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藤川拓馬さん 奈良県東吉野村 「維鶴木工」

2023610日(土) 午前11時

吉野の木で作る椅子

藤川拓馬さん 奈良県東吉野村 「維鶴木工」

木の産地として知られる奈良県吉野。東吉野村に工房を構え、吉野ヒノキを中心に日本の良質な木を使って、家具作りに取り組んでいるのが『維鶴木工』の藤川拓馬さんです。
特にこだわっているのが、椅子。「強く、優しく、美しく」をモットーに、丈夫で使い心地がよく、掛け心地もよく、なおかつ美しい、が絶対条件。使う人にとってかけがえのない一生モノの椅子作りを目指しています。2022年に「ウッドデザイン賞」を受賞。今年の1月には無印良品のパリ店に出店するなど、注目の若手作家です。

藤川さんは大阪府出身。大工の父親の影響を受けて、自身も家具職人の道へ。2016年に桜井市で『維鶴木工』を開業。ソファの骨組みやオフィス家具などを手掛けるうちに、様々な技術を必要とする椅子が「作るのも見るのも使うのも一番面白い」と思うように。
椅子は日本で普及してからの歴史が浅い。日本らしい椅子を模索しようと考えていた時、吉野ヒノキに出会いました。「節や反りが無く、めっちゃキレイ」と一目惚れ。硬くて強度が出せるのも椅子に適していました。

2017年に東吉野村に工房を移転。人工林として500年以上、大切に育てられた木で、孫の代まで長く使える椅子を作りたい、との思いからでした。ところが2020年の春、コロナ渦の影響で受注が減少。「自分に何か出来ることはないか」と考えた藤川さんは、自分でスツール(背もたれのない椅子)を作れるキット「Do kit yourself」を生み出しました。自宅で自分で椅子を作るこのキットが人気を博し、問い合わせやワークショップの依頼が舞い込むように。2021年度の「グッドデザイン賞」も受賞しました。

現在は、若手の職人と日々の仕事に励みながら、よりクオリティの高い商品を開発すべく、研究、設計、製作に余念がありません。また、色々な場所から「Do kit yourself」とのコラボ話も寄せられています。「吉野の木の魅力をもっと知ってもらいたい」藤川さん。椅子への熱い愛は止まりません。

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維鶴木工
概要木の産地「吉野」にある木工所。良質なスギとヒノキを使った椅子や、特注、試作、修理など、様々な木工製品を製作。
住所奈良県吉野郡東吉野村瀧野507
電話番号0746-44-9540
営業時間9:00~17:00
定休日不定休
備考ホームページ
http://izr.jp/
絵本ホテル
概要子供が主役の、絵本が読める1日1組限定のホテル。イタリアを中心に世界中から美しい絵本を選りすぐって用意。
住所奈良市赤膚町1144-6 トルナーレ学園前105
備考ホームページ
https://ehonhotel.jp/
LA PIE
概要パークハイアット京都のレストラン「八坂」で料理長を務めていた久岡シェフが独立し、この夏「ならまち」にオープン予定のビストロ。
住所奈良県奈良市鵲町15-3
備考ホームページ
https://www.instagram.com/lapie_naramachi/

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田口ナツミさん 「透過刺繍」 奈良県 大和郡山市

202553日(土) 午前11時

独自の技法「透過刺繍」の女性作家

田口ナツミさん 「透過刺繍」 奈良県 大和郡山市

糸で布に模様を描く刺繍。しかし、もしもあるはずの布がなかったら?まるで糸だけが浮かんでいるような不思議な作品に、今、注目が集まっています。唯一無二の技法「透過刺繡」を編み出したのは、刺繍作家の田口ナツミさん。美大に進むも挫折。長らく作品を生み出せずにいた彼女を救ったのは、僻地医療を担う夫と共に移住した、山深い村でした。

奈良県大和郡山市。古い町割や水路が残る町に、田口ナツミさんの自宅兼アトリエがあります。ナツミさんの刺繍はまずスケッチをし、それをもとに布へ刺繍したあと、そのまま水の中へ。すると…布が水に溶けるのです。そうして残った糸だけの刺繍。それが透過刺繡です。布がないので表裏がなく、どの角度から見ても楽しめます。

作品のモチーフは身近な植物や動物たち。大和郡山市に引っ越してからは地元の名物、金魚の作品が増えました。「金魚ストリート」と呼ばれる商店街を、二人のお子さんと一緒にお散歩しながら観察します。夫は単身赴任中。春休みの子供たちに目を配りつつ、作品作りに励んでいます。

田口ナツミさんは1991年生まれの奈良育ち。絵を描くのが大好きな子供だったといいます。美大に進学するも、作品を生み出せないスランプに陥り、大学卒業後に看護師の資格を取得。僻地医療の勉強会で夫と出会い、結婚。2019年から2年間、下北山村で生活したことが大きな転機となりました。

奈良県の最南部に位置する下北山村の人口は約700人。村で唯一の診療所に赴任している夫の元へ、子供たちを連れてやってきたナツミさん。初めての育児で悩んでいたとき、村のママ友のおかげで乗り切れたんだとか。そして3月31日、夫の田口先生の任期は終わりを迎え、6年間に渡って関わってきた村の診療所を離れます。人の温かさに心を満たされ、透過刺繡が生まれた下北山村。感謝と共に村を後にします。

4月。新生活もはじまり、ナツミさんは新たな作品を考えていました。いつもより大きな枠を使って生み出すのは、牧場でスケッチした羊の「左耳黒蔵くん」。さて、どんな透過刺繡になったのでしょうか。

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