名店ひしめく京都の祇園に、注目の若手料理人が活躍する一風変わった割烹料理店「祇園 楽味」がある。２代目料理長として腕を振るうのは水野隆弘さん。店内に品書きはなく、カウンターに並んだ食材をお客さんが選び、それぞれの好みに応じた調理をするフルオーダーシステムが特徴だ。今回は、２代目料理長として日々、精進する水野さんに密着。新年を迎え、新たな食材で挑む新作レシピ作りに追った。

２０１３年、祇園の片隅に新たな割烹居酒屋「祇園 楽味」がオープン。店を主宰するのは、京都の名店としてその名を轟かせる割烹「祇園 さゝ木」のカリスマ料理人、佐々木浩さん。昨年５月に初代料理長が独立したため、佐々木さんが弟子の水野さんを抜擢した。「楽味」には決まった献立がなく、お客さんが多種多彩な旬の食材の中から好みの素材を選び、調理法を選ぶ一期一会のオーダーメイドシステム。水野さんがお客さんとの対話の中から料理のアレンジを提案し、提供する。

祇園での生き残りを賭け、日々、精進する水野さんの１日は、京都中央卸売市場からスタート。自らが目利きし、旬の食材を仕入れたあとは、漬物屋や乾物屋、肉屋など、その日の状況で見て回る。仕入れの後は、市場内にあるうどん屋さんで師匠の佐々木さんと会い、大事なミーティングをするのが日課。その後は店で予約客のリストを確認し、店でのミーティングを終えて、開店を迎える。

岐阜県に生まれ育ち、料理人を目指していた水野さんは、高校卒業後に調理の専門学校へ。当初はフランス料理のシェフを目指していたが、「料理の鉄人」に出演していた和の鉄人、中村孝明に憧れ、和食の道に進む。「さゝ木」では１３年もの間、佐々木さんのもとで働き、修行を積んできた。現在は名店の料理長を任され、日々、勉強中。休みの日は骨董屋巡りをし、料理の演出に欠かせない器を吟味。様々なジャンルの料理も食べ歩き、インスピレーションを得ている。

「楽味」の料理長として新たな年を迎えた水野さん。新たな素材と調理法で水野流の新メニュー作りに挑んだ。素材探しから始まり、試作を重ね、調理法を考案。師匠の佐々木さんにお披露目するまでを追った！