境遇

インタビュー -Interview-

#02 相田晴美役
りょうさん インタビュー
すごく大変で難しい役でしたが、すべてのシーンが面白くて、本当に演じ甲斐がありました。一度だけでなく、何度でも観ていただきたい作品です。
りょう
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―― まずは脚本を読んでのご感想・印象をお聞かせ下さい

最後まで一気に読んで、どうしても晴美という役を演じたい!と思いました。ちょうど重なっている仕事があったので、掛け持ちできるのかというスケジュール的な不安はあったのですが、でも休みがなくてもいいからやりたいと思い、やらせていただきました。

本当に面白い脚本で、毎日読み返していましたね。読んでいると、途中で「この時の晴美ってどういう気持ちなんだろう?」って引っかかって、また戻って読み始めると、最初に読んだときには気付かなかった感情に気付いたり…というのを何度もくり返して、なかなか最後まで辿り着かせてくれませんでした。読めば読むほど、短いシーンの中からも晴美の複雑な感情が伝わってきて、なかなか読むのを止められなかったです。

―― りょうさんからみた晴美はどんな女性ですか? また、晴美を演じていかがでしたか?

ひと言では言い表せませんが、とても複雑で、悲しみも喜びも人一倍強く感じている、感受性豊かな女性だと思います。今回、美術が素晴らしかったこともあって、特に晴美の部屋にいると、苦しいくらい彼女の気持ちがわかって、自然と役に気持ちが入っていけたんです。すごく不思議な感覚でした。松雪さんと共演させていただいたというのもすごく大きいですね。ご一緒するのは初めてなのですが、波動が合ったというか、陽子と晴美のシーンでは、泣かなくてもいいのに涙が自然に出てきてしまったり、心が揺さぶられる感覚がずっとありました。

1シーンの中にある晴美の複雑な感情を、どの部分を強く出して、どのように表現していくかという作業が本当に面白くて、とにかく演じていてとても楽しかったです。こんな風に感じられる役というのは、なかなか巡り逢うことはないですね。すごく大変で難しい役でしたが、すべてのシーンが面白くて、本当に演じ甲斐がありました。撮影が終わってしまって、すごく寂しいです。こんな感覚は初めてかもしれない。

―― 演出を担当された若松監督とは、ご一緒していかがでしたか?

若松監督、すごく好きです。今回、初めてご一緒させていただきましたが、本当に難しい役だったので、シーン毎に監督と相談しながら気持ちを作っていきました。人間ドラマですがミステリーの部分もあり、その謎めいた部分が、観ている方に早い段階でいろいろわかってしまってはいけないというのがあったので、微妙なところを監督が的確にアドバイスしてくださいました。時系列的にも、回想シーンがあったり、過去に戻ったりするので、そういう部分をどう演じていくかを考えるのが、とても楽しかったです。「何度観ても面白い」というお芝居をしたいと思っていたので、監督の演出で近づけたかなと思っています。

監督はすごく大胆な方で、例えば、別の日にすでに撮っているシーンに繋がるシーンを撮るときに、思い切ってそのシーンを無くしたり、変えたりするんです。でも、確かにそうしたほうがいいシーンになるなと思うことばかりで、とても勉強になりました。

―― 今回の撮影で、特に印象に残ったことはありますか?

今回は松本をはじめ、素晴らしいロケーションの中で撮影することが多かったので、気持ち的にも入りやすかったですし、演技に集中できました。特に上高地は、行った瞬間に恐いくらいエネルギーを感じましたね。そういう場所でお芝居をするというのは、何かに守られているような、不思議な感覚でした。

―― 原作者の湊さんが陣中見舞いにいらしたそうですが、お会いしていかがでしたか?

同い年と伺って、「同い年なのにこんな作品を書くなんてすごいなぁ、凄いな」って。まだまだですね、私(笑)。そんなにたくさんお話はできなかったのですが、「この役、難しいですね」という話をしました。

―― 放送を楽しみにしている、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします

一度だけでなく、何度でも観ていただきたい作品です。私自身、脚本を読むたびにいろんな発見があってなかなか先に進めなかったので、そういう面白さが映像の中にも出ているといいなと思います。一度観た後に、「あれは何だったんだろう?」って思いながらもう一度観ると、また新たな発見があって、どんどん登場人物の気持ちに入っていける、そういう楽しみのある作品だと思います。

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