月〜金曜日 21時48分〜21時54分


京都・相国寺 

 京都五山第2位の相国寺(しょうこくじ)は、室町幕府・三代将軍足利義満が京都御所の北側に建立した広大な寺域を持つ臨済宗相国寺派の大本山で、正式名称は万年山相国承天禅寺と言う。今回はこの相国寺を紹介する。


 
義満創建  放送 8月20日(月)
足利義満木像 永徳2年(1382)室町幕府・三代将軍足利義満が禅修行のための寺の建立を発願、後小松天皇の勅許を得て、仏道の師・春屋妙葩(しゅんおくみょうは)の協力のもとに、現在の京都御所北側の地で伽藍(がらん)建立に着手した。その当時、義満の官位は左大臣で、中国ではこの官位を相国と言うので、寺号を相国寺とすることを春屋らが勧めた 義満は相国寺の建立に執念を燃やし、たびたび建設の進み具合を見に行ったり、自ら土木作業のもっこを担いで土を運ぶこと3度におよんだと言う。着工以来10年の歳月を費やしこの大寺は明徳3年(1392)完成、盛大な落慶法要が行われた。その後、相国寺は失火や応仁の乱などで幾度か焼失、その度に復興され現在もその威容を誇っている。
(写真は 足利義満木像)

春屋妙葩頂相(室町・重文) 足利義満は貞治6年(1367)9歳の時、父・義詮を亡くし、翌年わずか10歳で将軍職についた。義満は父を亡くする直前に天龍寺に参詣し、住職の春屋妙葩から仏弟子として法衣を受けた。9歳の義満と57歳の春屋の初めての出会いであったが、それ以来、春屋は少年将軍の心の師として陰に陽に義満を補佐した。
 禅に傾倒した義満は禅の求道者として禅道場の相国寺建立に力を入れた。それを支えた師の春屋妙葩を開山始祖にするつもりだったが、春屋は謙譲の姿勢を崩さず固辞し続けた。
すでに死去してから30数年が過ぎていた天龍寺を創建した夢窓国師(夢窓疎石)を春屋は開山始祖に推し、自分は第2世住職に甘んじている。だが、義満とともに相国寺の建立に尽力した春屋は、大伽藍の完成を見ずに死去している。また、五山文学の発展にも貢献し、後の東山文化を形成した人たちを育てた禅僧でもあった。
(写真は 春屋妙葩頂相(室町・重文))


 
法堂  放送 8月21日(火)
法堂(重文) 相国寺の法堂(はっとう)は慶長10年(1605)、豊臣秀頼の寄進によるもので、現存する法堂建築では最古最大のもので、仏殿が焼失しているため仏殿も兼ねて「本堂」となっており国の重要文化財。法堂は禅宗の高僧が仏法を演説し、問答をやり取りする堂である。禅宗では最も重要な建物で、ほかの堂はなくてもこの堂だけがあればと言われほどの建物である。
 法堂は過去4回焼失しており、現在のものは5回目の再建による建物。創建時の法堂は「雷音(らいおん)堂」と呼ばれたが、現在のものは「無畏堂(むいどう)」と呼ばれている。
(写真は 法堂(重文))

蟠龍図(狩野光信筆) 法堂内には正面須弥壇の本尊・釈迦如来木像をはじめ、開山・夢窓国師、達磨大師、足利義満などの像が安置されている。法堂の天井の蟠竜図(ばんりゅうず)は、狩野光信の筆による建立当時からのもので、堂内中央で手をたたくと天井から反響が返ってくるので「鳴き龍」と呼ばれている。光信はこの蟠竜図を描きあげた3年後に亡くなっており、最後の大仕事となった。
 相国寺は総門から放生池、山門跡、仏殿跡を過ぎると法堂の堂々たる建物が目に入る。
法堂に通じる参道脇には松がそびえ、境内は京都の市街地の真ん中とは思えないほどの静寂さがあり、禅寺らしい雰囲気が漂っている。
(写真は 蟠龍図(狩野光信筆))


 
方丈  放送 8月22日(水)
仙人図(聴呼の間・原在中筆) 法堂の北にある大建築の方丈も創建以来、4回焼失しており、現在の方丈は江戸時代後期の文化4年(1807)に再建されたものである。方丈は住職の居室のことで、法要や法話にも使われ、南側に3室、北側に3室の畳敷き6室に分かれている。南側の中央の部屋を「室中」と言うほか、それぞれの部屋に名前がついている。
 正面廊下の「方丈」の額は、中国の名筆家・張即子の文字を写し、ケヤキの一枚板の彫ったものがかけてある。
(写真は 仙人図(聴呼の間・原在中筆))

