境遇

インタビュー -Interview-

#03 高倉正紀役
沢村一樹さん インタビュー
女同士の友情、ミステリーのスリル感、そして、不幸な美人のなんとも言えない魅力を楽しんでいただけたらと思います。
沢村一樹
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―― まずは脚本を読んでのご感想・印象をお聞かせ下さい

どんなストーリーなのか、自分がどんな役を演じるのかという基礎知識を入れる前に読んだのですが、前半はわりとほのぼのしたシーンから入っていくのに、最初から少し胸騒ぎがするようなト書きやセリフがところどころあって、読んでいるうちにものすごくドキドキしました。登場人物がみんな悪い人にも見えてきて、最後の最後、本当に結末を見るまで、自分が演じる正紀がいい人なのか悪い人なのかもわからずに読んでいましたね。

―― 今回演じている正紀に対して、どんな印象をお持ちになりましたか?

陽子にとっては良き夫で、彼女が児童養護施設にいたという過去を知った上で、彼女を受け入れている。だけど、母の弘子は陽子に対して複雑な思いを持っているんですよね。母は正紀を溺愛していますが、正紀はマザコンという感じではなくて、母が頼りにしていた父が亡くなってしまい、そんな母の期待を受け入れようとして、父の地盤を引き継ぎ、頑張っているんだと思います。たぶん子どもの頃から帝王学をたたき込まれているんでしょうけど、あまり政治家然とした感じには見えないように意識して演じています。なんとなく、誰かに踊らされているようなイメージもあるかなと。

―― 撮影現場はいかがですか? 共演者の方の印象は?

松雪さんとは、僕がまだデビューして連ドラ3作目のときにご一緒して、それ以来ですね。とても話しやすい方なので、すごく久しぶりという感じもあまりなかったです。りょうさんは同じ事務所ですが、実は共演したことはほとんどないんです。お二人とも仕事と家庭を両立させていて、女優としても母親役だけでなく、キャリアウーマン役も演じられていて、それがとてもお似合いになりますよね。

僕が小さい頃にテレビで見ていた大御所の方たちも出演されていますが、みなさんとても気さくに接して下さり、楽しかったです。これだけ豪華な俳優が同じ作品に集まったり、同じシーンに出たりする機会というのはあまりないことので、その場所に自分が一緒に立てたというのは、嬉しかったですね。とてもいい経験をさせていただきました。

―― 今回は若松監督が演出を担当され、単発ドラマながら約一ヶ月の期間をかけ、
オール地方ロケという映画なみの撮影でしたが、そんな現場に参加されて、いかがでしたか?

そうですね。今回は映画のペースで撮っているような感じで、それをテレビドラマでできるというのはとても贅沢なことだと思うし、そんな作品に呼んでいただけたというのは、ものすごくやりがいを感じます。本当に嬉しいですね。僕も二時間ドラマ、連ドラ、時々映画もやらせてもらっていますが、どの現場とも違う感じがします。細かくカットも割っていないし、長回しが多いので、緊張感がある。それが久しぶりの緊張感で、やっぱりこういう長回しっていいなと思いながら参加しています。しかも、監督の頭の中に役者の動きがしっかりあって、その動きをきちんと付けた上での長回しなので、緊張しながらも演じていてとても楽しいです。

オールロケというのも贅沢ですよね。何回、長野県に来るんだろうっていうほど来ています(笑)。僕、地方ロケ、好きなんですよ。ロケ先によっては東京を目指している街と、その地元でしかできない街づくりをしている街があると思うんです。今回僕は県会議員の役ですが、この街は地方政治に対する関心も強いところなのかなと思いつつ、演じていました。

―― 放送を楽しみにしている視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします

不遇な境遇を背負った女性同士の複雑な友情を、とても丁寧に描いた作品です。次から次へとどんでん返しがあったり、意外な人が悪者だったり、やっぱりなという人が悪者だったりするというミステリーの要素もあるので、そのスリルも合わせて楽しんでいただけたらと思います。

それともう一点、松雪さんもりょうさんも独特の個性を持っている美しい女優さんですよね。僕は、幸せな美人なんて誰も見たくないと思うんです。綺麗な女の人はちょっと不幸なくらいがいい。不幸な美人というのは、何とも言えない魅力がありますから。ぜひその魅力も楽しんでいただきたいですね。

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