月〜金曜日 21時54分〜22時00分


平安・室町時代ゾーン 

 桓武天皇の時、都は平城京から長岡京を経て京都・平安京へと遷った。ここから 平安時代が始まり、勢力を強大にした藤原氏を中心に華やかな貴族文化、王朝文化が 栄えた。仏教も盛んになり京都に大寺院が建立され、和歌や源氏物語、伊勢物語など の文学も華開き、名作が今日に伝えられた。
 武家の台頭により政治の中心は朝廷から武家に移り、鎌倉時代を経て室町時代に入 り、舞台は再び京に戻った。金閣寺を中心にした北山文化、銀閣寺を中心にした東山 文化に代表されるのが室町文化。
 平安から室町時代にかけ、政治的には兵乱が絶えない不安定な時代だったが、文化 的には日本文化の基礎が築かれた時代で、現代文化の多くはこの時代に育まれた。


 
吉田神社  放送 3月20日(月)
吉田神社本殿 京都大学の東、標高約100mの吉田山の西側山麓にあるのが吉田神社。貞観元 年(859)中納言藤原山蔭が祖神である奈良・春日大社の四神を勧請し、平安京の 鎮守神として祭ったのが起こり。境内には春日造りの本殿をはじめ舞殿、直会殿や摂 社、末社などが建ち並んでいる。創建当時から天皇の信仰の篤い神社だった。
(写真は 吉田神社本殿)

吉田神社斎場所大元宮 文明年間(1469〜1487)に神職の吉田兼倶が吉田神道を創設した。その 根本道場が末社のひとつ斎場所大元宮。朱塗りの本殿は八角形の建物で、その後ろに 六角形の祈とう所がある風変わりな様式。こらら特殊な形体はすべて吉田神道の原理 に由来したものと言い、国の重要文化財。毎年、節分には厄除け祈願が行われ、吉田 詣(もうで)と言われ、多くの参詣者でにぎわう。
(写真は 吉田神社斎場所大元宮)


 
泉涌寺(せんにゅうじ)  放送 3月21日(火)
泉涌寺仏殿(江戸時代1668年、重文) 泉涌寺は別名「御寺(みてら)」とも呼ばれている。天長年間(824〜834)に空海がこの地に草庵を結んだのが起こりで、法輪寺と名付けられ、後に仙遊寺 と改められたこともある。一時、荒廃していた寺を中国・宋から帰国した月輪大師が 建保6年(1218)に再興した。諸堂の落成のとき、境内から泉が湧き出たので泉 涌寺と改められた。この泉は今も清らかな水が湧き出ている。
 徳川家綱によって再建された重層入母屋造りで国の重要文化財の仏殿は唐様建築の 代表作と言う。
(写真は 泉涌寺仏殿(江戸時代1668年、重文))

楊貴妃観音 楊貴妃観音堂の楊貴妃観音座像は、玄宗皇帝が亡き妃の冥福を祈って彫らせた像 と言われ、宋から日本へ持ってこられた宋様式寄木造の等身像。美人の代表と言われ る楊貴妃像だけに人の心をとらえて離さない。
 仁治3年(1242)、四条天皇が泉涌寺に埋葬されてから歴代の天皇、皇后、親王がこの寺に葬られることが多くなり、皇室の香華院として信仰を集めた。ここから 「御寺」の呼び名が生まれた。境内奥に四条天皇ら12人の天皇の月輪十二陵、後光 厳天皇ら3人の天皇の泉涌寺陵、光格天皇ら2人の天皇の後月輪陵、孝明天皇の後月 輪東山陵、英照皇太后の後月輪東山東北陵などがある。
(写真は 楊貴妃観音)


 
西陣織  放送 3月22日(水)
西陣織を織る様子 京都を代表する織物が西陣織。京都市上京区の堀川以西、一条通以北一帯を西陣 と言い織物業者が集中している。西陣には最盛期の江戸時代のような繁栄ぶりはない が、今も「ガチャン、ガチャン」と織機の音が聞こえてくる。
 西陣は室町時代中ごろの応仁の乱の時、西軍の山名宗全がこの地に陣を置いて戦 い、西陣と称したのがそのままこの地一帯の呼び名になった。ここで織られる織物が 西陣織と呼ばれ、高級織物の代表になった。戦後、洋服の普及で西陣織は斜陽化した が、ネクタイ、ショール、和装小物などの材料やインテリア用品などに活路を求め、 伝統産業を守り続ける努力を重ねている。
(写真は 西陣織を織る様子)

