月〜金曜日 21時48分〜21時54分


京都・油小路通 

 京都市内で南北に一番長い通りが油小路通。平安京の都が建設されるときに左京地域に生まれた通りで、京都市内最大級の幹線道路の堀川通のすぐ東側を並行して走っている。
北は北区の上賀茂橋近くの竹殿南通から南は伏見区の近鉄上鳥羽口駅近くの府道中山稲荷線までの約9.2km。途中、現在の大通りに吸収されて油小路の面影がなくなってしまっている所もあるが、昔のままの道幅数メートルの油小路通の両側には仏具商や染物商、15代楽焼家元・楽吉右衛門邸などや社寺、商家が軒を連ね、京都ならではの景観を残している。今回はこの油小路通を点描してみた。


 
明王院  放送 4月30日(月)
油小路通 JR京都駅のすぐそばの油小路通にある明王院は、誰も目にしたことがない弘法大師作の石の不動明王像があると伝えられている。
 弘仁14年(823)東寺を賜った弘法大師は、東寺の鬼門にあたるこの地で発見した霊石に不動明王を刻み、石棺に納めて深い井戸に安置した。
(写真は 油小路通)

不動明王像(御前立ち) 70年後に宇多上皇がこの地に離宮を建てたが、勅命で井戸を封じ何人も井戸の中をうかがうことを許さず、ここに不動堂を建てこの霊石不動明王を篤く崇敬した。
 室町時代の応仁の乱の兵火でこの離宮は消失したが、井戸の中の不動明王はそのままで、信者らによって不動堂が再建された。現在の本堂は江戸時代中期の明和元年(1764)に建築されたもので、本堂に安置されている不動明王像は井戸の霊石不動明王の御前立で、弘法大師が彫ったものと伝えられている。
(写真は 不動明王像(御前立ち))


 
油小路の油屋さん  放送 5月1日(火)
西田商店 油小路通は平安京の町作りの時に生まれた通りだが、命名の由来は定かでなく、特に油屋が多かったわけでもなさそうだ。その油小路通に油屋さんが1軒ある。JR京都駅からすぐの油小路通に創業が江戸時代末で160年続いている西田商店。玄関上の街灯風の油屋の看板も明治、大正時代をほうふつとさせるようなレトロ調だ。
(写真は 西田商店)

展示のカメ 店内の土間の地下にはしぼった油を貯蔵するカメが残っているが今は使っていない。
以前は10個ほどあったが、下水工事や家の改造などで掘り出し今は3個だけ。
 蔵を改造した展示室には、地下から掘り出したカメのほかツボなど油の容器類、油絞り機、照明用器具など、油屋に関する道具類や資料が展示されており、店を訪れた人たちに無料で公開している。
 現在、食用油を中心に卸と小売りをしている。今は食用油も新しく開発された商品がスーパーや食料品店に並ぶようになり、老舗の油屋の商売も大変なようだ。
(写真は 展示のカメ)


 
風俗博物館  放送 5月2日(水)
源氏物語・明石の女御の出産 西本願寺の北東の油小路通の法衣店・井筒ビル5階が風俗博物館。その名の通り古代から現代まで2000年にわたる日本人の衣装を集めている。風俗研究に取り組んでいた井筒法衣店の8代目・井筒雅風さんが研究の成果を一堂に集めて博物館に仕立て上げた。
「各時代の文化や生活状態を知るには衣服が大きなウエイトを占める」と博物館長でもある井筒雅風さんは言う。
 すべての衣装は各時代の有名人の顔をした等身大の人形に着せられているので、親しみをもって見学できる。また、顔、髪形などすべてに時代考証がなされており、着物の着付け教室の先生や映画関係者らが訪れているのは、資料としての価値が認められている証拠と言える。
(写真は 源氏物語・明石の女御の出産)

光源氏 平成13年5月現在のメイン展示は「源氏物語・六條院の生活」。光源氏35歳の時の大邸宅「六條院・春の御殿」を4分の1の模型で再現している。六條院は実際にあった建物ではなく、源氏物語の作者・紫式部がイメージしたフィクションの建物をリアリティに復元している。
 源氏物語に出てくる光源氏や紫上などの人形が、精巧に復元された御殿の中で平安王朝絵巻を描き出している。「明石の女御の出産」を人形を使って描き出している。きらびやかな宮廷生活の中にあっても、出産は当時の女性にとっては生死を分かつもので、その模様を人形を使って教えている。
 博物館にはすぐそばの西本願寺にお参りして人々や修学旅行生、日本の風俗に興味を持った外国人らが訪れ、興味深そうに見学している。
(写真は 光源氏)


