大阪府八尾市の下町風情漂う細い路地にウクレレの工房「チハレワークス」がある。ここでウクレレを作っているのは姫田千春さん。大きな木材をカットするところから、組み立て、飾り付けの細工作り、弦を張るところまで、すべての工程を工房でひとりで行っている。今回は、ウクレレ職人の姫田さんのこだわりのウクレレ作りやウクレレに込めた想いを紹介。さらに、日本古来のヒノキを使った新作依頼が舞い込んだ、姫田さんの初めて尽くしの新たな挑戦を追った！
姫田さんが作るウクレレは、すべて手作りの１点もの。女性ならではのデザインと繊細な仕上がりが好評で、個人のオーダーメイドは１０カ月待ちの状態だ。そんな彼女のこだわりのウクレレ作りを紹介した。一つ失敗すると一からやり直しのウクレレは、ほんの一削りで音が変わるうえ、完成するまで音色も分からないため、これまでの経験がものをいう。また、彼女のウクレレには、トレードマークともいえるワンポイントの「インレイ」と呼ばれる象嵌細工が入る。貝や人工の大理石など様々な素材を使い、細かい作業を行うため、多くの時間を割くという。本来ならなくてもいいひと手間だが、彼女がワンポイントにこだわる理由は、このウクレレがもっと成長していくようにという願いがこめられているから。
ウクレレが大好きな姫田さんが、この世界に入ったのは５年前のこと。インテリアデザイナーを目指していたが、ウクレレの魅力にハマり、あるウクレレイベントに参加したときに転機が訪れた。その転機はウクレレ職人との出会い・・・。
姫田さんの師匠は、この道４０年のウクレレ職人、占部英明さん。プロのミュージシャンにも多くの愛用者がいる熟練職人で、占部さんに弟子入りした姫田さんは本格的にウクレレ作りを学び、独立。彼女のウクレレは、音色はもちろん、女性職人ならではのデザインや美しさ、丁寧な造りで高い評価を受けている。
そんな姫田さんのもとに、ウクレレ専門店「オハナ」から新たなウクレレのオーダーが舞い込む。本場ハワイにも負けない品揃えを誇る「オハナ」の店長からの依頼は、香り高い日本古来のヒノキで作るウクレレ。さらに、形もこれまでチャレンジしたことのないタイプで、まさに初めて尽くしの挑戦になる。
ウクレレ職人にとっては難題のヒノキと、高い技術を要するカッタウェイという形。試行錯誤を重ね、新しい素材と新しい形に挑む姫田さんの奮闘を追った。