月〜金曜日 18時54分〜19時00分


歴史街道メインルート 神戸 

 歴史街道メインルートシリーズ最終の第9週は、奈良時代から大輪田泊として瀬戸内海の重要な港の役目を果たし、その後、平清盛の日宋貿易の拠点となり、幕末、開港した神戸港とともに発展してきた国際都市・神戸を訪ね、歴史街道メインルートの旅を終える。


 
メリケンパーク  放送 6月3日(月)
 幕末の安政5年(1858)欧米5カ国と結んだ修好通商条約によって、慶応3年、神戸港が開港した。メリケンパークはその開港120周年を記念して、メリPン波止場と中央突堤の間を埋め立てて作られた公園。メリケン波止場は神戸開港後の明治元年(1868)に政府が作った波止場で、波止場近くにアメリカ領事館があったのでメリケン波止場と呼ばれるようになった。
 その南端にあるメリケンシアターのモニュメントは、明治20年(1887)神戸で活動写真、つまり映画が本邦初公開されたのを記念したもので、フィルムの一コマをイメージさせている。

神戸海洋博物館

(写真は 神戸海洋博物館)

神戸港震災メモリアルパーク

 メリケンパーク内の神戸海洋博物館は、昭和62年(1987)神戸開港120周年を記念して開館した「海・港・船」に関する総合博物館。船の帆と波をシンボル化した建物の外観が印象的で、館内には神戸開港を祝うため神戸港に集まった外国艦船18隻のうちの英国艦船の旗艦「ロドニー号」の模型や菱垣廻船の模型など海・港・船の資料がいっぱい。
 神戸港震災メモリアルパークは阪神淡路大震災の被害を受けたメリケン波止場の一部をそのまま保存し、神戸港の被災状況、復興の過程を中心に大震災の教訓を後世に伝えるために作られた。中突堤にある高さ108mのポートタワーは、昭和38年(1963)に建設された鼓の形をしたパイプ構造の塔で、神戸港の象徴でもある。

(写真は 神戸港震災メモリアルパーク)


 
南京町のいまむかし  放送 6月4日(火)
 元町通の南に広がる東西300m、南北110mの南京町は、中華料理店、食材、雑貨、中国茶専門店などがひしめき合うように並び、毎日、買い物客でにぎわう神戸の大人気スポットのひとつである。
 南京町の誕生は、明治元年(1868)と言われている。この時やって来た11人の華僑が神戸華僑のルーツと言われ、この人たちが元町の南側に住み、現在の南京町へと発展した。明治11年(1878)には神戸に清国領事館が設置されて、貿易業などの中国人が増えるとともに一大中華街へと発展していった。最盛期の昭和初めごろには世界各国の珍品がそろい「南京町に行けば何でもある」と言われ、全国各地から買い物客が押しかけてにぎわった。第2次世界大戦の空襲で大打撃を受けたが、たくましいエネルギーで復興が順調に進み、戦前をしのぐにわいを見せる町に復興した。

天府茗茶(天仁茗茶2号店)

(写真は 天府茗茶(天仁茗茶2号店))

神戸華僑が持ちこんだ石油ランプ(神戸華僑博物館)

 阪神淡路大震災でも被害を受けたがすぐに復興し、長安門をくぐって南京町に入ると異国の香りと熱気があふれ南京町によみがえった。烏龍茶、鉄観茶、ジャスミン茶などの中国茶を扱っている「天仁茗茶」では、中国茶をおいしく飲むために茶の入れ方から教えてくれ、茶器セットも売っている。旧正月の春節祭は冬の南京町の名物で、ダイナミックな龍の踊りが繰り広げられ大勢の見物客でにぎわう。
 南京町の近くの神戸中華総商会ビル2階にある神戸華僑歴史博物館は、華僑の歴史を語る品々が展示されている。海産物や珍しい物産と一緒に神戸に石油ランプを持ち込んだのも華僑たちだった。華僑の子孫たちは「このランプが神戸に黎明の灯をともした」と誇らしく語っている。

(写真は 神戸華僑が持ちこんだ石油ランプ(神戸華僑博物館))


 
布引の里  放送 6月5日(水)
 JR新幹線・新神戸駅の裏山の登山道を登って行くと、初めに雌滝(めんだき)そして、鼓ヶ滝(つづみがたき)、夫婦滝(めおとだき)、雄滝(おんだき)と4つの滝が約300mの間に点在したいる。「岩面を流れ落つること白布をさらすに似たり」と摂津名所図会に記されているように、連続した滝の流れが、白布をさらしているように見えたことから「布引の滝」と呼ばれるようになった。
 この滝は「伊勢物語」や「栄花物語」のほか、多くの紀行文や詩歌で紹介されており、古くから名瀑として貴人や歌人、武将らをはじめ多くの人びとが訪れた。道筋には藤原定家らの歌碑18基が建っている。最近は布引の滝の上にある布引ハーブ園を徒歩で訪れる人、ハイキングを楽しむ市民らの憩いの場になっている。

布引の滝

(写真は 布引の滝)

布引ハーブ園

 布引の滝を過ぎ、さらに登っていくと160種、7万5000株のハーブや季節の花が植えられている布引ハーブ園がある。香りの庭園では各種のハーブが訪れた人たちに香りを提供、香りの資料館とも言える森のホールでは、天然香料を体験したり、香料抽出道具や香水瓶展示など香りに関する知識が得られる。中世ヨーロッパの古城をイメージした展望レストランでは、神戸の市街地や海を眺めながらハーブスパイスのきいた料理やハーブティーが楽しめる。
 布引ハーブ園は神戸市制100周年記念事業の一環として、平成3年(1991)にオープンした。人びとの心を穏やかにしてくれるハーブに囲まれ、心と体をリフレッシュしてもらうのがハーブ園の願い。北野異人街を訪れた人たちやハイキングがてらに訪れる市民、六甲山縦走の登山の帰途に立ち寄る人たちなどでにぎわい、ハーブの香りと眺望を楽しんでいる。

