いざ、調理開始。今回のキーワードは「隠し食感」
京湯葉のリゾット
依頼人に試食していただく。まず、料理を目の前にして「え、湯葉でこれを作っていただいた!?」と驚きの表情。ニンニクとしょうがは使っているが素材をうまく生かしたくて、余計なものは出来るだけ入れない…と速水が説明していると、突然「食べさせてもろていいですか?」と美味しそうなリゾットを前に辛抱できなくなった島本さん。「おいしい!この中にいろんな隠し味がある。」としっかりと噛みしめ、「生湯葉と乾燥湯葉の食感を殺さずそのまま生かしている。感動している。」と、新しい湯葉レシピを前に速水とビールで乾杯。
最後に「しあわせ…」と頬が緩みっぱなしだった。
ご飯と馴染んだ汲み上げ湯葉のとろける感じと、引き上げ湯葉の程よい食感、ちょっとハードに揚げた乾燥湯葉もアクセントとなり、食感の違いを大事にし、最後は京都ならではの花山椒で仕上げた今回の料理。湯葉のプロフェッショナルも認める新しいレシピがここに誕生した。