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吉川佳代子さん 京都・亀岡市 「京都ほづ藍工房」

2024928日(土) 午前11時

急死の父のあとを継いだ藍染職人

吉川佳代子さん 京都・亀岡市 「京都ほづ藍工房」

京都・亀岡の畑で、ある植物の刈り取りが始まりました。それは「京藍」。京藍とは、かつて京都で絶滅したといわれた幻の植物。京藍を使った藍染は、やさしい色彩で人々を魅了しています。この地に京藍を復活させたのは、藍染に人生をかけた先代の父、吉川慶一さん。3年前に急逝した慶一さんの想いを引き継いだのが、2代目となる娘の吉川佳代子さんです。

京都・亀岡市。保津川下りで知られるこの場所に『京都ほづ藍工房』があります。ここで吉川さんは、作品作りや体験教室の講師など、藍に関わるすべてを手掛けます。「多くの人にもっと藍の良さを知ってもらいたい」。この日は、多くの留学生を交えた藍染体験。様々な布を「絞り」と呼ばれる技法で染めるのです。絞った部分は藍に染まらず、地の色が残ります。出来上がった布は、世界に一つしかない自分だけの「絞り染め」となるのです。

体験教室と並行して、藍染加工品や商品作りも行っています。天然素材なら何でも染めることができるという藍。暖簾や革小物など、色々な藍染が表現できます。先代からの技術を継ぎながらも、吉川さんらしいデザインも生み出しています。一度藍染した生地に型を置き、抜染液を塗っていくと、その部分が白色に抜けるので、オリジナルなデザインが出来上がるのです。

そんな吉川さんですが、父から工房を継ぐまで、自ら藍染職人への道を望んだわけではありませんでした。ウェブデザインの仕事をしながら二十代で結婚し、北海道へ。しかし7年前に離婚し、亀岡に戻って父・慶一さんの工房で働き始めました。

今日は吉川さんにとって大切な、「京藍」の刈り取りの日。京藍は父・慶一さんが、絶滅したといわれた種に徳島で出会い、亀岡に移して育てたもの。染料化に時間がかかり、「ようやく」という矢先に父は他界。父が果たせなかった夢を吉川さんが継承したのです。

亡き父の夢は、藍を栽培して、染料化するだけではありません。藍を使って、もっと何かできないかと考えていました。そこで吉川さんは…

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京都ほづ藍工房
概要京都・亀岡で藍染めの加工や販売・体験を行なっている工房
住所京都府亀岡市保津町三ノ坪50
電話番号080-4646-1220
営業時間10時~17時
定休日不定休
(ホームページから営業日カレンダーを参照)
備考体験は要予約(1~35名まで体験可能)
ハンカチ体験2,200円 Tシャツ体験3,300円 (1名で予約の場合は4,400円~)

ホームページ
http://www.hozuai.com/

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上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

2025614日(土) 午前11時

伝統工芸「金彩」を令和に受け継ぐ職人親子

上田京子さん 奈津子さん 『金彩上田』 京都市北区

光煌めく繊細なアート作品に、耳元で輝くイヤリング、華やかな色合いのスカーフ。これらはすべて、日本が世界に誇る伝統工芸「金彩」を施したアイテム。「金彩」とは、着物に金や銀の箔を糊で貼り付け、煌びやかに装飾する技法です。唯一無二の美しさで古くから友禅に活用されてきましたが、和服離れとともに、その技法を知らない人が増えています。そんな「金彩」を未来に繋げるために奮闘する親子に密着しました。

京都市北区にある工房『金彩上田』。営むのは金彩職人の上田京子さんと娘の奈津子さんです。友禅の世界では、絵付けと金彩が分業されることが多いのですが。絵を描くのが大好きな奈津子さんが一からデザインし、完成まで一貫して行うのが『金彩上田』流。その親子による、高度な技法を実際に見てみましょう。

京子さんはリペア技術の高さにも定評があります。下書きから絵付け、仕上げに金彩を施して修復は終了。他にも、着物の経年劣化による色褪せや箔の剝がれなど、状況は千差万別。修復には経験と熟練の技を要します。

18歳で京友禅の工房に入り、技術を習得した母・京子さん。職人の母の背中を見て育った奈津子さんでしたが、家業を継ぐ気はなく、ブリティッシュ系のアパレル会社に就職します。しかし、バブル崩壊後、ガクンと仕事が減った京子さんは、「もっと時代に合わせた多様なデザインに金彩を施せるのでは?」。そして「新しいモノづくりができるなら面白そう」と考えた奈津子さんと二人で、工房『金彩上田』を立ち上げたのです。

新しい金彩に挑む奈津子さんには、タッグを組むディレクターがいます。イタリアと日本の素材を組み合わせたファッションブランド「レナクナッタ」の大河内愛加さんです。『金彩上田』とコラボしたイヤリングやシルクのスカーフは、販売すると、たちまち完売する人気商品となっています。なぜ大河内さんは、上田さんとコラボしようと考えたのでしょう。

「少しでも多くの人に金彩を知ってもらいたい!」様々な素材で新作に取り組む奈津子さん。それ以外にも、親子の挑戦はまだまだ続きます。

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