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「せとうちビオファーム」 佐藤潤さん

20191116日(土) 午前11時

小豆島からオーガニックオリーブオイルを発信!

「せとうちビオファーム」 佐藤潤さん

香川県小豆島に、不可能を可能にしたと言われるオリーブ農園があります。2012年に日本初の「有機JAS認定オリーブオイル」の製造に成功した「せとうちビオファーム」です。

この農園を運営しているのが佐藤潤さん。元々、大学を卒業して商社に入り営業を担当していましたが、母親が小豆島へ移住したことをきっかけに、心機一転、農業の世界へ。小豆島の醤油蔵「ヤマサン醤油」が持っていたオリーブ農園を受け継ぎ、持ち前のバイタリティと、新たに出会った仲間の協力を得て、当時困難とされていたオーガニックオリーブオイルづくりに挑んだのです。

10月下旬は、まさにオリーブの収穫期。1日に400キロから500キロを収穫しますが、畑の場所が点々としているので1本の木にどのぐらい実がなっているか、行ってみないと分からないという地道な作業が続きます。

小豆島でオリーブの栽培が始まったのは今から111年前の1908年。そのときから育てられているのが「ミッション種」と呼ばれるオリーブ。ほろ苦さがあり、オリーブオイル通に人気のタイプです。実は最近、この「ミッション種」のオリーブが病気にかかりやすくなってきていて、絶滅の恐れもあるといいます。佐藤さんは伝統種の味わいを絶やすまいと、農業法人「大和の里」の協力を得て、奈良にもオリーブ農園を展開し、ミッション種の植樹をはじめています。

さらに佐藤さんは今年「ルッカ種」と呼ばれる別の品種を使って、新たな風味のオリーブオイルづくりに挑むことに。早摘みのルッカ種を使って、香りや辛みの強いオリーブオイルを目指しました。出来上がったオイルを、小豆島にあるオリーブの研究機関に持ち込んで検査。独特の風味が高く評価されました。佐藤さんの挑戦は、これからも続きます。

オリーブオイルの革新に燃える熱血ファーマーに密着しました。

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せとうちビオファーム
概要香川・小豆島で有機JAS認証のオーガニックオリーブオイルを製造販売
備考商品はホームページより通販可能
また今回製造の「早摘みルッカ」のオリーブオイルは、ヤマサン醤油のホームページより予約可能(限定数あり)

ホームページ
http://www.setouchibiofarm.com(会社案内・化粧品)
yamasanshoyu.co.jp(食品・オリーブオイル通販)

各ページに掲載している内容は、取材・放送時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。

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浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

2025524日(土) 午前11時

最後の京瓦職人

浅田晶久さん 『浅田製瓦工場』 京都市伏見区

京都市伏見区。この地で110年以上、瓦を作り続けている『浅田製瓦工場』。現在、京都でただ一人、「京瓦」を製造しているのが、三代目の浅田晶久さん。「京瓦」の神髄は「磨き」と呼ばれる技法。金属のヘラで丁寧に磨き上げ、重厚な光沢と深い鈍色の風合いを持たせる伝統の技術です。浅田さんの手掛けた瓦は、歴史ある寺社や建物の屋根を飾っています。

そんな「京瓦」も、時代と共に需要が激減。かつて京都に十数軒あった瓦工場は、今やここだけ。後継者もおらず、厳しい状況が続いています。「それでも後に残していかなあかん」。伝統を次の世代へ繋げたい。喜寿を目前にしても、休むことなく「京瓦」の可能性と未来への道を追求する浅田さん。しかし今、ある大きな決断を迫られていました。

先月、開幕した大阪・関西万博。「関西パビリオン」の中の京都ゾーンの床と壁を覆う素材として使われたのが「京瓦」です。瓦製作を監修したのが、浅田さん。オファーしたのは、空間デザインを担当した彫刻家の名和晃平さんです。「京瓦のおかげで、ここは静謐な空間になりました」。

浅田さん、屋根がダメなら床や壁にと、京瓦の未来のために、新たな可能性に挑みます。「これ、アインシュタイン・タイルといって、床に敷く」。不思議な形の13角形。早速、デザイン会社から発注がありました。その枚数、1840枚。一枚一枚、想いを込めて仕上げていきます。納品するのは東京都内のオフィス。さて、どんな空間になったでしょう。

切なる思いで、京瓦を残す道と、後継者を探し続けてきた浅田さん。しかし経営は厳しく、人材の採用すらままならないのが現実です。そこで昨年12月、大きな決断に踏み切りました。それは114年の歴史を持つ『浅田製瓦工場』の経営権の譲渡。

同じ未来を見据え、経営権の譲渡にむけて共に歩んできたのは、息子の憲和さんです。憲和さんが2年以上かけて探したのが、京都指定伝統工芸品の「事業再生と企画運営」を行う会社でした。しかし新体制に向けての大切なミーティングで、親子は激突します。心の整理がつかない父親の姿勢を見て、憲和さんがぶち切れました。「何が残したいや!全部自分で潰してるやんけ!必死やねんこっちは!」

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