近鉄奈良線「富雄駅」から徒歩１分という便利な場所に建つ、ひときわ目を引くレトロな建築の「レストランテ・アコルドゥ」。大正時代に建てられたという旧鉄道変電所の建物を再利用したシックなレンガ造りの高級レストランで、敷地内にはハーブガーデンの中庭やカウンタースタイルの店も併設。オーナーシェフは、スペイン料理の本場、バスク地方で修業をし、モードスパニッシュと呼ばれる、伝統と新しさが融合した料理を手がける川島宙さんだ。今回は、川島シェフの手による“五感を刺激し、人々の記憶を呼び覚ます料理”の魅力を紹介。オープン５年目を迎えたこの夏、ターニングポイントを迎えたレストランが、新たな第一歩を踏み出すためのメニュー作りに挑む様子に密着した。
地域に根差し、地元の生産者との付き合いを大切にしている川島シェフ。奈良県を中心とした近畿の食材を積極的に取り入れ、地産地消に取り組む姿勢が高く評価された川島シェフは、農林水産省が生産者とともに歩み、地元の素材をすばらしい料理に昇華させたプロフェッショナルにだけ授与する「料理マスターズ」の称号をもつ。生産者との語らいや風景の中から新しい料理が生まれることも少なくないという。
そんな川島さんの料理の特徴は、味覚だけでなく、五感すべてを刺激する様々な工夫がなされていること。店名にある「アコルドゥ」とはスペインのバスク地方の言語で、「記憶」という意味であり、お客さんの“記憶を呼び覚ます料理”を目指している。川島さんの料理哲学やスタイルを紹介しながら、独創的なメニューを取り上げる。
レストランがオープンして５年目の今年、大きな転換期が訪れる。支店の誘いはこれまで断っていたが、大阪に店をオープンさせることになったのだ。バルスタイルの新たな店の店長になるのは、川島さんの右腕であるセカンドシェフの日野さん。そして、大阪の出店を機に本店も心機一転し、新たなメニューを考案することに！川島シェフのほか、日野シェフとサードシェフの古川さんが新メニューを考える。「レストランテ・アコルドゥ」の５年の総決算であり、新たな一歩を踏み出すメニューが出来上がるまでを追った。