 
癒しの店  放送 5月3日(木)
MOMOの手ぬぐい 京都市内で一番長い油小路通には、いろいろな業種の会社や商店がある。仏具店や染物店、呉服店など京都らしい店のほかに料理店、雑貨店などが並んでいる。そんな中で最近は「アレッ?」と思うような新趣向の店が目につくようになった。楽焼家元・楽吉右衛門邸や楽美術館近くの一条通が交差する油小路通周辺で新しい店を見つけた。
 そのひとつは、色とりどりの手ぬぐいが店いっぱいに並んでいる手ぬぐい屋さんの「MOMO」。タオルが主流を占めるようになり、実用面から遠ざかってしまった日本手ぬぐいに着目して昨年8月に開店した。店名のMOMOは染めた手ぬぐいの表からも裏からも読めるのがミソ。手ぬぐいそのものも売っているが、いろいろなデザインに染めた手ぬぐいを材料に使って作った創作小物を売るのが主眼。お客さんと一緒になって創作することもあり、お客さんからヒントをもらうこともある。手ぬぐい好きの人たちが集まり、新しいアイデアをあれこれ話し合う。遠くは東京からやって来る人もいると言う。
(写真は MOMOの手ぬぐい)

横山竹材店の竹細工 こちらは竹を材料にした竹細工品を並べていている横山竹材店。大きなものは農作業などに使う竹かごから竹製の熊手のほかに竹を使った小物が店いっぱいに並んでいる。室内にアクセントをつけるインテリア用品として買って行く人もいる。大きな竹かごなどは最近ほとんど見かけることがなくなったので、近郷から来た人が「こんなところに竹かごを売っている」と言って買って帰ることが多い。この店は、竹垣など建築用の竹材を商うのが本業。この竹に付加価値をつけて売ってみようと3年前から竹細工の店を開いた。
 もうひとつは、京家を活用した食事・甘味処「ShiじMa」。店名は静寂を表す「しじま」から。2年前に京家の住宅を改造して始めた店で、京家の庭を眺めながら食事と喫茶が楽しめる。午前11時から午後3時までは和食の昼食。午後3時から6時まではティータイムでコーヒーなどのほかにあんみつなどの甘いものが楽しめ、夜の6時からは予約による和食料理。
 油小路通だけでなく京都市内には京都の古い町家や町並みを壊さずに、新しいアイデアの商売を始める店が目につき、こうした新趣向の店を探すのも京の新探訪になるかもしれない。
(写真は 横山竹材店の竹細工)


 
白峯神宮  放送 5月4日(金)
白峯神宮 油小路通と今出川通が交わる交差点の北西にあるのが白峯神宮。保元の乱(1156)で敗れ、讃岐国に流されて没した崇徳天皇を慰霊するため南北朝時代の北朝の光明天皇が神社を造営、明治天皇がその遺志を継いで明治元年(1868)讃岐国白峯陵に祭られていた崇徳天皇の神霊を迎えて祭ったのが白峰神宮の始まり。
 さらに奈良時代に僧・道鏡と藤原仲麻呂が争った恵美押勝の乱に加わり、皇位を廃され淡路に流されて没した淳仁天皇を明治6年(1873)に合わせて祭った。同神宮所蔵の崇徳上皇の肖像画は国の重要文化財。
(写真は 白峯神宮)

絵馬と御守り 白峰神宮は古くから蹴鞠(けまり)や和歌の宗家として知られていた旧飛鳥井家の邸宅跡に建立された。境内にある鞠精(まりのせい)大明神は飛鳥井家の旧鎮守社で蹴鞠道の神として崇敬されていた。鞠を蹴ることが縁で、Jリーグやアマチュアサッカーチームの選手たちがこの神社に必勝祈願をしている。Jリーグのラモスやアルシンドら外国人選手も参拝しており、サッカー必勝のお守りも並べられ、時代とともに神社の様相も変わってきている。
(写真は 絵馬と御守り)


◇あ    し◇
明王院JR京都駅下車徒歩3分。 
油屋・西川商店JR京都駅下車徒歩5分。 
風俗博物館JR京都駅下車徒歩15分。 
京都市バス西本願寺前下車徒歩3分。
てぬぐい屋・MOMO、横山竹材店 京都市バス堀川下長者町下車徒歩3分。
京やのお昼・甘味処・ShiじMa 京都市バス堀川中立売下車徒歩3分。
白峯神宮京都市バス堀川今出川下車1分。 
◇問い合わせ先◇
京都市観光協会075−752−0225 
明王院075−371−6583 
油屋・西川商店075−343−0733 
風俗博物館075−342−5345 
てぬぐい屋・MOMO075−432−2421 
横山竹材店075−441−3981 
京やのお昼甘味処・ShiじMa 075−415−0736
白峯神宮075−441−3810 

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

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     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

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