イタリアンレストラン「マーブル・トレ」の気鋭マネージャー、武田尚士さん。彼は今年、大阪の食通たちが心待ちにしている、大人気の料理イベントの代表を務めた。１０ヵ月に1度、造船所の跡地を会場に開かれる「１日限りの屋台村」。ここには大阪で美味しいと評判のレストランが集い、俊英シェフたちが自信の一品で腕を競い合う。このイベントを仕切り、切磋琢磨するライバルたちを束ねる、武田さん。今回は、数々のトラブルに見舞われながらも、大阪を美食の都にと、「屋台村」開催に向けて奮闘する姿に密着した。
屋台村は、辻調理師専門学校の同期生を中心に、‘７７年生まれのメンバーが集まった「７７会」が自力でスタート。季節がずれるようにと１０ヵ月ごとに開かれ、３回目の今年は６月の梅雨時期に開催されることになった。雨天決行だが、雨が降るとタイヘンなことになってしまう。しかも、今年は突然、主要メンバーの1人が料理界を去ってしまった。大きなピースが欠けたところへ、追い討ちをかけるように３月に東日本大震災が発生。一時は中止もやむなしという状況に・・・。そんな中、開催に踏み切った武田さんが、今回のイベントにかける特別な思いに迫った。
実は、彼は今回のイベントで２つの新しい試みを考えていた。１つは、お互いライバルとして認め合っているシェフ３人が、コラボで作るスペシャルメニュー。もう一つは、参加するシェフたちには内緒で、当日の料理が最初になくなったなど、イベントに最も貢献したシェフを、武田さんが個人的にＭＶＰならぬＭＶＣ（Ｍｏｓｔ Ｖａｌｕａｂｌｅ Ｃｈｅｆ）として表彰するというもの。友情で結ばれたイベントではあるが、ただの仲良し会では進歩がない、と武田さんは考えた。
早速、コラボメニューの試作に取り掛かる３人のシェフ。武田さんも交え、夜遅くまで意見の交換は続いた。
若き料理人たちが互いに認め合い、競い合い、自分たちの夢を確認する場所でもある「屋台村」。果たして、３人のシェフにより、いかなるコラボメニューが誕生したのだろうか？　また、ＭＶＣに輝いたのは？
参加シェフのイベントへの熱き思い、また「７７会」への思いも紹介しながら、大人気イベント当日の裏側に迫った。