大阪市福島区に昨年の春、オープンした日本料理店「楽心」。店主の片山心太郎さんは、心斎橋と豊中の名店で修業を積み、３６歳で独立。半年後にはミシュラン１ツ星を獲得するなど、今、最も注目される気鋭の料理人だ。今回は、季節とともに移り変わる献立と、それを盛る器も変わる片山さんの料理の魅力に迫った！
飲食店ひしめく路地に端正な店構えを見せる「楽心」は、一歩、足を踏み入れると別世界。白木のカウンターの奥には中庭があり、都会の喧騒を忘れさせる。夜はおまかせコースのみで、月毎に献立は変わる。器にもこだわっており、特注したオリジナルのものも。月末には翌月の献立を試作するが、オープンしてまだ８カ月とあって、時間はあっという間に過ぎていく。毎月、試行錯誤しながら、考える献立。１２月のコースメニューから片山さんの料理の魅力を紹介した。
高校時代、テレビで見た日本料理人に憧れ、辻調理師専門学校に進み、日本料理を学んだ片山さんは、大阪の心斎橋にある「懐石料理　桝田」で修業。片山さんの師匠でもある店主の桝田さんは、「吉兆」やカウンター割烹の店で技と感性を磨き、現在はミシュラン二ツ星を獲得した。そして、もう一人の師匠が豊中の住宅街にある新日本料理の「とよなか桜会」の満田さんだ。「桝田」で共に働いていた兄弟子で、独立後は日本料理の新境地を開拓しつづけ、ミシュラン２ツ星を獲得した若手のホープ。そんな２人の師匠から片山さんは学んだ。そして、大阪で日本料理を盛り上げ、大阪で日本料理を目指す若い料理人を育てたいと、夢を明かす。
そんな片山さんが店をオープンさせてから初めて迎える正月。新年を祝う１月の新春コースに初めて取り組む片山さんの姿に密着した。