京都市右京区にある小さな工房「小野内商店」は、１００年以上も前から手作りの傘にこだわり続ける洋傘の工房。家族４人で作るのは、雨傘や日傘、折りたたみ傘などだが、分業制がほとんどの業界にあって、最初から最後まで一貫して工房で製作している。業界内でも評判の高い技術を誇る工房を取りまとめているのが、長女で傘デザイナーの小野内香織さんだ。今回は、香織さんの傘作りに密着し、彼女の傘にかける情熱に迫った。
「小野内商店」で手がける傘は、大手ブランドや百貨店の企画商品をはじめ、舞台やデザイナーからの特注品までさまざま。数年前からは、日傘のオーダーメイドやオリジナルブランドも立ち上げた。なかでも、日傘のオーダーメイドは、昨今、おざなりに扱われがちの傘に対して、「いつまでも大切にしてもらえる傘をつくりたい」という香織さんの思いがカタチとなって始まった。お客さんが使いたい生地を使って作る、世界でたった一つの日傘。素材になるのは、着物や風呂敷、スカーフやソファーの布など多岐にわたり、生地の特徴や複雑な絵柄、デザインを生かして、傘という額縁の中に美しく納めていく。なかには、お客さんの思いが込められた大切な布を使うことも。そんなオーダーメイドの日傘の物語を紹介した。
そして、香織さんがいま、最も力を入れているのがオリジナル傘。「１点もののオリジナル傘をもっと作りたい」という香織さんは、オリジナルを中心にした傘の個展を開くことに！実は、これまでお客さんと対面することがなかったという彼女が、初めて、お客さんと向き合うことのできる機会でもあり、期待と不安が入り混じる。そんな個展に向けて奮闘する香織さんの姿を追い、個展での様子を紹介した。