京都美術工芸大学

2017年10月20日

授業風景123

授業対象「メディアリテラシー」講座受講者 1・2年生 230名

写真 京都美術工芸大学の学生たちは、「日本の伝統美の新しい価値を創造し、世界へ発信」することを目標とし、建築や美術工芸、デザインなどを学んでいます。今回は「メディアリテラシー」という科目を選択受講している学生にむけて、永野ひかる(総合ビジネス局)が特別講師になり授業を行いました。

「メディアリテラシー」の講座は全部で15回で、そのうち三分の一はテレビ局や新聞社の現役社員が講師を務めます。1回目、2回目の授業をへて出された「今日(こんにち)のテレビについてどう思うか」というミニレポート課題には「日本のテレビはどのチャンネルも報道するニュースが同じ」「政治家やタレントの不倫ばっかりでウンザリ」など手厳しい意見が出たと聞いた上での3回目の講義だったので、覚悟して授業に臨みました。

写真 1つめのテーマは、「テレビ番組とテレビの仕事の面白さを知ろう!」。まずはテレビ番組を身近に感じてもらうために、これまでの50数年のテレビ放送史上の最高視聴率がどのくらいなのか?という話をしたり、『おはよう朝日です』や『高校野球中継』の裏側を紹介する映像を見てもらったりして、数10名ときには100名を超えるスタッフの情熱が結集して番組ができていることを伝えました。

そして次のテーマは、「放送局は番組を作ってラジオやテレビで放送する以外にも実に様々な事業を展開していること」です。この大学では「美術的な価値を世界に発信」するのが学びのテーマですが、今や放送局も国内だけでなく「世界に向けて情報を発信」しているのです。朝日放送では、例えば日本で放送した番組に字幕をつけたり音声を吹き替えたりして外国で放送しています。それだけでなく、日本の魅力を伝える番組を制作して海外の放送局で放送したり、「番組のひな型【フォーマット】」を権利として海外に売ったりすることもあります。3つ目の例としてベトナムでリメイク放送されてすでに5年目になるベトナム版「新婚さんいらっしゃい」の映像を見てもらいました。

最後に、「テレビ、新聞、ラジオなどの情報と、インターネットの報道とどちらを信用するか?」についてみんなで議論しました。「テレビ、新聞、ラジオは取材したものが編集されているから偏っている。インターネットはそのような恣意的な編集がない」「インターネットは匿名で報道できるので、無責任な内容のものもある」などの意見が出ましたが、最後には「1つの事柄を客観的に判断するにはテレビ、ネットなど複数の情報を比べた上で自分で取捨選択することが大切だ」という結論に到達しました。

大学生はテレビやラジオ、新聞にはもはや興味もなく、ネットが「命」なんだと決めつけていましたが、決してそんなことはなく、今回の授業を通じて多くの学生がテレビ番組を面白いと思ってくれていたことを知り、少しホッとしました。
受講してくださった学生のみなさん、ありがとうございました。

みんなの感想
  • 何十人もの努力や情熱が積み重なって番組が作られていることがわかった。
  • 日本を紹介する番組などが海外で放送されていて放送局のグローバル化が進んでいるのがよくわかった。一方で、日本国内は政治家の不倫は放送するのに、「ロヒンギャ」や「カリフォルニア州の大火災」など、海外での問題ついては日本のテレビでほとんど報道されないのは世間から遅れていると思う。
  • 学んでいるデザインは、例えば野球中継の文字を入れるような仕事に役立つような気がした。

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