月〜金曜日 21時48分〜21時54分


大阪の古代 

 大阪は弥生時代から一大文化圏としてその勢力を伸ばしてきた。多くの遺跡や巨大 な前方後円墳をはじめ大小の古墳がそれを物語っている。その後、大和、河内を中心 にした勢力が離合集散して古代国家形成するようになり、近畿圏は豊臣時代まで政 治、経済、文化の中心地として勢力を保っていた。


 
池上曽根遺跡  放送 6月26日(月)
木偶 和泉市池上町から泉大津市曽根町にかけて南北1.5km、東西0.6km、総 面積60万平方メートルの池上曽根遺跡は、全国屈指の規模を誇る弥生時代の環濠集 落。古くから多くの土器などが発見されており、明治時代にはすでに遺跡の存在が指 摘されていた。
 第2時世界大戦後、本格的な発掘調査が数回にわたって行われ、幅5m、深さ1 m、南北300m、東西25mの楕円形の濠に囲まれた環濠集落の規模が明らかにな った。集落跡からは100余の竪穴住居跡や土器、金属器、日常生活用品、呪術祭祀 (じゅじゅつさいし)関係などの遺物が出土した。
(写真は 木偶)

いずみの高殿 環濠集落の中心部約11万5000平方メートルは国の史跡に指定され、史跡公 園として建物の復元などの整備が進んでいる。すでに堀立柱の大型建物「いずみの高 殿」が復元された。太い柱を使った建物は高さ11m、床までの高さ4m、床の面積 133平方メートル(80畳)で屋根は茅ぶき。すぐそばにはクスノキをくりぬいた 直径2.3m、内径1.9m、深さ1.2mの「やよいの大井戸」と茅ぶきの井戸屋 形も復元されている。
 ほかにも弥生人の1戸建て住宅の竪穴住居、鉄、青銅の金属器の製作工房とみられ る小型堀立柱建物、調味料の魚醤(ぎょしょう)製造所と見られる小型竪穴建造物な ども復元された。史跡公園内を歩いていると弥生時代へタイムスリップした錯覚に陥 る。公園整備は今後も進められ、学習体験施設などが建設される。
(写真は いずみの高殿)


 
大阪府立弥生文化博物館  放送 6月27日(火)
人面土器 弥生時代の大型環濠集落「池上曽根遺跡史跡公園」のすぐ南側に大阪府立弥生文 化博物館がある。弥生時代の生活や文化を映像や模型など、ビジュアルな資料を使っ てわかりやすく紹介しており、弥生文化に親しみをいだきながら学習できる。
 弥生時代は紀元前3世紀頃、米作りや金属器を使った生活を始めた時代から、 3世紀後半に巨大な古墳が出現するまでの約500年間を言う、稲作により農業生産が増大すると貧富の差が生まれ、争いが起こり戦闘に発展した。戦に勝つために「ム ラ」「クニ」と言った集団が発生、集団を支配する「王」が誕生し、古墳時代を経て 古代国家形成へとつながって行く。
(写真は 人面土器)

卑弥呼の館・復元模型 弥生文化博物館は「米つくりのはじまり」「新しい技術の誕生」「弥生人」「ム ラ・戦い・クニ」「交流」「死とまつり」のテーマに分け、弥生文化を紹介してい る。古代史を最もにぎわわせている卑弥呼が住んでいた「卑弥呼の館」を模型で再現した り、米づくりの様子を「春・秋の水田」で説明している。竪穴住居発掘・復元体験ゾ ーンでは、実際の発掘・復元作業が疑似体験でき、子供たちの人気を集めている。
 また別の展示室では、すぐそばの池上曽根遺跡からの出土品や関西国際空港関連工 事の発掘調査の出土品、紀伊水道の海底から引き上げられた中国の青銅器などを展 示、縄文時代から江戸時代までの泉州の歴史を紹介している。
(写真は 卑弥呼の館・復元模型)


 
大阪府立近つ飛鳥風土記の丘  放送 6月28日(水)
B9号墳 「近つ飛鳥」の呼び名は8世紀初めに記録された古事記に登場する。難波から大和の石上神宮へ向かう道筋のうち、難波に近い方を「近つ飛鳥」遠い方を「遠つ飛鳥」と名づけた。近つ飛鳥は今の羽 曳野市飛鳥付近、遠つ飛鳥は奈良県明日香村飛鳥を指す。
 近つ飛鳥は日本初の官道・竹内街道の沿線に当たる。このあたりは朝鮮半島、中国 からの渡来人が住みついたところで、周辺には6世紀以降の古墳が群集している。そ のひとつが一須賀(いちすか)古墳群。この群集墳を整備して保存しているのが大阪 府立近つ飛鳥風土記の丘。近つ飛鳥の南部の磯長谷には敏達、用明、推古、孝徳の各 天皇陵や聖徳太子墓など飛鳥時代の大型墳が集まっており「王陵の谷」と呼ばれてい る。
(写真は B9号墳)

