月〜金曜日 21時48分〜21時54分


兵庫・御津町 

 姫路市の西に位置し、瀬戸内海国立公園に面した御津町は戦後、御津町と室津村 が合併して誕生した町。室津港は、播磨国風土記に「この泊、風を防ぐこと、室のご とし」と記されているように、古くから天然の良港として知られていた。奈良時代に は行基が開いた摂播五泊の一つとして知られ、江戸時代には参勤交代の西国大名の上 陸地、朝鮮通信使の寄港地となり「室津千軒」と言われるほどの港町として栄えた。


 
室津海駅館  放送 7月24日(月)
室津海駅館 古くから瀬戸内海の海上交通の要所、海の宿駅として繁栄したのが室津だった。 西国から大阪、京へ向かう船、京、大阪から西国へ向かう船は室津へ寄港した。万葉 集にも室津を詠んだ歌があり、万葉人も室津からの風光明美な瀬戸の海を楽しんだの だろう。平清盛も厳島神社へ参詣の途中に立ち寄っている。
 すでに鎌倉時代から室町時代にかけて「室の船頭」による商品輸送が始まってい た。江戸時代に入り大阪、江戸の二大市場へ向けての商品流通が盛んになり、室津の 廻船問屋は瀬戸内海、日本海を舞台に活躍した。
(写真は 室津海駅館)

やかたぶねの間 廻船業で富をなした豪商に嶋屋がある。御津町は嶋屋の建物を買い取り、平成9 年(1997)に「町立室津海駅館」としてオープン、失われつつあった文化財の保 存と展示をしている。
 町指定文化財の海駅館の建物自体が重要な展示物と言える。江戸時代後期に建てら れた建物は、豪商の館にふさわしい豪壮なもので、参勤交代の脇本陣に使われたこと もある。館内には室津で栄えた廻船業の歴史を知る「廻船」。西国70藩の藩主が宿 泊した宿場町・室津の知る「参勤交代」。長崎のオランダ商館長が江戸の将軍に拝礼 に行った「江戸参府」の資料。朝鮮通信使が立ち寄った際の供応料理などの資料を示 す「朝鮮通信使」の4つのテーマに分けてそれぞれ資料を展示している。
(写真は やかたぶねの間)


 
賀茂神社  放送 7月25日(火)
室津港から見た賀茂神社 室津の入り江に突き出た岬のうっそうとした森の明神山に鎮座する賀茂神社は、 京都・上賀茂神社の別宮として800〜900年前の平安時代に建てられたようだ。 祭神は上賀茂神社と同じ賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)。本殿や唐門、摂 社など8棟が国の重要文化財。社殿はいずれも流れ造りで屋根は桧皮ぶき。建築後、 造り替え、修理は施されているが、平安時代の建築様式をほぼ完全な形で残している 神社建築として評価が高い。社宝の狩野元信の「神馬図額2面(国・重文)」は東京 国立博物館に保存されている。境内の大ソテツ林は県の天然記念物。
(写真は 室津港から見た賀茂神社)

馬蹄龍 明神山は昔、藤かずらが生い茂り、入り江を越えて対岸にまで達していたとい う。賀茂神社の祭神・賀茂別雷命の祖父で京・下賀茂神社の祭神の賀茂建角身命(か もたけつのみのみこと)が、日向国高千穂の峰から京へ向かう途中、室津に立ち寄り この藤かずらを斧(おの)鉈(なた)鎌(かま)の3つの刃物でことごとく切り払っ たところ、立派な港になったとの神話が残っている。風が無くて室のようといわれ 「室の津」と呼ばれた。これが天然の良港として発展し、江戸時代には港町として繁 栄した。
 賀茂神社のさらに岬寄りには、海の神・住吉大神を祭る楫取(かじとり)社があ り、7月の夏越(なごし)祭は毎年にぎわう。
(写真は 馬蹄龍)


 
室山城と室津民俗館  放送 7月26日(水)
室津港から見た室山城 室山城は鎌倉時代初め源頼朝が室小四郎に命じて、室津の入り江を望む山に城を 築かせたといわれている。その後、足利尊氏に攻められて城は一時断絶し、室町時代 初期に再び城が築かれたとある。応仁の乱後、浦上則宗が城を守っていたが、永禄9 年(1566)に竜野城主赤松政秀に滅ぼされた。その際、婚礼の式をあげたばかり の16歳の花嫁が、長刀(なぎなた)を取ってかいがいしく戦った末、自害して果て た。城下の人々はこの悲しい出来事を忘れるため、桃の節句を旧暦8月1日に延ばし て「八朔(はっさく)のひな祭」にしたが、今もその習わしが続いている。
 現在は室山城跡にはわずかに石垣が残っている程度で、その面影は何もない。
(写真は 室津港から見た室山城)