西陣織の紋紙 5、6世紀ごろ大陸から渡来した秦氏の一族が山城の国に住み、養蚕と絹織物の 技術を伝えたのが西陣織の始まり。平安時代、織部司(おりべのつかさ)を置き、高 級織物の生産を国の管理下に置いた。織物の職人たちも現在の西陣周辺に集まり“織部町”を形成した。
 前もって染めた糸を横糸に使って、色柄や模様を織り出す紋織の技術を確立し、高 級絹織物の西陣織の基礎が築かれた。何千本もの縦糸を複雑に上下させ、様々な色の 横糸を1本、1本通して織り上げる西陣織には、複雑な工程と職人の高い技術力が必 要とされる。
 西陣織会館では、西陣織のすべてがわかる総合展示場や手機を使った西陣織の実演 などが行われている。着物や帯、ハンドバック、ネクタイ、財布など西陣織の展示即 売もされている。
(写真は 西陣織の紋紙)


 
仏の声・梵鐘  放送 3月23日(木)
岩澤製の梵鐘 平家物語の有名な一節に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とあるよう に、梵鐘は寺院とは切っても切れないものとされている。梵鐘の各部分は仏の体の各 部と対比され、その音は仏の声と言われている。人間の煩悩を取り除く除夜の百八つ の鐘も、鐘の功徳を現したものだ。
 奈良時代の鋳造で日本最古と言われる国宝の妙心寺の鐘は、その音色が黄鐘調(おうしきちょう)として知られ、名鐘とされている。ほかに近畿では奈良の東大寺、興福寺。平安時代には京都の神護寺、平等院、奈良・五條の栄山寺の鐘が国宝に指定され、名鐘として知られている。
(写真は 岩澤製の梵鐘)

岩澤製梵鐘の龍頭 寺院の多い京都で梵鐘を作り続けている岩澤の梵鐘株式会社がある。日本 はもとよりインド、中国、アメリカなどの寺院の梵鐘を作ってきた。国宝の妙心寺の 鐘が保存のため収蔵されるのに伴い、この鐘のレプリカ製造を引き受け、音、デザインとも本物の名鐘に匹敵する梵鐘を作りあげた。
 梵鐘は銅と錫の合金の青銅によって作られる。銅と錫の混合の比率や形、厚みなど によって鐘の音が微妙に変わり、これが梵鐘の良否を決定する。そこは鐘を作り続け た匠の長年の経験と勘がものを言う。真っ赤に溶けた青銅を梵鐘の形に鋳込むとき が、最も緊張するときでもある。
(写真は岩澤製梵鐘の龍頭)


 
京都文化博物館  放送 3月24日(金)
旧日本銀行京都支店(1906年、重文)現京都文化博物館 京都文化博物館は平安建都1200年事業のひとつとして、昭和63年(1988)にオープンした。平安時代から現代までの京都の歴史と文化をわかりやすく紹介 する総合文化施設として、多くの人たちに親しまれている。人形や模型、映像などで 京都の歴史や文化を紹介したり、京都で活躍している美術、工芸作家の作品を展示し ている。
 京都は日本映画発祥の地であり、多くの名作を生んできた。映像ホールでは日本の映画史や映画監督などを理解できるような映画を上映している。上映する映画にあわせて 映画機材、スチール写真、ポスターなどの展示もする。
(写真は 旧日本銀行京都支店(1906年、重文)現京都文化博物館)

旧日本銀行京都支店内部 鉄筋七階建ての本館の南にある煉瓦造りの2階建て別館は、明治39年(1906)に建てられた旧日本銀行京都支店の建物。京都に残る明治の洋風建築として貴 重な存在で、国の重要文化財に指定されている。内部の旧営業室は、2階まで吹き抜 けで大きな空間を作っている。カウンターのスクリーンや壁面や天井の装飾、照明器 具などが、明治時代の雰囲気を今に伝えている。館内には埴輪、瓦類などの古代史関 係の遺物が展示されている。
 ユニークなのは本館1階の露地店舗。江戸時代末の京都の町並みを復元し、京料 理、うどんなどの食事、喫茶や京都の伝統工芸品などを販売しており、京情緒にひた りながらのショッピングが楽しめる。
(写真は 旧日本銀行京都支店内部)


     
◇あ    し◇
 吉田神社 
     
京阪出町柳駅下車徒歩15分。
市バス東一条下車徒歩5分。
 泉涌寺 
     
JR、京阪東福寺駅下車徒歩15分。
市バス泉涌寺道下車徒歩10分。 
 西陣織会館 
   
地下鉄今出川下車徒歩10分。
市バス堀川今出川下車徒歩3分。
 岩澤の梵鐘株式会社    市バス梅津段町下車徒歩3分。
 京都文化博物館    地下鉄御池下車徒歩3分。
◇問い合わせ先◇
吉田神社 075−771−3788 
 泉涌寺 075−561−1551
 西陣織工業組合 075−432−6131
岩澤の梵鐘株式会社 075−871−1001
 京都文化博物館 075−222−0888

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

@・・・ひょうごシンボルルート   
A・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
B・・・越前戦国ルート              
C・・・近江戦国ルート              
D・・・お伊勢まいりルート         
E・・・修験者秘境ルート           
F・・・高野・熊野詣ルート         
G・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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