第一回の舞台は山梨県・小菅村(こすげむら)を巡る。久々にキッチンカーを運転する速水もこみちが向かったのは山梨県北東部、東京都の西奥多摩郡隣接した人口およそ700人の小さな村だ。村の95%が森林で水源地として大切に保護されてきた地域ということもあり、手つかずの大自然を残す自然豊かな山並み、そして美しい清流が印象的な風景が広がる。
今回の依頼者はヤマメやイワナなどの養殖を営む『小菅養魚場』古菅一芳さん。ニジマスとキングサーモンを交配した山梨県が誇るブランド川魚『富士の介』(ご当地サーモン)を日本全国にアピールしたいという。『小菅養魚場』の生け簀を訪れた速水は、さっそく『富士の介』と対面。大きなタモ網を手渡され、生け簀で泳ぐ『富士の介』を引き上げてみると、その色ツヤに「すごく輝いてますね!そしてなかなかの重量感ですよ」と驚く。淡水飼育が可能となった現在では、生け簀での養殖で1.5キロ以上にまで育つようになった『富士の介』。キングサーモンの血を引く唯一の淡水魚で、上質な脂ときめ細い肉質が特徴だ。刺し身で試食した速水は「ちょうどいい噛みごたえで、さっぱりしているのに脂の甘みが広がりますね」と味わうと『富士の介』の美味しさを引き出す工夫にピンときた様子だ。
小菅村を散策しつつ出会ったのは2年半ほど前に移住してきたという男性に出会う。ひととき男性と話を弾ませると、庭に生えているハーブをわけてもらえることに。摘みたてのオレガノやローズマリーなどの香りから「フレッシュは違いますね。アレに使ったら面白いんじゃないかな?」と料理のヒントを探っていく。
さらに食材を求めて向かったのは『道の駅こすげ』。多彩な地元食材が販売されており、地産の『ヒマラヤヒラタケ』、『キクイモ』、『生わさび』さらには山梨名物の『ほうとう』など気になった食材を手に、じっくりとレシピを組み立てていく速水。「今日はメインを作りながら、みなさんに手軽に作っていただけるようなサイドメニューも」と笑顔を見せる。
今回の調理場は小菅村を流れる清流沿いにある『小菅フィッシングヴィレッジ』。「メインはカジュアルな洋食で行こうと思います」と速水が考案したオリジナルレシピは『富士の介』を使った『富士の介のレモンバターソース』。さらに今回、雄大な自然の中で作り上げたメニューはなんと4品!速水は「それではみなさん、お付き合いのほう、お願いします!」と、久々の決め台詞にニヤリ。
富士の介のレモンバターソース
富士の介の和風カルパッチョ
富士の介のチーズフライ
富士の介のほうとう
試食をするのは依頼者の古菅さん。「刺し身が美味しい」という『富士の介』をレアに焼き上げた『富士の介のレモンバターソース』に「見た目も鮮やかですね」とにっこり。一口食べると、「地元の食材をたくさん使って作ってくださって、美味しいですね。これは…食べたことのない、いい味ですね。初体験です」とにっこり。さらに、『富士の介』×『ほうとう』という山梨名物を組み合わせた速水特製『富士の介のほうとう』は、地元産の手作り味噌を使うなど地産食材の旨みにこだわった一品に。これには古菅さんも「ほうとうにして食べたことはなかったですね。これも美味しいですよ」と箸が止まらない。
ほか、『カルパッチョ』、『チーズフライ』などさまざまなレシピで『富士の介』の味わいを鮮やかに彩った速水。「同じ美味しさでも幸せだなあと感じますね…」としみじみ語る古菅さんに、速水は「“美味しい”という言葉が本当に嬉しいですね」と、久々の『頂!キッチン』に大きな手応えを感じたようだった。