室津民俗館の雛人形 町立室津民俗館は、室津海駅館と同じように海産物問屋の豪商「魚屋」の建物保 存を兼ねて町が買い取り、昭和60年(1985)にオープンした。その3年後には この建物が県の重要有形文化財に指定された。
 この建物も脇本陣として使われており、部屋が33もある豪壮なもので、1階奥座 敷、2階上段の間、箱階段、隠し階段、玄関の吊り上げ式二重戸、登城かごなどが見 どころで、他にも江戸時代の古文書や古地図、本陣の見取り図、小五月(こさつき) 祭の衣装などの資料、海産物問屋魚屋の資料などが展示されている。
(写真は 室津民俗館の雛人形)


 
浄運寺  放送 7月27日(木)
友君の像 賀茂神社の向かい側の海の見える丘に建つ浄土宗の浄運寺は、法然上人の二十五霊場のひとつ。木曽義仲の側室のひとりで生き別れた子の養育費のために遊女になった友君の墓もある。
 法然上人が讃岐へ流される途中、室津の港に立ち寄ったとき、遊女・友君が小舟で 上人の船を訪れ「罪業の深い身ですが、どうすれば助かるでしょうか」とたずねた。 上人は「遊女をやめ、卑下することなく念仏を唱えるならば往生疑いなし」と諭し た。友君は上人の教えに涙を流して喜び、 尼となって庵を結び、その後、念仏一筋 の信仰の人生を歩み、往生したという。
(写真は 友君の像)

浄運寺 浄運寺には法然上人と友君の合作といわれる法然上人像がまつられている。他に 友君像や悲恋のヒロインお夏像などあり、拝観できる。
 浄運寺は鎌倉時代初めの文治年間(1185〜1190)に、法然上人の弟子の信 寂上人が開基したと伝えられている。山門は石垣を配した寺の門としては珍しい城山 風。
 境内から海側へ降りた所にある井戸は、法然上人貝掘り井戸と言われ、飲み水に困 っていた人々のために、海辺の貝で掘ったところ淡水がわき出たと言う井戸。
(写真は 浄運寺)


 
室津の島と朝鮮通信使  放送 7月28日(金)
唐荷島 播磨国風土記や万葉集の山部赤人の歌にも登場する唐荷(からに)島は、室津港 の南西2〜3km沖に浮かぶ3つの島の総称。手前から地の唐荷、中の唐荷、沖の唐 荷と言い、昔、唐の船が難破してその積み荷がこの島に流れ着いたことから、その名 が付いたと言われている。瀬戸内海国立公園内に浮かぶ唐荷島を見れば、万葉歌人で なくとも歌の題材にしたくなるような美しい眺めである。
(写真は 唐荷島)

朝鮮通信使一行模型 江戸時代、朝鮮国王の親書を徳川幕府の将軍に手渡すための朝鮮通信使の一行 は、正・副使を含め約500人にものぼり、海上では大船団を組み、陸上では大行列 で江戸へ向かった。
 その際、室津港に必ず寄港しており、大小様々な船が港を埋めつくした。この朝鮮 通信使の接待をしたのが姫路藩で、記録によると海上の警護、食糧、燃料、水の供給 に500隻以上の船、3000人以上の人が動員され、莫大な金と労力を費やしたと あり、藩にとっては大きな負担だった。宿舎では供応料理を出して一行を接待した。 町立室津海駅館では当時の供応料理を再現しており、真心を込めて朝鮮通信使をもて なしたことがその料理に現れている。海駅館で再現された供応料理を国賓気分で味わ うことができる。
(写真は 朝鮮通信使一行模型)


◇あ    し◇
室津海駅館 山陽電鉄網干駅からバス室津下車。
◇問い合わせ先◇
御津町観光協会07932−2−1001 
御津町立室津海駅館
    
朝鮮通信使供応料理
         (10〜5月要予約)
07932−4−0595 
賀茂神社07932−4−0034 
御津町立室津民俗館07932−4−0650 
浄運寺07932−4−0030 

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

@・・・ひょうごシンボルルート   
A・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
B・・・越前戦国ルート              
C・・・近江戦国ルート              
D・・・お伊勢まいりルート         
E・・・修験者秘境ルート           
F・・・高野・熊野詣ルート         
G・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

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