(写真は 布引ハーブ園)


 
北野異人館街  放送 6月6日(木)
 阪神淡路大震災で大きな被害を受けた北野町の異人館街も今はすっかりその傷跡も消え、女性に人気の高い異人館街の通りは、華やいだにぎわいを見せている。
 幕末の慶応3年神戸港が開港して、神戸へやって来たアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、オランダの外国人たちは、日本政府が指定した居留地(現・神戸市役所西側一帯)に住んでいた。明治20年(1887)以降、経済的に安定してきた外国人たちは、住居を見晴らしのよい山手方面へ移すようになり、北野町一帯が住宅地として開発され、専用住宅を建築した。北野町に残っている異人館は明治20年から大正初めにかけて建てられたもので、当時は100棟以上あったが、太平洋戦争の戦火や老朽化、都市計画などによって姿を消し、現在では20数棟になってしまった。

風見鶏の家

(写真は 風見鶏の家)

うろこの家

 現在残っている異人館で公開されているのは「風見鶏の館」「うろこの家」を代表格に約20棟。「風見鶏の館」は、尖塔上の風見鶏と赤レンガの外壁が北野町異人館街のシンボルとなっている。建物の随所にアール・ヌーヴォーの影響を受けたデザインや装飾品が目につく。「うろこの家」は壁面の約3000枚の天然石スレートが、魚のうろこのように見えるところからこの名がついた。館内には重厚なアンティーク家具や調度品、西洋の名磁器などが置かれている。
 ユニオンジャックがひるがえる英国館の館内の調度品などは19世紀初期のものばかり。
洋館長屋(フランス館)は旧居留地から移築され、外国人のアパートとして利用された。
日本の長屋に似ていたので洋館長屋と呼ばれ、内部にはアンティークな家具などが展示されている。ハイカラな雰囲気の北野町だが、その地名は平清盛が京都の北野天満宮を勧進したことに由来する。

(写真は うろこの家)


 
有馬ひとめぐり  放送 6月7日(金)
 太閤秀吉もお気に入りだったと言う日本最古の名湯・有馬温泉にまた新しい名物「有馬ループバス」が誕生した。赤と黄色、ツートンカラーも鮮やかなボンネットバスは、有馬温泉観光総合案内所から出発、湯けむりの温泉街の名所を巡りながら周縁部5.5kmを25分で一周する。
 有馬温泉でひと風呂浴びた後、レトロなボンネットバスで狭い坂道を縫うようにトコトコと走るると、また違った趣の温泉地の風景に接し、ノスタルジックな旅情がかきたてられる。

有馬ループバス

(写真は 有馬ループバス)

天神泉源(金泉)

 有馬温泉の歴史は古い。飛鳥時代に舒明天皇が有馬温泉に行幸したと日本書紀に記されている。その後、温泉は一時すたれたが、奈良時代に僧・行基によって再興された。鎌倉時代には僧・仁西が温泉再興に力を貸し、12の宿坊を建設、現在も有馬温泉に「坊」と呼ばれる旅館名が多いのは、仁西の宿坊の名残と言える。秀吉も有馬温泉がお気に入りで、9回も有馬温泉を訪れ千利休らをと茶会を開いたり花見を楽しんでいる 舒明天皇、孝徳天皇の有馬温泉行幸の時の有馬行宮の守護神とされた有馬稲荷神社はコブシの花の名所で、参道からは摂津、播磨、丹波の山並みが一望できる。ほかに行基が創建したと伝えられる温泉寺、秀吉が茶会で使った茶道具が伝わる善福寺、秀吉の湯殿や庭園遺構、茶器などが見つかった極楽寺などの古刹もある。太閤の湯殿館には、極楽寺から出土した湯ぶねの遺構や瓦、茶器などが展示されており、温泉好きの太閤さんのお風呂や茶道具を見るのも風呂あがりの一興と言える。また、炭酸泉を利用して作られた有馬温泉名物の炭酸せんべいを味わうのもよい。

(写真は 天神泉源(金泉))


◇あ    し◇
メリケンパーク、神戸海洋博物館、ポートタワー JR、阪神電鉄元町駅、神戸高速鉄道花隈駅下車徒歩10分。 
南京町 JR、阪神電鉄元町駅下車徒歩5分。 
神戸華僑歴史博物館 JR、阪神電鉄元町駅下車徒歩8分。 
布引の滝 JR、阪急電鉄、阪神電鉄三宮駅から地下鉄新神戸駅下車徒歩10分。 
布引ハーブ園 JR、阪急電鉄、阪神電鉄三宮駅から地下鉄新神戸駅下車、新神戸ロープウエイ布引ハーブ園駅下車徒歩10分。 
北野異人館街 JR、阪急電鉄、阪神電鉄三宮駅からシティーループバス北野異人館下車。
JR、阪急電鉄、阪神電鉄三宮駅、JR新幹線新神戸駅下車徒歩15分。
有馬温泉 神戸電鉄有馬温泉駅下車。 
◇問い合わせ先◇
神戸市総合インフォメーションセンター 078−322−0220 
神戸市役所観光交流課 078−322−5339 
メリケンパーク(神戸港振興協会)、神戸海洋博物館 078−391−6751 
神戸華僑歴史博物館 078−331−3855 
布引ハーブ園 078−271−1131 
北野異人館案内所 078−271−5537 
風見鶏の館 078−242−3223 
うろこの家 078−242−6530 
有馬観光総合案内所 078−904−0708 

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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歴史街道推進協議会