レースは2〜4点の僅差でめまぐるしくトップが入れ替わるという、白熱のデッドヒートを展開した。その結果、山内の二重人格的キャラが冴えるコント「ホームルーム」で沸かせた「かまいたち」が458点を獲得。「さらば青春の光」の猛追を4点差で振り切り、"若手芸人統一王座決定戦"を制した。2人には、従来の100万円から大幅にアップした、優勝賞金300万円が贈られる。優勝決定の瞬間、2人は感情を爆発させ、目には涙も。優勝コメントを求められると、濱家は感激で何も言えず…。
「かまいたち」は、島根県出身の山内健司(1981年1月17日生まれ)と、大阪府出身の濱家隆一(1983年11月6日生まれ)が、2004年5月にコンビを結成。
受賞直後の会見では、濱家が「オンエアでは一つも面白いことを言えずにただ泣いてしまったんですけど、ほんとに伸び悩んでましたので本当に嬉しかったです」と言えば、山内は「ここ4〜5年、記者の皆さんが思っている以上に伸び悩んでましたんで、これをキッカケにさせていただいて、ここからもう1回頑張らせていただきたいなと思ってます」と受賞の喜びを語った。また、大幅にリニューアルされた今大会への挑戦については、「参加する組数も増えましたし、優勝するのはすごい難しいやろなと思ってたんですけど。僕らも出られるとなってから、もう優勝するしかないとそれだけ思ってやってきました。組数が増えたことによって優勝した凄みは増えたなと思ってます」(濱家)、「全国に門戸を開かれたということで、東京のメチャ面白い芸人さんも沢山参加されて、凄いハイレベルな戦いになったと思います」(山内)。
実は、彼らは2007年の「第28回ABCお笑い新人グランプリ」で最優秀新人賞を獲得している。しかし、前出のようにそこからスランプを感じていたとか。「前回は結成2年目かなんかやったんで、分からんうちにパッパッと優勝できた感じがあったんですけど。そこから同期がメジャーになったり、僕らの劇場の中のコンビが売れたりとか…。僕らだけ特に何もなく、恩返しもできないまま過ごしてしまったんで。ほんとにこの1回にかけて、絶対に優勝しようという気持ちでやったんで、前回よりは凄い感慨深いもんはあります」(濱家)、「前の優勝は早かったというか、その難しさとか知る前に、偶然優勝させてもらった感がありました。その時は、中国人キャラのネタで。でも、あの時は本当にあのネタしかもってなくて、他に何もない状態でした。あれから何にも賞レースで結果が出せなくて…。難しさを知ってここで優勝できたので凄い嬉しいです。そこからネタも沢山作って、今は『他に見せて』と言われても大丈夫なので、胸を張って優勝できたなと思ってます。」(山内)と、互いに今回の優勝の嬉しさはひとしおのようだ。
今回のネタ選びについては、1回戦から手直しを加えつつ、優勝時のネタ「ホームルーム」でずっと挑んできた。「準決勝はちょっとテンポが速かったかなとかあったんですけど、今日に関して言えば、一言目で痰が絡んでドキッとしたのはあったんですが、自分たちのいい間でできました」と話す濱家だが、「もう一つ候補のネタがあって、僕はそっちかなぁと思ってたんですけど、うちのリーダー(山内)が絶対こっちと。僕はずっと引っ張ってもらってるので、このネタになりました」。しかし、山内曰く「準決勝前にもう1本のネタとかなり悩んで。(濱家も)納得してやってくれたんですけど、昨日の23時ぐらいに相方から電話がかかってきて『もう1個のネタの方が…』みたいなことを言われたんで、『まだ言うてんの。』と。このネタの良さをイチから相方に伝えて電話を切りました」と笑わせた。
300万円の賞金の使い道については、濱家が「前回は50万円の中から30万円を母親にあげたんですけど、今回は100万円をあげて、残りの50万円は先輩に借金を返した後、残りの金で後輩とパッと飲み食いしたいと思います。ただ、僕28歳なんですけども最近痛風になりましたので、僕は飲み食いというより、お茶だけ飲みます。あとは後輩に、お寿司なり焼肉なりを食べてもらいたいと思います。」と言えば、山内は「前回、濱家君より1万円多く母親にあげたんですけど、今回100万円と言ってるので、それはちょっと厳しいなと。今レギュラーで出演させていただいてる『わっしょい!5up』の演出の方に、『優勝したら、僕100万円を競馬とかで転がす企画やりますよ』と言ってたんですけど、いざ獲ると、果たしてそれでいいのか?という思いが強くなっておりまして。あと、5upよしもとで毎月やってる単独ライブでお客さんにも約束したので、2月公演ですごい豪華なコントをして使わせていただきたいと思います」と語った。
最後に、今後の仕事に関する希望をたずねられると、山内がすかさず「2時間以上のロケ禁止!」。この上から目線発言に相方の濱家は「贅沢なこと言うな!」と一喝し、「何時間でもしますので、よろしくお願いします。ペットボトルのお茶だけ用意していただいたら、どんな仕事でもやります」と平謝りし…。そんな彼らの新たな目標は、「痛風を治して(笑)。コントで優勝させていただいたので、コントの全国大会で優勝したいですね」(濱家)、「別の大会でもいい結果を出して、ABCのチャンピオンは凄いなと言われるように、頑張りたいと思ってます」と意気込みを語った。
決勝戦得点結果 | 予選突破順位 | ||||
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かまいたち | 458点 | 予選2位 | |||
さらば青春の光 | 454点 | 予選1位 | |||
ソーセージ | 453点 | 予選3位 | |||
三日月マンハッタン | 443点 | 予選5位 | |||
藤崎マーケット | 441点 | 予選8位 | |||
学天即 | 440点 | 予選4位 | |||
ジグザグジギー | 439点 | 予選7位 | |||
ジャルジャル | 439点 | 予選6位 | |||
プラスマイナス | 435点 | 予選10位 | |||
パップコーン | 417点 | 予選9位 |
1980年に朝日放送創立30周年を記念してはじまった関西お笑い界の新人賞コンテスト「ABCお笑い新人グランプリ」。
歴代の受賞者にはダウンタウン、ナインティナイン、ますだおかだ、フットボールアワー、キングコング等、今を時めく芸人たちが名を連ねています。
漫才・コントは結成5年未満、落語家は10年未満の芸人が対象の登竜門的お笑いコンテストでしたが、2012年、その内容をリニューアル!
デビュー10年以内の日本全国のプロがしのぎを削る闘いを繰り広げます。