京都の人気観光スポット、哲学の道近くの住宅街に佇む「ジェルメ」は、窓辺に美味しそうなパンが並ぶお店。フランスで修行した店主の岡本幸一さんが奥さんと２人で切り盛りしている。店内にはカウンター席とテーブル席が。実はこの「ジェルメ」、昼間は普通のパン屋だが、夜はパンと料理、お酒を楽しむ“パン屋バー”になるのだ。岡本さんはパン作りはもちろん料理、デザートまですべてを１人でこなしている。

料理に興味があった岡本さんは高校卒業後、専門学校を経てパティシエとして働き始めた。その後、修行のためフランスへ。パティスリーやレストランで働き、料理の手伝いなどをしているうち、パンの奥深い魅力を知り、「パン、それに合う料理を提案するお店をしたい」と、帰国後、２０１２年に「ジェルメ」をオープンした。
そんな岡本さんが作るパンは、食事に合わせるためのものが主流。バゲットやクロワッサンなど、味付けはどれも薄め。また購入した翌日でもおいしく食べてもらいたいと、早朝から作るのではなく、店の開店時間は１２時に設定しているこだわりようだ。売る際にも何と食べるか、何と合わせるかをお客と話すことで、岡本さんの考えるベストマッチを提案するようにしている。

お店だけでなく、イベントも開催するなど忙しい日々を送る岡本さん。
この夏はヨーロッパ原産のスペルト小麦を使った新しいパンを作ることに。生産者でもある滋賀県の小麦農家「大地堂」の小麦畑を初めて訪れた岡本さん。力強く育つ姿を目にし、その様子をお客さんに伝えたいと意気込む。
そんな岡本さんが新作を作り上げるまでを追った！