２００５年に初舞台を踏み、以来、大阪を拠点に全国を行脚しながら浪曲を披露する女流浪曲師の春野恵子さん。実は恵子さんは、東大卒のタレントとしてバラエティ番組に出演し、“ケイコ先生”の愛称で人気を博した、その人だ。そんな彼女が浪曲師に転身した理由、そして、今、新たに恵子さんが挑む“夢のカタチ”を追った。

そもそもは女優志望で、東大を卒業してから夢に向って進んでいた恵子さん。とあるオーディションに合格し、仕事の内容をいっさい告げられないままスタジオ収録に参加したことがきっかけで、“ケイコ先生”が誕生した。一躍人気者になったものの、人気だけが独り歩き。持っているものといえば知名度だけ。「このままでは生きるのも苦しい、実力で勝負したい」と悩み、何かを探し求めていたときに出会ったのが、浪曲だった。

恵子さんの人生を大きく変えることになったのは、春野百合子師匠の浪曲。そこで、百合子師匠に弟子入りし、修業を積むことになる。そこには、それまでの経歴すべてを捨て、一からスタートしたいと頭を丸坊主にしたほどの強い決意があった・・・。そんな彼女を受け止めた百合子師匠が、弟子入り志願にやってきた恵子さんの当時のエピソードを明かした。

浪曲の世界に飛び込んで７年。「浪曲の世界を盛り上げたい」という思いが日に日に強くなる恵子さん。そんな彼女の同志ともいえるのが、曲師の一風亭初月さんだ。曲師とは浪曲の三味線伴奏者のとこで、恵子さんの浪曲を支える大切なパートナー。実は、浪曲師と曲師の相性はとても重要なのだとか。心を通わす２人は、後継者不足に悩む浪曲の世界を再び活気づけたいという共通の夢を持っていた。

そんな彼女たちが、若手の浪曲師が集まるイベントを開催。その場で今までにない新しい浪曲を披露！浪曲の新たな可能性を示す、恵子さんたちの斬新なチャレンジを追った。