観音菩薩画像 各部屋はふすまで仕切られ、そのふすまには原在中筆による中国菩陀洛山図(室中)や仙人図(聴呼の間)、伝・土佐光則筆による吉野山桜図(御所写しの間)など、それぞれの部屋に見事なふすま絵が描かれている。
 室中の正面にかかる「観音菩薩立像」は、仏の顔、体、衣の輪郭が経文の微細な文字で形取られている珍しい画像。
 方丈の前庭は白川砂を敷きつめただけで、禅の悟りの境地を表す庭と言われ、日光の反射を利用して室内を明るくする役目も果たしている。裏庭は深い谷間の深山幽谷の景色を表す趣向が凝らされている。
(写真は 観音菩薩画像)


 
承天閣美術館  放送 8月23日(木)
芭蕉図(重文・伊藤若冲筆) 承天閣美術館は相国寺創建600年を記念して昭和59年(1984)に方丈東側に建設され、文化財の受託、保存及び展示公開、文化財の修理、調査研究、禅文化の海外普及などの文化向上に寄与している。金閣寺(鹿苑寺)、銀閣寺(慈照寺)も末寺とする相国寺には創建時から禅宗文化の中心的存在で、幾多の美術品、文化財が残されている。
 収蔵庫には相国寺の寺宝及び金閣、銀閣寺、塔頭寺院など末寺全体から国宝4点、国指定重要文化財111点、重要美術品40数点のほか、茶わんや茶杓などの茶道具など、貴重な美術品や文化財を収蔵している。
(写真は 芭蕉図(重文・伊藤若冲筆))

葡萄図(重文・伊藤若冲筆) 現在、展示室には肖像画の春屋妙葩頂相(しゅんおくみょうはちんそう)(室町時代・国・重文)や夢窓疎石頂相(むそうそせきちんそう)(南北朝時代)、足利義満像(江戸時代)などのほか、相国寺にゆかりの画家・伊藤若冲(1716〜1800)筆による障壁画の芭蕉図(国・重文)、葡萄図(国・重文)を金閣寺の大書院から移して展示している。
 また、美術館内の講堂は120畳敷大広間で講演会や研修会に利用されている。茶室「夢中庵」の床の間は金閣寺の古材を使用したもので、茶会などに広く利用されている。
(写真は 葡萄図(重文・伊藤若冲筆))


 
塔頭・慈照院  放送 8月24日(金)
玄関 相国寺にある山内塔頭のひとつ慈照院は、約600年前の応永12年(1405)ごろ相国寺第13世住職・在中禅師の創建で、初めは大徳院と呼ばれていたが、足利義政の菩提寺となったことからその法号から慈照院と改めた。その後、桂宮家菩提寺ともなり、現在の本堂は桂宮の命で尾張藩主・徳川義直がが寛文11年(1671)に建立した。これらの関わりから足利義政の遺品をはじめ多くの美術品、文化財、また皇室ゆかりの品々が伝えられている。
(写真は 玄関)

頤神室 書院の「棲碧軒(せきへきけん)」は、桂宮家の学問所として境内に江戸時代初期に建築され草庵風書院造りで、後に相国寺に下賜された。
 頤神室(いしんしつ)と呼ばれる茶室は、江戸前期の茶人・千宗旦によって作られた。
当時一匹の古狐が宗旦に化けて近所の茶人や商人宅を訪れ、茶の点前をしたり、菓子を食べたりしたと言う「宗旦狐」の伝説が残っている。初めは誰も狐が化けていることに気づかなかったが、正体がばれた後もみんなで一緒に化かされて遊んだと伝えられている。
(写真は 頤神室)


◇あ    し◇
相国寺、承天閣美術館地下鉄烏丸線今出川駅下車徒歩5分。 
京阪出町柳駅下車徒歩15分。
慈照院地下鉄烏丸線鞍馬口駅下車徒歩3分。
◇問い合わせ先◇
相国寺075−231ー0301 
承天閣美術館075−241−0423 
慈照院075−441−6060 
「法堂鳴き龍」「方丈庭園」の特別拝観は9月14日(金)から12月9日(日)まで。
慈照院拝観希望者は5名以上ではがき又は電話で予約申し込みが必要。

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

    あなたも「関西の歴史や文化を楽しみながら探求する」歴史街道倶楽部に参加しませんか?
    歴史街道倶楽部では、関西各地の様々な情報のご提供や、ウォーキング、歴史講演会など楽しいイベントを企画しています。
   倶楽部入会の資料をご希望の方は、
 ハガキにあなたのご住所、お名前を明記の上、
          郵便番号 530−6691
          大阪市北区中之島センタービル内郵便局私書箱19号
                  「テレホンサービス係」
へお送り下さい。
   歴史街道倶楽部の概要を解説したパンフレットと申込み用紙をご送付いたします。
       FAXでも受け付けております。FAX番号:06−6448−8698   

歴史街道推進協議会