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小鹿千秋さん 大阪府八尾市 「むすんで、にぎって。」

2023520日(土) 午前11時

コミュニティナースが開いたおむすびスタンド

小鹿千秋さん 大阪府八尾市 「むすんで、にぎって。」

古き良き風情を残す、大阪府八尾市萱振町。ここに2021年11月、小さなおむすびスタンド『むすんで、にぎって。』がオープンしました。「甘塩鮭」、「たっぷり昆布」、「南高梅」、「ツナマヨ」などの定番や、地元の旬の食材を使った期間限定の「気まぐれむすび」など常時10種類ほどのおむすびがラインナップされ、1日100個ほどが売れていきます。作っているのは店主の小鹿千秋さん。

小鹿さんのこだわりは「お米」。おむすび専用のお米をブレンドしてもらい、冷めても美味しい、炊き立てをふんわり、空気を含ませながら結びます。具材も多くは地元の農家から仕入れています。地域に根差し、愛される店の店主・小鹿さんには、ある思いがありました。「私は元々、病院に勤務していた看護師。今は地域の人たちの健康を見守る、コミュニティナースとして活動しています。おむすびスタンドもその一環なんです。」

八尾市に産まれた小鹿さんは、看護専門学校を卒業後、看護師として大阪市内の病院へ。手術室、内科病棟、がん病棟など、幅広く経験。そんな中「退院予定の患者さんが当日になって、腹が痛いから退院できないと言い出して。よくよく聞いてみると、家は一人だから帰りたくないと、孤独を理由に退院を嫌がる方がちょくちょくいらして。」孤独や孤立を防ぎたい。小鹿さんはすぐさま行動を起こしました。

実家である酒屋の倉庫を改造して、2017年、地域食堂『おかえり処・お結びころりん』を開店。運営は小鹿さんの両親を中心に、ご飯を提供するが、何も注文しなくてもOK。
赤ちゃんからお年寄りまで、家のように集える場所を作ったのです。そんな折、コミュニティーナースという存在を知り、自分も病院以外の場所で貢献できることがあるのでは?と考え、総合病院を退職。「地域食堂に入るのが苦手な方や、若者や忙しいオフィスワーカーの健康が心配。おむすびスタンドなら立ち寄りやすく、彼らとコミュニケーションをとることで、彼らの心と体を守れるのでは、と考えたのです。」

現在、看護師としての仕事も続ける小鹿さんですが、新たなプロジェクトを企画しています。それは…最近増えてきた空き家を使って、街のみんなの「実家」のような居場所を作ることでした。

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おむすびスタンド むすんで、にぎって。
概要塩・鮭・昆布など定番商品から季節の具材まで取り揃う、看護師が結ぶおむすびスタンド。
住所大阪府八尾市萱振町3-118-4-101
営業時間月曜・火曜・木曜・金曜 11:00~14:00(臨時休業の場合あり)
定休日第2月曜・水曜・土曜・日曜・祝日
備考おみやむすび・きまぐれむすびは不定期変更

臨時休業日はインスタグラムで告知

インスタグラム
https://www.instagram.com/musunde.nigitte_since2021/
月イチ食堂「せわのわ」
概要小鹿さんが運営する、月に一回、食堂を間借りして開かれる定食のお店。
住所大阪府八尾市久宝寺3-8-25(食堂ripple内)
営業時間第2月曜 9:00~14:00(月1回営業)
備考インスタグラム
https://www.instagram.com/sewanowa_since2021/
おかえり処 お結びころりん
概要小鹿さんが開き、両親が運営する地域食堂。
住所大阪府八尾市東山本町8-6-32
電話番号080-4562-3310
営業時間月曜・火曜・木曜・金曜 7:00~19:00
定休日水曜・土曜・日曜・祝日
備考インスタグラム
https://www.instagram.com/omusubikororin_since2017/

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次回の放送

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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