D4号墳 一須賀古墳群を整備し史跡公園にした近つ飛鳥風土記の丘は、約29hの園内に 102基の古墳がある。6世紀後半に造られた直径15m前後の円墳(一部方墳) で、そのうち40基を整備して公開している。これらの古墳は横穴式石室とそれを覆 う盛り土で構成されている。石室は死者を埋葬する玄室と玄室への通路の羨道(せん どう)に分かれている。これらの石室が内部に入って見学できるのが魅力で、家族連 れでも楽しめる半日コース。
 近つ飛鳥風土記の丘の一須賀古墳群は、和歌山・岩橋千塚、奈良・新沢千塚、大阪 ・平尾山千塚、高安千塚などと並ぶ全国的に知られた群集墳。
(写真は D4号墳)


 
大阪府立近つ飛鳥博物館  放送 6月29日(木)
石棺 渡来人がいち早く住み、大陸文化を伝えた近つ飛鳥は古代文化の先進地だった。 その勢力と財力を示すのが数多い古墳群でもある。古代文化が栄えたこの地、近つ飛 鳥風土記の丘の近くに、建築家・安藤忠雄氏設計のユニークなデザインの階段状屋根 を持つ大阪府立近つ飛鳥博物館がある。
 「日本古代国家の形成過程と国際交流をさぐる」をテーマに、4世紀の古墳時代か ら7世紀の飛鳥時代までの様々な資料と情報を収集、保存、研究、展示することを目 的に平成6年(1994)にオープンした。
(写真は 石棺)

仁徳陵古墳・復元模型 常設展示室は「近つ飛鳥と国際交流」「古代国家の源流」「現代科学と文化遺 産」の3つのテーマに分けられている。
 近つ飛鳥と国際交流ゾーンでは、古墳時代から飛鳥時代にかけて朝鮮半島、中国大 陸からの渡来人によってもたらされた技術や文化を出土品などから検証している。古 代国家の源流ゾーンでは、各地で前方後円墳など大小の古墳を築いた豪族などの集団 が、つながりや反発を繰り返しながら大和や河内を中心とした政治勢力へ統一され、 古代国家形成へ進む過程をさぐっている。その過程を示すシンボルとも言える日本最 大の前方後円墳の仁徳陵古墳を150分の1の模型で復元している。現代科学と文化 遺産ゾーンは、様々な現代科学技術が古代史の解明や資料の保存に応用され、大きな 成果をあげていることを紹介している。その一例として、藤井寺市の三ツ塚古墳から 出土した大きな修羅(しゅら)とテコ棒が永久保存できるように処理されて展示して いる。
(写真は 仁徳陵古墳・復元模型)


 
葛井寺(ふじいでら)  放送 6月30日(金)
南大門(江戸) 藤井寺の地名の起こりともなった古刹・葛井寺は、神亀2年(725)聖武天皇 の勅願によって行基が開創したと伝えられているが、百済系渡来人葛井氏の氏寺とし て8世紀ごろに建立されたのが本当らしい。寺に伝わる参詣曼荼羅(さんけい まんだら)によると、当時は金堂、講堂、東西両塔を備えた薬師寺式の伽藍(がら ん)を誇っていた。平安時代から西国三十三ヵ所第5番札所として信仰を集め、今も 多くの参詣者でにぎわっている。
 葛井寺の堂塔は兵火や地震などで焼失、倒壊するなどの被害を受け、現在の諸堂は 豊臣秀頼寄進の西門(国・重文)のほかは、江戸時代中期に再建された。
(写真は 南大門(江戸))

本尊千手観音像の厨子 国宝で本尊の千手観音菩薩座像は神亀2年(725)の開眼と伝えられているが、 天平年間(729〜749)後期の作と見られ日本最古の千手観音像。この観音像は 大の手2本、中の手40本、小の手1000本、全部で1042本の手がある。千手 観音像は一般的には42の手があるのが普通で、実際に千の手がある観音像は唐招提 寺の観音像など数例に過ぎない。
 頬のふくらんだ丸い顔立ち、先をとがらせた抑揚のある鼻や唇、細くしなやかな体 形は、東大寺法華堂の諸像と同じく天平彫刻の様式を示している。本尊は秘仏で毎月 18日が御開帳の日で、厨子の扉が開けられその姿を拝観することができる。
(写真は 本尊千手観音像の厨子)


◇あ    し◇
池上曽根遺跡・
       大阪府立弥生文化博物館
JR信太山駅下車徒歩7分。
南海松ノ浜駅下車徒歩20分。 
大阪府立近つ飛鳥風土記の丘近鉄貴志駅からバス阪南ネオポリス下車。 
大阪府立近つ飛鳥博物館近鉄貴志駅からバス阪南ネオポリス下車徒歩10分。 
葛井寺近鉄藤井寺駅下車徒歩3分。 
◇問い合わせ先◇
池上曽根遺跡史跡公園0725−45−5544 
大阪府立弥生文化博物館0725−46−2162 
大阪府立近つ飛鳥風土記の丘・
          大阪府立近つ飛鳥博物館
0721−93−8321 
葛井寺0729−38−0005

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

@・・・ひょうごシンボルルート   
A・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
B・・・越前戦国ルート              
C・・・近江戦国ルート              
D・・・お伊勢まいりルート         
E・・・修験者秘境ルート           
F・・・高野・熊野詣ルート         
G・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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