県議会議員の夫と5歳の息子と共に幸せな毎日を送る高倉陽子(松雪泰子)。そんな彼女が、テレビ局主催の絵本大賞新人賞を受賞し、その出版記念パーティーが盛大に開催される。陽子が会場の壇上で、受賞作『青空りぼん』を朗読していると、陽子の親友・相田晴美(りょう)が会場に姿を現した。朗読しながら感情が高ぶり、涙がこみ上げていた陽子は、晴美の姿を見て、再び朗読を続ける…。
朗読が終わり、壇上から降りた陽子は、晴美と抱き合い、受賞の喜びを噛みしめる。そんな二人の姿を、少し遠くから一人の初老の女性(いしだあゆみ)がじっと見つめていた…。
陽子が新人賞を受賞したことで、彼女の周りは一気に騒がしくなっていた。数ヶ月前、不正献金疑惑で警察に事情聴取された夫・正紀(沢村一樹)のイメージ回復のため、正紀の母・弘子(白川由美)や、後援会長の後藤良隆(岸部一徳)が、躍起になって陽子を表に出そうとしていた。
しかし、当の陽子はそんな状況に戸惑っていた。というのも、『青空りぼん』は、晴美と初めて出会った17年前、彼女が陽子に打ち明けた話を元に書いた絵本だったのだ。生後間もなく児童養護施設に預けられた晴美は、母親が残した手紙と青いりぼんだけが支えだった。そんな大切な話を、同じように幼い頃、別の児童養護施設で育った陽子にだけ打ち明けてくれたのだった。しかも、陽子は息子・裕太(西本晴紀)やボランティアをしている施設の子どもたちのために絵本を書いただけだったのだが、それを後藤が勝手にコンクールに応募したのだ。
数日後、正紀がソウルで行われる国際会議に出発した。その直後、正紀の事務所で頼まれたサインをしていた陽子は、裕太をスイミングクラブに迎えに行ったはずの正紀の秘書・後藤亜紀(田畑智子)が一人で帰って来たことに気づき、彼女を問いただす。だが、亜紀は知らないと言うばかり。焦った陽子はあちこち探し回るが、一向に見つからない。しかもその直後、事務所に「息子は預かった。無事返して欲しければ、世間に真実を公開しろ」という脅迫状がファックスで届く。
狼狽した陽子は警察に通報しようとするが、誰が犯人かわからない以上、通報はしない方がいいと後藤に止められてしまう。さらに後藤は、ソウルにいる正紀に電話をかけようとする陽子に、「正紀くんの政治生命を断つつもりですか?」と言い放つ。政治家の妻であることを忘れるなと後藤に釘を刺された陽子は、晴美に助けを求めるが…!?