今回は、紀伊半島中央部に位置する山あいの秘境、和歌山県北山村周辺をめぐり、特産のじゃばらや、幻の熊野地鶏を使ったオリジナルレシピを考案する。
今回の舞台は、紀伊半島中央部に位置する和歌山県北山村。国内で唯一、飛び地の村として知られる北山村は、三重県と奈良県に挟まれた山あいの秘境。村の97%は森林で覆われており、その人口はおよそ400人。村を流れる北山川を使った木材の運搬業、筏流しの歴史は江戸時代にまで遡るとされ、今もその伝統をくんだ川下りのレジャーが盛んだ。
寒暖差の激しい気候と山林で覆われた地形から、北山村の特産品は唯一「じゃばら」のみ。今回はそんな北山村の村長から、オリジナルレシピの依頼が。「全村民が愛してやまないじゃばらを使った料理を考案し、全国に強くアピールして欲しい」という。
じゃばら農家、東幸則さんの農園を訪ねた速水は、はさみを手に今が旬のじゃばらを自ら収穫。匂いをかぐと、「ゆずやレモンとはちょっと違う香りがする」と興味津々。東さんによれば、「じゃばらは、ゆず、橙、かぼすなどの仲間だが、いわゆる自然雑種で、何かと何かが混ざって出来上がったものではないか」と言われているのだとか。じゃばらは北山村に昔から自生していたが、調べてみたら北山村以外には全国どこにもなかったという。
北山村に1本だけ自生していたことから、この地が発祥とされるじゃばら。そのまろやかな酸味とコクのある苦みが、他のどの柑橘類にも例をみないとして1979年に品種登録。現在では北山村が誇る唯一の特産品として村をあげて栽培し、全国に出荷している。
半分にカットされたじゃばらを手で絞り、果汁を味わうと、速水は「おいしいっス…」と一言。「今まで自分が使ってきた柑橘とは全く違う味。柑橘を使うと強く主張しすぎる時があるが、じゃばらを使えばバランスの取れた料理になるのでは…」とイメージを膨らませる。
続いて、じゃばらの加工場を訪れ、搾汁を見学する速水。ここでは果汁入りのポン酢、果皮を使ったじゃばらコショウ、ジャムなどが作られている。速水は「果皮まで捨てず搾汁するなど、じゃばらをすごく大切にされている。じゃばらしかないからこそ、皆が一丸となって、じゃばらを育てたり、加工したり、すごくいい環境ですよね」と感心する。
次に速水が訪ねたのは、北山村のお隣、三重県熊野市にある「熊野地鶏養鶏場」。こちらの熊野地鶏は、三重県の天然記念物のしゃもと、伊勢赤鶏、地鶏の王様の名古屋コーチンの3つをかけあわせたもの。山の澄んだ空気と湧き水、そして地元のお米を配合したこだわりの餌で育てられた熊野地鶏は、その開発に10年の歳月をかけ、幻の鶏とも呼ばれている。
試食した速水は、「最初にかんだ時にジュワっと来る旨み、めちゃくちゃ美味しい。ビックリしました」とすっかり魅了された様子。「メイン料理はじゃばらをただ絞るのではなく、熊野地鶏の脂のおいしさにスパイスをほどよく効かせ、より上質な風味に仕上げたい」と意気込む。さらに創建800年以上とされる有形文化財、大森神社に参拝。さらに近くの清流でくつろぐと、速水にアイデアが降りてきた。
北山町の自然に囲まれた一角に設営したキッチンに立つ速水。今回、じゃばらと熊野地鶏を使ってつくる“頂きグルメ”は、炊き込みごはんの『じゃばらチキンのビリヤニ』。生産者の東さんや鈴木さんが見守る中、いよいよ調理開始。味の要にじゃばらの果汁やスライスしたじゃばらを使ったオリジナルレシピを作り上げていく……。果たして、完成した料理を口にしたじゃばらのプロフェッショナルたちの感想は?
さらに速水流じゃばら料理が数品完成。試食を終えた東さんが「こんな食べ方があることを村長にも伝えたい」と語った驚きのレシピは必見!